9月1日に日本で申込可能になった「Bluemix標準アカウント」は、一部制限つきで使用できるBluemixの無料プランであり、9月4日現在ベータ版です。クレジットカード登録は不要で、下記から申込みできます。
https://console.bluemix.net/registration/freemiumBetaSignup
本情報は、2017年9月4日現在のものになります。
申込時のポイント
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リージョン(地域)は、米国南部を選びましょう。
WebIDEやGitlab等のDevOpsを使用したい人は、リージョンに米国南部が無難です。 -
PAYG(有料アカウント)で使えるボイラーテンプレートの「Node-RED Starter」は、9月4日現在、標準アカウントでは使えません。
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ボイラーテンプレートの**「Internet of Things Platform Starter」を有効**にすることで、Node-REDが使用可能です。
しかし、リージョン(地域)がシドニーの場合は、「Internet of Things Platform Starter」が使えません。また、通常は大人向けの漢字が多いNode-RED環境のため、子ども向けの「ひながな版」Node-REDを使用する場合は、こちらの構築手順書をご覧ください。
リージョン(地域)にシドニーを選んでしまった場合
- Node-REDを使用するには、ボイラーテンプレートの**「Node.js Cloudant DB Web Starter」**を用いて、Node-REDを構築することができます。構築手順はこちらをご覧ください。子ども向けの「ひらがな版」と、大人向けの「通常版」のどちらでもNode-REDを構築することができます。
- DevOpsについては、正式版の対応待ちです。
どんなサービスが無料のBluemix標準アカウントで使えるか?
基本的には、下記のオンラインドキュメントをご覧ください。
https://console.bluemix.net/docs/pricing/standard_account.html#betaintro
リージョンにシドニーを使用した場合に、どのようなものが使えるかご紹介します。
ボイラーテンプレート含めCloud Foundry関係
- ボイラーテンプレート含めCloud Foundryで使用可能なメモリは「256MB」迄です。
- Node-REDを使用する場合は、使用メモリとして256MB必要で、Node-RED上で、FacebookやLINEと連携するチャットボットを作って動かすことができます。Raspberry Pi などと連携するIoTアプリもここに含まれます。
- Node-RED以外では、Watson Conversationを用いるサンプルアプリの「conversation-simple」であれば、メモリ128MBで動きますので、この規模であればアプリを2つ動かせる計算になります。
- 使えるボイラーテンプレート
- Internet of Things Platform Starter がカタログに記載されているものの、リージョンにシドニーを選択している場合は、実際には使用不可能
- Node.js Cloudant DB Web Starter
- Python Flask
- Ruby Sinatra
- Cloud Foundry
- Liberty for Java --> IBM WebSphere Application Serverの軽量版の模様
- SDK for Node.js
- ASP.NET Core
- Swift
- XPages
- Go
- PHP
- Python
- Ruby
- Tomcat
ボイラーテンプレートおよびCloud Foundryは、メモリの上限が256MBのため、動かせるアプリケーションは、おそらく1つでしょう。
ボイラーテンプレートおよびCloud Foundry以外では、下記を使用することができます。
- IoT関連は、Internet of Things Platform がありますが、リージョンにシドニーを選択している場合は実際には使用不可能
- Kubernetes クラスターは、Liteプランが使用可能です。
- Liteプラン --> 2CPU、メモリ4GB、1個のワーカーノード
- 無料のLiteプラン適用のため、ワーカーノード上でコンテナを動かす場合、ポート番号は自動選択になります。80などを指定することは出来ませんので、基本的には開発や動作確認向けです。bluemix kubernetes clusterを試してみるにて詳しく説明されています。
- データベースには、Cloudant NoSQL DB を使用できます。有料プランでも上位に位置するデータベースサービスです。チャットボットの会話ログを格納する際には定番と言っていいでしょう。
- DevOps関連は、Availability Monitoring が使用可能です。
- インテグレーション関連は、API Connect が使用可能です。
- Webとモバイルでは、Push Notifications が使用可能です。
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Watson関連は6つのサービスが利用可能です。
- Conversation --> チャットボットを作るために使います。(日本語OK)
- Language Translator --> 翻訳を行うことができます。(日本語OK)
- Natural Language Understanding --> 感情やキーワードなどを文章から判別します。英語対応がメインなので、日本語での使用はまだ難しいでしょう。
- Personality Insights --> 性格分析ができます。(日本語OK)
- Tone Analyzer --> 文章から喜びや怒り、悲しみ、開放的など感情を分析することができます。「東京ガールズコレクションに登場したコグニティブドレス」が記憶に新しい事例です。(日本語OK)
- ディスカバリー --> 質問や問合せに対して、関連性の高い回答を見つけることができます。
その他
- Bluemix Webとモバイルにおける、モバイルアプリのアプリケーションテンプレートは使用できませんでした。
- IBM Cloud Functions(旧OpenWhisk):シドニーで確認した範囲では、IBM Cloud Functionsのサービス画面にはアクセスできますが、「作成の開始」をクリックすると「アクションのロード中にエラーが発生しました。 ページを再ロードしてみてください。」と表示されます。
まとめ
基本的には、無料の標準アカウントはトライアル的な位置づけと考えられます。Bluemix入門としてチャットボットアプリを作り、どんなことができるか試すといった使い方が向くかと思います。
有料プランを使うとすれば、下記のようなときに有料プランに切り替えことになるでしょう。
- 動かすアプリのメモリが、256MBでは足りない場合
- 2つや3つ以上のアプリを作って、動かしたい場合
- 作成したチャットボットに、Speech to TextやText to Speech といった音声処理など応用的な機能を追加する場合
- Kubernetes クラスターを用いて、本番の業務システムを運用したい場合
- VMware on Bluemixを使用したい場合