最近、本屋に平積みされているだけでなく、さまざまなプロモーションも目につく「お金2.0」。賛否両論、さまざまな議論もネット上で盛り上がっていますが、ネットベンチャーの社長で、「タイムバンク」という「時間」を仮想通貨のように売買できるサービスを作った人が書いた本だけに、ネット・IT・AI・ブロックチェーンなどのさまざまな技術や世の中の成熟化などが組み合わさって、今後の世の中がどのように変化していくかという統合的な視点は興味深いものがあります。その「お金2.0」の解説とともに、その中でもとりあげられている、AI・ブロックチェーンの現在の限界とどこまでできるようになっているのか、が見えてくる記事を3つご紹介します。
※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
TechCrowd: https://www.techcrowd.jp/related/
「お金」の概念は大きく変わろうとしている。『お金2.0』が提示する未来の経済
Business Journalの新刊紹介記事です。「お金2.0」という書籍は、お金や経済そのものの概念が変わろうとしている今、新しく登場しつつある「新しい経済」の姿を解説してくれている本とまとめてくれています。
さまざまな技術や世の中の変化をとりあげている本ですが、この記事の中でまず取り上げているのは「トークンエコノミー」と経済の分散化。トークンエコノミーという言葉はときどき見かける言葉で、仮想通貨と関連して見かける印象がありますが、いままで基本的にひとつの経済にみなが属していたのが、さまざまなネットワーク・コミュニティがそれぞれの独立した「経済圏」にもなっていくことを指しています。貨幣を発行することには超過利潤が伴うため、さまざまなネットワーク・コミュニティは仮想通貨を発行して独立した経済圏となっていくので、誰もが「経済」を自分で作れる世の中になり、みなが属しているひとつの経済の中でうまく効率的にやる競争というよりは、ほかにはない独自の意義・価値をもったネットワーク・コミュニティを創る競争に世の中が変わっていくと予言しています。
お金2.0 - NewsPicks
「お金2.0」は幻冬舎の出版ですが、NewsPicks Bookとうたわれているくらいで、ネット上のプロモーションはNewsPicks上にフォーカスされています。中身は会員登録(無料)しないと見ることができませんが、さわりの部分は未登録でも読むことができて、検索エンジンにもひっかかります。このページもそのひとつで、堀江貴文さんのコメントやそれに反応したコメントなどが興味深いです。
・お金2.0に記載されているように、多種多様なモノに価値がつくようになると、 その価値を理解するリテラシーが必要となってくる
・AIで人がやっていた仕事が機械におきかえられていく。究極的には社会にとって役立つことはすべて機械におきかえれる。その意味で「社会にとっていま役に立たないこと」をだんだんやったほうがいい
このページの「続きを読む」の中では、「お金2.0」の著者である佐藤航陽さん、CASHを立ち上げた光本さん、堀江貴文さんの対談がされています。堀江貴文さんが「白トリュフ」の事例をあげています。イタリアでは「お金持ちよりもトリュフ持ちのほうがモテる」といわれるので実際にイタリアに入手しにいった経験を話しているのですが、やってみて確かにトリュフ持ちはお金持ちよりもまったく上だったという話をしてくれています。
「お金2.0」もいろいろな話がつまっていて興味深い本ですが、さまざまな内容がつまっているのでまずはこのようなさわりの紹介や関連話題にふれているプロモーションコンテンツを読んでみると興味を高めて本も読めるかもしれません。
Googleの登場で知識がコモディティ化し物知りであることに価値がなくなった、それと同様に、今後、お金そのものもコモディティ化し、今ほど貴重なものとは考えられなくなる
「お金2.0」を読んでもらうと、なるほどと思うと思います。
人工知能は常識を持てるのか--FacebookのAI研究者が語る
CNETがFacebookのAI研究グループ担当ディレクターのYann LeCun氏にAI研究の最前線をインタビューした記事です。
「お金2.0」の中でも、人工知能により、いまの人々が行っている仕事の多くが機械に代替された後の世界でベーシックインカムなどが導入されて、人々が生きるために仕事をしなくてよくなる度合いがいまよりもさらに進んだ世の中での、「お金」の価値の低下や、そのような世の中で価値をもつものが何かについて解説していますが、本当にAIによって仕事はなくなっていくのでしようか。どこまで機械に代替されてそれはいつころ実現することなのでしょうか。
ディープラーニングという技術によって、あとは大量のデータを用意して、順次、学習させたシステムを組み上げていけば、多くの仕事は機械に代替されそうなイメージでも取り上げられることが多いですが、いまのAI・ディープラーニングでできることとできないことについての議論・解説もだいぶ見かけるようになってきました。
この記事のそのひとつですが、いまのAIにできないことは、人間がもっている豊富な背景知識や常識をもっておらず、それらを使って言語や画像などを解釈することができないことです。そのため、現在のAIのシステムは人間がデータを大量に用意して学習させた特定の分野に限定して機能する専門分野ごとのシステムとなっています。
AIスピーカやiPhoneのSiriなどは常識をだいぶ持っているのではないかとも思いますが、家庭やスマホに対してよく行われる問いかけを大量に学習させている専門のAIシステムなのかもしれません。
しかし、汎用AIの実現にはまだ時間がかかるとしても、ITとインターネット・スマホが「知識」をコモディティ化して、物知りであること、ある分野に詳しいことだけではあまり価値を産まなくなったように単なる情報処理力は機械にどんどん代替されていくのでしょう。おそらく、その最先端が銀行でだからこそ、メガバンクはそれぞれ一万人単位での人員削減を発表して、企業変革を進めているのでしょう。
アーキテクチャから考えるブロックチェーン検証3つのステップ
@ITの「ブロックチェーンの検証現場で何が起きているのか」連載特集記事です。リクルートテクノロジーズの社内ラボで行なっている、主に非金融領域に対するブロックチェーンの活用に向けたR&Dを紹介しています。
Bitcoin, Ethereumがオープンソースであり、ブロックチェーンの基盤技術を推進するHyperledger fabricというオープンソースのコンソーシアムも存在するブロックチェーンという分野はオープンソースが主導している領域です。
この連載記事では、ブロックチェーン関連領域のオープンソース技術も使いながら転職関連サービスなどの悲金融分野へのブロックチェーン技術の適用を具体的にどのようにできるか、検証した結果を解説してくれています。
ブロックチェーンは興味深いものの、実際のシステムを作ろうとすると一般的なWebやモバイルのアプリなどよりも技術的なハードルが高い印象もある分野かと思いますが、この記事を読むと、オープンソースの資産も蓄積されてきて
十分、ネットベンチャーにも手を出せる分野になりつつあることがわかります。
ネットビジネスを成功させるために大切な3つのこと
東大TVにのっている、東京大学プレミアム・サロンでサイバーエージェントの藤田晋社長の講演動画です。その後半で、「ネットビジネスを成功させるために大切な3つのこと」を説明してくれています。
サービスは内製すること
デザイン、企画、技術、すべて内製するのが成功するために重要とのこと。アイディアを形にする仕組み作り
アイディアを出すだけでなく、詰めてビジネスとできるまでの形作りを
単に個々の担当者が頑張るだけでなく、会社としての仕組みを用意することが重要
(でないとなかなか継続的に作り出していけない)運用力
ネットビジネスでかせぐまでの形にするためには、サービスを出した後の
継続的な改善、何度も繰り返すイベントなど泥臭い努力の積み重ねが重要
「お金2.0」は、ネットビジネスの先にくる、分散化された経済がいろいろできてくる世界の話をしていますが、その際に重要となるコミュニティ・ネットワークの構築やそのための意義をまず見つけることや人を巻き込む仕組みなどは、ネットビジネスにも共有する面がありネットビジネスの最前線であめーばブログをはじめさまざまなスマホのサービスを立ち上げてきた藤田さんの「ネットビジネスを成功させるために大切な3つのこと」は興味深い話です。