概要
詳細はこちらの記事を御覧ください.
上記のページでは, シミュレーションを使って, 企画成功までの声掛け人数や, 企画成功率を求めていました.
すごい面白かったので, ぜひご覧ください.
これを読んだ自分は, 「これ, シミュレーションを使わずに手計算で解けるじゃん」と思ったので, この記事を書きました.
成功確率について
声をかけた人を順番に①②③④⑤とします.
このとき, 5人の所持金の順序が, ①<②<③<④<⑤になる率が成功確率となります.
所持金が同率にならないと仮定すると, 5人の順序のパターンは5!=120通りあるので
p_{成功}=\frac{1}{5!}\simeq 0.833 \%
となります.
元記事の成功確率が84%なので, 概ね正しい結果が得られました.
平均声掛け人数について
確率分布
先ほどと同じ考え方で, $n$人声掛けして失敗したときの確率を計算していきます.
仮に, 5人声掛けして失敗した場合の確率は
\begin{align}
p(人数=5,成否=☓)&=p(①<②<③<④, ④>⑤)\\
&=p(①<②<③<④)-p(①<②<③<④<⑤)\\&=\frac{1}{4!}-\frac{1}{5!}
\end{align}
このようにして, 「人数」と「成否」の同時確率を求めると結果は下表のようになります.
人数 | 成否 | パターン | 同時確率 |
---|---|---|---|
5 | ○ | ①<②<③<④<⑤ | $\frac{1}{5!}$ |
5 | ☓ | ①<②<③<④, ④>⑤ | $\frac{1}{4!}-\frac{1}{5!}$ |
4 | ☓ | ①<②<③, ③>④ | $\frac{1}{3!}-\frac{1}{4!}$ |
3 | ☓ | ①<②, ②>③ | $\frac{1}{2!}-\frac{1}{3!}$ |
2 | ☓ | ①>② | $\frac{1}{2!}$ |
成功時の一回あたりの平均声掛け人数
成功時の平均声掛け人数$n_{成功}$は5になります.
n_{成功}=5
失敗時の一回あたりの平均声掛け人数
失敗時の平均声掛け人数$n_{失敗}$は条件付き確率の期待値で計算でき
\begin{align}
n_{失敗}
&=\sum_{k=2}^5 k \cdot p(人数=k | 成否=☓)
\\
&=\sum_{k=2}^5 k \cdot \frac{p(人数=k , 成否=☓)}{p(成否=☓)}
\end{align}
のようになります.
1式目から2式目の変形で$p(A|B)p(B)=p(A,B)$を使用しました.
ここで分子の$p(人数=k , 成否=☓)$は上の表から, $p(成否=☓)$は$(5!-1)/5!$と求まるので, $n_{失敗}$は計算できます.
これを求めると
n_{失敗}=\frac{320}{119}
となります.
成功するまでの累計平均声掛け人数
一応真面目に計算します......
成功するまで試行を繰り返すときの確率分布は幾何分布(負の二項分布)に従うことが知られています.
$k$回目で成功する場合の確率$\mathrm{Pr}(k)$は
\mathrm{Pr}(k)=p_{成功}(1-p_{成功})^{k-1}
また, 幾何分布の期待値は
\sum_k k\mathrm{Pr}(k)=\frac{1}{p_{成功}}
となります.
$k$回目の試行で企画が成功したとします.
このときの累計声掛け人数の平均値$m_k$は
m_k = n_{成功}+(k-1)n_{失敗}
となります.
よって成功するまでの累積平均声掛け数は
\begin{align}
\sum_k m_k\mathrm{Pr}(k)
&=\sum_k \{n_{成功}+(k-1)n_{失敗}\}\mathrm{Pr}(k)
\\
&=(n_{成功}-n_{失敗})\sum_k \mathrm{Pr}(k) + n_{失敗}\sum_k k\mathrm{Pr}(k)
\\
&=n_{成功}-n_{失敗}+\frac{n_{失敗}}{p_{成功}}
\\
&=325
\end{align}
となります.
元の記事の声掛け人数が322人なので概ね正しい結果と言えます.
まとめ
手計算で, シミュレーションと同じ結果が得られた.
めでたい