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進化戦略の具体例(実数パラメータ編)

Last updated at Posted at 2017-07-01

進化戦略を実数パラメータの最適化問題に適用した場合の実験例です。進化戦略とは何かというのは、 http://qiita.com/yukoba/items/ed40e0c4f4a27b73c6b8 をご覧ください。

実数パラメータの最適化問題の最も簡単な問題例として、線形回帰のパラメータの最適化を本記事では採用しました。進化戦略は例えば組合せ最適化と実数パラメータの最適化を同時に行えたりなど、もっと複雑な問題に良さが出るのですが、線形回帰のパラメータの最適化には、他にもっと良い方法があるので、この例題は実用性はないです。

データセットは、scikit-learn のボストン住宅価格データセットを使いました。入力は13次元の実数ベクトル、出力は実数です。なのでパラメータは ax + b の a が13個、bが1個の合計14個です。

ソースコード

実験のソースコードは https://github.com/yukoba/EvolutionStrategyLinearModel をご覧ください。

厳密解

線形回帰なので厳密解が求まります。$R^2$ の最大値は 0.740607742865 です。

from sklearn.datasets import load_boston
from sklearn.linear_model import LinearRegression

(x, y) = load_boston(True)
lr = LinearRegression()
lr.fit(x, y)
print(lr.score(x, y))

比較対象

全て自己適応進化戦略です。

名称 選択 交叉 戦略パラメータの交叉 戦略パラメータ数 τ
方式1 + 確率0.8 片方 14 1/sqrt(2)
方式2 + 確率0.8 平均 14 1/sqrt(2)
方式3 + なし 交叉なし 14 1/sqrt(2)
方式4(最善) + 確率0.8 片方 14 1/sqrt(2*14)
方式5 + 確率0.8 平均 1 1/sqrt(2*14)
方式6 , 確率0.8 片方 14 1/sqrt(2)
方式7 + 確率0.8 平均 14 1/sqrt(2*14)

事前の予備調査で方式1が最善かなと予想していたので、(全て試すと組合せ爆発するので)それからずらした形で調査しました。しかし記事を書いているうちに方式4が最善であることが分かりました。

子孫数は全て30です。パラメータの初期値は平均0・分散1の正規分布です。戦略パラメータの初期値は0.1です。

  • 選択:プラス選択(+)は親と子孫を両方残して最善100個体残す方法です。カンマ選択(,)は親を残さず子孫の中から上位10個を次世代の親としています。評価回数を固定にするため、子孫数は30で統一しています。
  • 交叉:確率0.8とは、80%の確率で交叉あり、20%の確率で交叉なし(親1つ)の意味です。交叉する場合は親は2つです。パラメータは、2つの親から50%ずつの確率で選んでいます。
  • 戦略パラメータの交叉:交叉する際に、「片方」は、2つの親から、パラメータを選んだ方の戦略パラメータを採用する方法です。「平均」とは、2つの親の戦略パラメータの平均を使います。
  • 戦略パラメータ数:14とはパラメータと同数の戦略パラメータを使うという意味です。1とは戦略パラメータは1つにして使い回しするという意味です。
  • τ:戦略パラメータの変化する速さです。

収束の様子

方式1では、このような感じで厳密解の 0.74 に収束していきます。

method1.png

実験結果

どの $R^2$ に収束するかは確率的事象なので、100回行いヒストグラムにしました。反復回数1,000回と10,000回を調査しました。

反復回数1,000回

まだ収束する前の反復1,000回の段階では最善は方式1です。

方式1 方式2
1_1000.png 2_1000.png
方式3 方式4
3_1000.png 4_1000.png
方式5 方式6
5_1000.png 6_1000.png
方式7
7_1000.png

反復回数10,000回

方式1はτが大きすぎて、最後収束していません。方式2のように戦略パラメータを交叉時に平均を取ると3桁合い、方式4のようにτを1/sqrt(2*パラメータ数)にすると5桁合います。

方式1 方式2
1_10000.png 2_10000.png
方式3 方式4
3_10000.png 4_10000.png
方式5 方式6
5_10000.png 6_10000.png
方式7
7_10000.png

結論

ボストン住宅価格データセットおよび線形回帰での結論です。

  • 交叉は効果あります。
  • 戦略パラメータはパラメータ毎に用意すると良いです。
  • 交叉時に、戦略パラメータは採用したパラメータの方の戦略パラメータを採用すると良いです。
  • 戦略パラメータの変化の度合いを表すτは 1 / sqrt(2 * パラメータ数) が良いです。
  • 選択時に親を残すプラス選択の方が良いです。
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