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LXD 2.0: リモートホストとコンテナマイグレーション [6/12]

Last updated at Posted at 2016-04-17

この文書について

この文書は、連載記事「LXD 2.0: Blog post series」(日本語版目次)の一つである以下の記事を翻訳したものです。

この文書のライセンスは原文と同じく、Creative Commons BY-NC-SA 2.5のもとに提供されています。

CC-BY-NC-SA 2.5


リモートプロトコル

LXD 2.0は次のふたつのプロトコルをサポートしています:

  • LXD 1.0 API: クライアントとLXDデーモン間で使われるREST APIです。同様にLXDデーモン同士でもイメージやコンテナのコピーや移動にも使います。
  • Simplestreams: Simplestreamsプロトコルは読み込み専用、イメージ専用のプロトコルで、LXDクライアントとデーモンの双方が(Ubuntuイメージのような)パブリックなイメージサーバーからイメージ情報の取得やイメージのインポートを行う際に使用します。

以下の説明はすべて、これらのうち前者に関連します。

セキュリティ

LXD APIによる認証は、最新の暗号化技術を用いたTLS 1.2越しのクライアント証明書の認証によって行われます。二つのLXDデーモンが直接情報をやりとりする際は、最初にソースとなるデーモンが一時的なトークンを生成し、クライアント越しにターゲットのデーモンへ送られます。そのトークンはその場のストリームでのみ使われ、即座に破棄し、再利用はできません。

中間者攻撃を回避するために、クライアントツールはソースサーバーの証明書をターゲットにも送ります。つまり、特定のダウンロード操作においては、ターゲットサーバーに送信側サーバーのURL、そのリソースに必要なワンタイムのアクセストークン、そのサーバーが使うであろう証明書が提供されます。この方法は中間者攻撃を防ぎ、送信者のオブジェクトの一時的なアクセスのみを与えます。

必要なネットワーク

LXD 2.0は操作のターゲット側(データの受信側)が直に送信側に接続し、データを取得するモデルを採用しています。

これはターゲットサーバーが、ファイヤーウォールなどを越えて、直に送信サーバーに接続できなくてはならないことを意味します。

厳しいファイヤウォールによってホスト間の通信ができない時のために、逆方向の接続やプロキシ越しの接続のサポートも計画しています

リモートホストへの接続

リモートホストを使いたいユーザーが常にホストネームやIPアドレスを把握し、正しいリモートホストに接続しようとしているか検証する手間を省くために、LXDは「リモート」という概念を導入してます。

初期状態ではLXDは「local:」リモートのみが設定されています。これは常に規定の(名前を省略した時の)リモートとして使われます。このローカルリモートは、LXD REST APIを使ってunixソケット越しにローカルのデーモンと通信します。

リモートの追加

LXDがインストールされた二つのマシンがあるとします。一つはローカルのマシンで、リモートホストの方は「foo」と呼ぶことにしましょう。

最初に、「foo」をリッスン状態にし、パスワードを設定する必要があります。リモートのシェルで次のコマンドを実行してください:

lxc config set core.https_address [::]:8443
lxc config set core.trust_password 何かパスワード

次にローカルのLXDでも、そこからコンテナやイメージを送信できるように、ネットワークに対して見えるように設定する必要があります:

lxc config set core.https_address [::]:8443

両方のデーモンの設定が完了しました。これで「foo」をローカルのクライアントに追加できます:

lxc remote add foo 1.2.3.4

(ここで1.2.3.4は、IPアドレスかFQDNに変更してください)

次のような感じで表示されることでしょう:

stgraber@dakara:~$ lxc remote add foo 2607:f2c0:f00f:2770:216:3eff:fee1:bd67
Certificate fingerprint: fdb06d909b77a5311d7437cabb6c203374462b907f3923cefc91dd5fce8d7b60
ok (y/n)? y
Admin password for foo:
Client certificate stored at server: foo

リモートのリストを表示したら、「foo」が追加されていることでしょう:

stgraber@dakara:~$ lxc remote list
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
|      NAME       |                         URL                           |   PROTOCOL    | PUBLIC | STATIC |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
| foo             | https://[2607:f2c0:f00f:2770:216:3eff:fee1:bd67]:8443 | lxd           | NO     | NO     |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
| images          | https://images.linuxcontainers.org:8443               | lxd           | YES    | NO     |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
| local (default) | unix://                                               | lxd           | NO     | YES    |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
| ubuntu          | https://cloud-images.ubuntu.com/releases              | simplestreams | YES    | YES    |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+
| ubuntu-daily    | https://cloud-images.ubuntu.com/daily                 | simplestreams | YES    | YES    |
+-----------------+-------------------------------------------------------+---------------+--------+--------+

リモートとの通信

さて、リモートサーバーを設定しました。これで何ができるようになるのでしょうか?

これまでの投稿で説明したことはすべてできます。唯一異なるのは、LXDに対してどのホストで実行するかを指定することです。

たとえば次のようなコマンドがあるとします:

lxc launch ubuntu:14.04 c1

上記は規定のリモート(lxc remote get-default)で実行されるので、ローカルのホストに対して適用されることでしょう。

lxc launch ubuntu:14.04 foo:c1

上記は、その代わりfoo上でコマンドを実行します。

リモートホスト上の実行中のコンテナを確認したい場合は、次のようになります:

stgraber@dakara:~$ lxc list foo:
+------+---------+---------------------+-----------------------------------------------+------------+-----------+
| NAME |  STATE  |         IPV4        |                     IPV6                      |    TYPE    | SNAPSHOTS |
+------+---------+---------------------+-----------------------------------------------+------------+-----------+
| c1   | RUNNING | 10.245.81.95 (eth0) | 2607:f2c0:f00f:2770:216:3eff:fe43:7994 (eth0) | PERSISTENT | 0         |
+------+---------+---------------------+-----------------------------------------------+------------+-----------+

一つ注意しなくてはならないのは、イメージとコンテナの双方にリモートを指定しなくてはならないということです。「foo」上に「my-image」という名前のローカルイメージが存在し、そのイメージから「c2」という名前のコンテナを作りたいときは、次のように指定しなくてはなりません:

lxc launch foo:my-image foo:c2

最後に、リモートコンテナへのシェルの実行も、期待通り動作します:

lxc exec foo:c1 bash

コンテナのコピー

ホスト間のコンテナのコピーはとても簡単です:

lxc copy foo:c1 c2

これによりリモートの「c1」コンテナのコピーがローカルの「c2」コンテナとして作成されます。「c1」コンテナはまず停止している必要があります。ただしスナップショットをコピーすることで、コピー元のコンテナを停止せず実行中のままコピーできます:

lxc snapshot foo:c1 current
lxc copy foo:c1/current c3

コンテナの移動

ライブマイグレーション(別の投稿で説明する予定です)をするのでなければ、コンテナを移動する前にそれを停止している必要があります。それ以外は、予想通りの動作になるはずです:

lxc stop foo:c1
lxc move foo:c1 local:

上記の例は以下と同じ動作です:

lxc stop foo:c1
lxc move foo:c1 c1

どのように操作しているのか

リモートコンテナの操作は、想像通りの動きをすることでしょう。LXDは、ローカルのunixソケットに対するREST APIを使うのではなく、同じAPIをHTTPS経由のリモートに対して呼び出しています。

コピーや移動など、二つのデーモン間でやり取りを行う場合、もう少し複雑な処理を行っています。

上記の場合は、次のような処理を行います:

  1. 利用者は「lxc move foo:c1 c1」を実行します。

  2. クライアントはlocal:リモートに「c1」コンテナが存在するかどうか確認します。

  3. クライアントは「foo」の情報を取得します。

  4. クライアントは移動元となる「foo」デーモンに対してマイグレーショントークンを要求します。

  5. クライアントは移動元のURLと「foo」の証明書と同じくマイグレーショントークン、コンテナとデバイスの設定一緒にローカルのLXDデーモンに送ります。

  6. ローカルのLXDデーモンは与えられたトークンを用いて直接「foo」に接続します。

  7. 最初にコントロールWebSocketに接続します。

  8. ファイルシステムの転送プロトコル(zfsのsend/receiveやbtrfsのsend/receive、もしくは単純なrsync)とネゴシエーションします。

  9. もしローカルに存在すれば、移動元のコンテナを作るために使われたイメージを展開します。これにより不要なデータ転送を抑制します。

  10. コンテナと、その差分のスナップショットなどを転送します。

  11. 成功したら、クライアントは移動元のコンテナの削除を「foo」に伝えます。

オンラインで試してみる

リモートの操作やコンテナの移動・コピーのための複数のマシンを持っていますでしょうか?

持っていないのなら、オンラインのデモサービスで、この機能を試すことができます。ここで説明している内容を手順に沿って説明しています!

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