ChatGPT のコード生成には、大きく分けて 2 つの依頼方法があります。
「完全なコードを下さい」とお願いする方法と、「修正差分だけを下さい」と依頼する方法です。
この 2 つを適切に使い分けることで、意図しない改変を防ぎながら効率的に開発を進めることができます。
1. 最初は「完全なコード」を貰う
まず新しい機能やプロジェクトを始める時は、ChatGPT に対して「完全なコードを提示して下さい」と依頼します。
理由は、初期段階では全体像が曖昧なため、部分的な修正を積み重ねるよりも、ひとまず ChatGPT が考えるベスト構成を出してもらった方が議論を進めやすいからです。
この段階で構造・設計・命名・責務分割なども含めて一度に整うため、後の修正が非常にやりやすくなります。
また、誤った前提や仕様の抜け漏れを見つけるのにも役立ちます。
2. 次以降の変更は「修正差分」を貰う
初期コードが固まったら、以降の変更依頼は「修正差分だけを提示して下さい」と ChatGPT に伝えます。
これは、全体を再生成すると ChatGPT が意図しない変更を加えてしまったり、既存の動くコードが壊れたりする可能性があるためです。
特に次のようなケースを避けるために差分方式が有効です。
・突然変数名が変更されてしまう
・関係ない処理が「最適化」と称して書き換えられる
・コメントや改行が消えて読みづらくなる
・ライブラリの書き方が別のスタイルに変わる
・動いていた箇所のロジックが壊れる
差分だけで修正を依頼すれば、変更点が明確になり、手動での統合もしやすくなります。
「〇〇メソッドだけを提示して下さい」「修正が必要なメソッドだけを出力して下さい」といった依頼方法も有効です。
全体コードを再生成させず、必要な部分だけを取り出すことで、修正作業の手数を大幅に減らすことができます。
3. 例外:コードが短く、修正差分が多い場合だけ「完全なコードを再出力」
もちろん例外もあります。
コードが 50 行程度の小規模なものだったり、大幅改修で差分の方が逆に読みにくい場合には、改めて「全体を再出力」してもらった方がスムーズです。
ChatGPT の回答は一度に整形されるため、大きめのリファクタリング時は全体版の方が最終的に読みやすくまとまります。
判断基準としては以下の通りです。
・差分の方が見づらい → 全体出力
・変更点が少ない → 差分出力
・動くコードを壊したくない → 差分出力
・仕様が大きく変わった → 全体出力
※同じバグが何度試しても修正できない場合は、例外として「完全なコード」を改めて生成してもらいます。
差分では原因が追いきれないケースでは、全体を出し直してもらった方が確実に問題を解消できます。
4. この運用で得られるメリット
この運用を続けることで、ChatGPT を安全かつ効率的にコーディングパートナーとして活用できます。
・無関係な改変が減る
・修正意図が明確になる
・比較が容易でミスが少ない
・過去のコードベースを維持しやすい
・段階的改善がやりやすい
・プロトタイプから安定版までスムーズに移行できる
特に長期プロジェクトでは、ChatGPT が独自判断でコードを「良かれと思って直してしまう」問題を避けられるのが大きなメリットです。
小規模な開発例ではありますが、
https://uni928.github.io/TestYou/index40.html
にて 修正依頼の流れを実際のサンプルとして公開しています。
ChatGPT への指示方法や差分修正の進め方がイメージしやすくなると思いますので、よろしければご覧ください。
修正差分は機械的に反映し、生成されたコードの解析は、可能な限り避ける運用を個人的にはおすすめしています。
理由は こちら で言及しています
5. 「プロジェクト」機能
また、ChatGPT を使った中規模以上のプログラミング開発では、「プロジェクト」機能を積極的に活用することをおすすめします。
(Codex も強力だと聞きますが、私はまだ本格的には試せていません。)
プロジェクト機能を使うことで、同じコードを何度も貼り付ける必要がなくなり、
やり取りが進むにつれて会話量が肥大化し、コンテキストが破綻する——いわゆる「文脈崩れ」も防止できます。
特に複数ファイルが絡む開発や、段階的に改修を進めるケースでは、プロジェクトにコードをまとめておくことで
ChatGPT が常に最新の状態を正しく理解したうえで回答してくれるため、作業効率が大きく向上します。
6. まとめ
ChatGPT をプログラミングで使い始めたばかりの人には意外と知られていませんが、
「最初は全体コード → 以降は差分」という運用は非常に強力です。
ChatGPT の自動補完力と、人間のレビュー力を組み合わせて、より高品質で安定したコード開発ができるようになります。
プログラミングに ChatGPT を使っている方の参考になれば幸いです。