はじめに
調査会社が予測した市場規模の値を使って、X年後の市場規模がこのぐらいで、弊社はこのぐらいシェア取りたいから、予算をこのぐらい取ろう、なんてやっている人がたくさんいると思いますが、そもそも市場規模の予測って当たっているのか。過去の予測値を検証した例が見当たらなかったので、一例としてまとめてみました。
パブリッククラウドサービスの市場予測の例
IDC Japanによるパブリッククラウドサービスの市場予測が、2008年から継続的に行われており、過去のプレスリリースをweb archiveから拾えたので、こちらを例としてまとめてみました。
横軸が予測した年で、その年の実績推定値と共に5年後の予測値が出されてます(2009年だけ4年後の予測値だったので省いてます)。
2008年〜2010年のプレスリリースではクラウドの市場予測と記載されておりパブリッククラウドと明示されてませんでした。ただし、2009年および2010年はプライベートクラウドの市場予測のプレスリリースが別途出ており、これよりも大きな値が予測されていたので、おそらくパブリッククラウドの市場予測だと思われます。
パブリッククラウドサービスの市場として何を含めているのかはプレスリリースには明示されてませんでした(レポートには書かれていると思いますが、見てません)。年によって何を市場に含めているかが変わっている可能性があります。そのため、予測が実績推定値とずれているからと言って、必ずしも予測が外れたとは言えない可能性があります。例えば、2009年の実績が596億円と出しているにもかかわらず、2010年の市場規模が前年比で45.3%増の454億円とプレスリリースには書かれており、値が合いません。
結果
実績と予測が共に出ている年は、2013年、2015年〜2018年だけですが、その後の予測値を見ても実績は予測よりもかなり上振れしているように見えます。
そもそも当たると思って予測値を使っている人などいないのかもしれませんが、予測の実績を知っておくと良いでしょう。