IT勉強会は数あれど、その運営ノウハウについて公開されている例はあんまりないなあ と思って書きためてみる連続エントリ第二弾。
第二弾はIT勉強会運営における動画配信と、配信録画についてです。
まえおき
自分の活動内容については以下をご確認ください。
配信に使うグッズの紹介
とりあえず以下にまとめておきます。ご確認ください。
基本的な配信グッズ
- Panasonic デジタルハイビジョンビデオカメラ 内蔵メモリー8GB シルバー HC-V100M-S
- CEREVO 【LiveShell】 PC不要で簡単・高画質なUstream・YouTube Live・ニコニコ生放送対応 映像配信アダプタ CDP-LS01
- Panasonic eneloop 単3形 4本パック(ハイエンドモデル) BK-3HCC/4
- SANWA SUPPLY フラット型PCマイク MM-MC23
- KING Fotopro 三脚 (カメラ&スマートフォン対応) KFPT-1 チタン 卓上三脚 79540
- LPL ブラケット ユニバーサルブラケットUB-90 L26611-1
あとは適当なHDMIケーブルと、Liveshell用の1A出力のUSB電源、ミニUSBケーブル(1A出力でないと、給電が間に合わずLiveshellの電池が少しずつ減っていきます)。
基本的な使い方はブログに上げているので見てみてください。
Ustreamの席を見て、机の上にカメラを置いて安定配信が出来るなら、Fotoproの三脚+ビデオカメラを繋ぎ、Liveshellは卓上に放置、机の上に置けそうになければ、ビデオカメラとLiveshellをブラケットで繋ぎ、長い三脚を使います。
前者は重心が低いので非常に安定していますが、積載重量がたったの300g、後者は重心が不安定になるので転倒に注意が必要です。この辺はもっと安定した器具が欲しいところではある。
また、ビデオカメラについては何でも良いですが、最低限以下の条件を満たしている必要があります。
- HDMI出力に、ビデオカメラの映像をそのまま流せる(ビデオカメラだとほとんどサポートしていますが、動画録画機能搭載のコンデジなどはこの機能を積んでいないことがあります)
- HDMI出力映像に、手ぶれ補正やバッテリー残量などのピクトを表示しない設定が使える(うちのカメラだとピクト非表示機能はありますが、電源を切る度に設定がリセットされてしまうと言うめんどくさい性質がついています。この辺の特性も確認しておきましょう)
ネット接続用
Liveshell自体は無線でも接続できるのですが、無線LANだと周辺に無線LAN使用者が多かった場合に混信して使い物にならなくなることがあります。極力有線LANで配信をするのがベターでしょう
- NECプラットフォームズ SIMロックフリー LTE モバイルルーター Aterm MR04LN ( デュアルSIM 対応 / microSIM ) PA-MR04LN
- NECプラットフォームズ EX4C クレードル PA-MR04L-EX4C
- ELECOM LANケーブル CAT6準拠 Gigabit 携帯巻き取り式 モバイル 巻き取り式 2.5m ブラック LD-MCTG/BK2
通信回線については別の記事で紹介していますのでご覧ください。
記録媒体
イベントの規模が大きい場合は、もっと大容量のカードを買うのもいいのですが、破損時のリスク分散を考えると枚数を揃えた方がいいかもしれません。
事前に自分のビデオカメラで録画した場合、何分間録画出来るのか、ビデオカメラの液晶などでしっかり確認しておきましょう。
その他あると良いもの
- 片耳用イヤホン(音声確認のため)
以下、本題
うちが開催するスマートフォン懇親会および日本Androidの会横須賀支部では、以下のような形でやっています。
- 当日配信→Ustreamでの動画配信
- 後日確認→YouTubeでの動画配信
このような形での動画配信は、自分たちの活動を宣伝する目的のほかにも、スピーカーの人の振り返りや、活動履歴を残すこと、配信環境を正確に振り返ることにも繋がります。特に問題がないのであれば動画を配信・録画をしておくと良いかと思います。
以下では(うちの環境が環境なので)、Ustreamで配信するものとしてお話しを進めていきます。ニコニコ生放送やYoutube Liveなど別の配信手段もあるにはあるのですが、とりあえずここでは触れません(本当はYoutube LIVEのほうが広告でないし良いのですが、無印のLiveshellではYoutube LIVEの配信に対応していないようです)。
Liveshellの利用
今現在、Ustreamなどのリアルタイム動画配信サービスを使った動画配信をするのであれば、なんと言ってもLiveshellを使うのが最も手っ取り早い。
動画配信自体はスマートフォンやPCとWebカメラを接続して行うことも出来るのですが、動画の質がPCやスマートフォンのスペックによって決まってしまうこと、(スマートフォンの場合)熱暴走のリスクと常に戦わなければならないこと、無線LANを使うと周辺無線LANとの競合が怖いことなどから結局運用コストは高くなります。
おそらく十分高性能なPCと、十分高性能なWebカメラ、そしてそれを正確に扱え短時間で組み立て・撤収できる優秀なスタッフが揃っていれば、PCでやったほうが良いUstream配信が出来ると思いますが、その設備を揃えるのは難しいのでここでは説明しません。
Liveshellはそこそこ性能の良いビデオカメラと組み合わせて使わないと使えませんが、まあ、必要経費です、買っておきましょう。
配信関係準備前のチェックリスト
当日いきなりやるとテンパって忘れるのでチェックリストを作ってスタッフで共有しておきましょう。
- 配信用Ustreamアカウントにはアクセス出来るか?
- Liveshellのアカウントにはアクセス出来るか?
Liveshellは、Liveshellコンソールにアクセスを行い、そこでUstreamアカウントを設定することで、任意の場所に配信が可能になります。両方のアカウントにアクセス出来る情報を配信者が持っている必要があります。
先のエントリにも書いたとおり、この辺の配信確認について、可能なものは一週間前~12時間前に実施しておきましょう。夜開催のイベントなどはその日の午前中に確認するでもいいかもしれません。
Liveshellの機材を別の人が持っていてテスト配信できないよ と言う場合
実際にあった話。
本当は事前に直接会ってプレ配信くらいしておくべきですが、そうで無い場合はせめてUstreamの扱いを覚えておきましょう。
あと、Liveshellのマニュアルは公開されているので、そちらを読んで疑問があれば解消しておくこと。
設営時のチェックリスト
同じくチェックリストを作成しておきましょう
- ビデオカメラはちゃんと映したい対象(プロジェクタスクリーンか、発表者か、両方か)を映しているか(画像の回転は難しいので、この時点でプロジェクタスクリーンが水平になっているのが理想です。また、PCを接続してから動画チェックを行うと画面が入るかどうかがチェックできるのでベターです)
- Ustream上にちゃんと映像は見えているか?(出来ればスタッフに常時確認してもらいましょう)
- Ustream上の音声はちゃんと入っているか?(出来ればスタッフに常時確認してもらいましょう)
ごたごたするのでイベント開始5分前には全ての作業が終わってることが理想です。
2014/04/25 16:18追記
なお、このときには設営の順番にルールがあります。間違えるとLiveshellコンソールからの操作が上手く行えません。
- LANルータの電源を投入し、3GまたはLTE回線の接続が確立するまで待つ。
- LANルータの有線LANポートから、Liveshellに有線LANケーブルを繋げる。
- Liveshellの電源を投入する。
- ビデオカメラ(2と3はどちらが先でも良いです)の電源を投入する。
1の接続確立より前に3のLiveshellを起動すると、Liveshellが有線LANを認識しないことがあります。
スピーチ開始直前のチェックリスト
同じく(ry
- ビデオカメラの録画は開始させたか?(間違えやすいですが、「LiveshellはビデオカメラのHDMI出力を流しているだけ」です。故にビデオカメラの録画機能は 働いていません 。かならずビデオカメラの録画機能をONにしておきましょう)
- Liveshellコンソール側の録画は開始させたか?(上と違って、こちらは Ustream側の録画機能 のことです。もちろんビデオカメラで録画出来ていればこちらは不要なのですが、配信環境のフィードバックや予備録画という意味で録画を推奨します)
録画についてここで開始するのはなぜかというと、録画をスピーチごとに分割したり、複数の動画を結合する作業は案外しんどいため(ウチのビデオカメラはですが、ビデオカメラはある程度長時間の録画をすると、シーン(ファイル)を複数に分けてしまうことがあります)。可能であればスピーチが一つ終わるごとに一度録画をストップさせておきます。
スピーチ終了直後のチェックリスト
上の逆をするだけですが
- ビデオカメラの録画は終了させたか?
- Liveshellコンソールの録画は停止させたか?
- 問題なく配信できているか?
ここで毎回配信環境の点検を行っておきましょう(ビデオカメラやLiveshellの電源状況は問題ないか、SDカードの容量は大丈夫か など)。そのためここでは5分以上の休憩が必要です。休憩はイベント参加者のためだけではありません。運営の都合上です。
ケーブルの片付け時間を短縮する
なお、ビデオカメラやLiveshellはある程度内部電源でも動きます。このため、イベントの最後のスピーチが始まる前にケーブルを片付けておくと、撤収時間が短縮できます(最後のスピーチの最中にやると、ケーブル撤収音が配信されてしまったり、カメラにぶつかって倒してしまう可能性があるのでやってはいけません)。
撤収時のチェックリスト
- (Ustream側に)終了の挨拶は行ったか?
Ustreamの配信は、基本的に10~60秒遅延します。なので視聴者には、最大1分前の映像が見えているわけです。
配信を開始するときは、きっかりその遅延時間分遅れて配信開始されるのですが、配信終了時は遅延時間を無視して配信が切れてしまいます。よって、終了の挨拶が終わってから1分以内に配信を切ってしまうと、終了の挨拶が視聴者に聞こえない可能性があります。
事前に配信が何秒遅延するのかチェックした上で配信をしても良いかもしれません。
なお、PCで見たときとスマートフォンで見たときは遅延時間が若干違います(スマートフォンのほうが遅延時間が数秒長い)。遅延時間の確認だけはスマートフォンで行うと良いでしょう。
録画について
大まかには、スピーチ開始直前のチェックリストにもありますが、以下にまとめて記載します。
Liveshellで録画を行う場合、以下の二系統の録画が使用可能です
- Ustream機能の録画
- ビデオカメラ機能の録画
Ustream機能の録画は、Liveshellから配信されUstreamで実際に放送されているものと同じ動画です。通信回線の質に応じてLiveshell側で画質が落とされていますので、録画配信には向いていませんが、実際に配信された動画と全く同じものですので、配信環境の振り返りに役立ちます。録画しておくと良いでしょう。
ビデオカメラ機能の録画は、読んで字のごとくビデオカメラの録画です。上にもありますが、「LiveshellはビデオカメラのHDMI出力を流しているだけ」です。故に、明示的に録画を行わない限り、ビデオカメラは 映像を録画しません 録画を予定している場合は、録画を忘れないようにしましょう。
ビデオカメラの品質次第ですが高品質な動画が残っていますので、録画配信にはこれを使うと良いでしょう。
また、ビデオカメラに録画された録画は、記録媒体ファイルシステムの制限から4GBごとにシーンが分割されて保存されている場合があります。動画自体には問題ありませんので、扱うときは結合して使うようにしましょう。
次回予告
近いうちにQiitaにて公開予定
- 司会のおしごとについて
- 録画の編集方法について
- 勉強会用の設備や回線について
おたのしみに。