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プロダクトオーナーがマーケターもやってみた1年の振り返り

Last updated at Posted at 2017-12-23

はじめに

はじめまして。
クラウドワークスにて、マーケティング・プロダクトオーナーを担当している @tenbrother です。

クラウドワークスに入社して早3年が経ち、初めはエンジニア、次にプロダクトオーナーに転身し、そして今年の6月からマーケティングも担当することになりました。1

自分から異動を希望していた訳ではないのですが、マーケティング業務もエンジニアリング・デザインが必要になる上で連携度を高めていきたいという組織面での要請と、自分自身のキャリアとしてマーケティングも担当することで事業全体を俯瞰できるイメージが湧いたので、異動を決意しました。

余談ですがTwitterを眺めていたらこんなツイートを見つけてしまいました...
プロダクトオーナーを経由してますが、私自身まさにエンジニア上がりのマーケターになります。

プロダクトオーナーからマーケティングまで関わることで学んだことも多く、その学びについてこの記事でお伝えさせていただきます。
どなたかのキャリアの参考になれば幸いです。
(エンジニア→プロダクトオーナーへの転身については大分前の話になりますので割愛です)

エンジニアリング・デザインとの連動

異動してみて改めてマーケティング部門は、エンジニア・デザイナーと連携しないと何もできない組織だと感じています。

例えば、以下SEO・WEB広告・MAツールの導入・運用といったWEBマーケティングの主要業務には、全てエンジニアリング・デザインが必須となります。

  • SEO:URL構造・HTMLの修正
  • WEB広告:広告クリエイティブの制作、タグの埋め込み、データ連携処理の実装、LP改善のデザイン・実装
  • MAツール導入・運用:タグの埋め込み、データ連携処理の実装

思えば、私自身エンジニア・PO時代には、SEOやWEB広告などの施策に対して何となくの怪しいイメージも持っていました。

それも踏まえると、マーケターは一緒に業務で関わるエンジニア・デザイナーのメンバーに対して、「なぜやるのか?」「他の業務に対して優先順位が高いのか?」を丁寧に伝えていく必要があると考えています。

例えば、クラウドソーシングサービスは、お仕事を依頼したい方(=発注者)とお仕事を受注したい方(=受注者)をマッチングさせるサービスです。

その他のマッチングサービスの基本構造と同じく、「仕事はいっぱいあるけど働き手がいない」「働き手はいるけど仕事はない」といった需給バランスのズレを埋めにいかなければ、ユーザー満足度を下げる形になります。

その中において、(費用がかかるものの)短期的に多数のユーザーを集客できるWEB広告は、働き手が足りないという発注者の不満や、仕事が足りないという受注者の不満を早期に解決する効果を持っています。
そのような目的から話せると、マーケティング活動の意義が伝えることができるかもしれません。

(新規ユーザーの集客だけでなく、プロダクト改善・リテンションマーケなどによる継続ユーザーの増加も需給バランスを埋める手段として考えられますが、まず継続ユーザーだけで需給バランスのズレを埋められるかという計算をしてみると良いと思っています)

ちなみに、マーケティングツールの営業の方と話していると、「開発・デザインなしでマーケティング活動を実現できる」ことを強調されていることも多く、開発・デザイン面での連携で課題を感じているマーケティング部門が世の中に一定数存在することが推測できます。

この場合、インパクトの大きい施策が開発工数がかかるから、あるいは調整コストがかかるからと言った理由で見送りになる本末転倒なケースも見られるかもしれません。

また、マーケターがLP改善などの簡単な修正だけでなくデータ連携などの重めな実装まで進めてしまう企業もあるようです。
(弊社マーケターは、簡単なLP修正・A/Bテスト・SQL・タグの埋め込みはできます)

事業を俯瞰して捉えられる

異動前に期待していた通り、プロダクトオーナーがマーケターをやってみることで事業全体を俯瞰できる側面はあると感じています。マーケティングが得意とする集客領域がキーになる事業モデルも存在します。

例えば、BtoB向けのSaaS製品などは、年間契約も多く見られる上に、顧客の業務に組み込まれてしまえばスイッチングコストが高く解約率も低くなることが見込めるため、いかに先手必勝で顧客を獲得するかがポイントになるところがあります。例えば、調達した資金をテコにCMに投下するBtoB向けSaaS製品も見られます。

また、クラウドソーシングを初めとするマッチングサービスも新規顧客の獲得が非常に重要です。
例えば、クラウドソーシングでは、発注者が増え仕事が多くなれば働き手にとっては自分にあった仕事に出会える可能性が上がり満足度が高まり、受注者が増えれば発注者とってはすぐに働き手に出会えるサービスとなり満足度が高まります。

このようにユーザーが増えれば有利になる性質はネットワーク効果と呼ばれ、一定のユーザーシェアを獲得したサービスが一人勝ちするパターンとなります。

以下記事にもある通り、ユーザーの増やし方は新規集客と継続率の増加の二通りの攻め方がありますが、マッチングサービスの場合はどちらもフルパワーで頑張る形になります。

「穴あきバケツの成長モデル」の話

逆にプロダクトオーナーの役割が明確に捉えられるようになった

プロダクトオーナーに期待する役割は聞いてみると各社様々で、どのようなプロダクトオーナー像を担うべきか悩まれる方も多いのかもしれません。個人的にはマーケティングも担当してみることで、むしろ逆にプロダクトオーナーが担うべき役割が明確になってきた印象を持っています。

私自身の考えとしては、プロダクトオーナーの役割は事業モデルによって変わってくる側面があると思っています。

例えば、月額課金SaaS製品や人材サービスなど掲載課金のモデルの場合、セールス・マーケで獲得した顧客数に課金単価を掛け合わせることで売上が計算できるので、基本業績目標は営業・マーケが持ち、その分プロダクトオーナーは解約率・NPSなど業績との紐付きは強くないKPIを追います。

一方、ニュースアプリのような広告収入モデルやフリマ・クラウドソーシングような手数料モデルでは、セールス・マーケの獲得・集客だけでなくCV率などプロダクトの指標が業績に密接に紐づくので、プロダクトオーナーも流通総額などのKGIからブレークダウンしたKPIを持ち、結果事業成果に対する責任を強く持つ形になると思います。

また、「プロダクトオーナーにしかできない仕事は何か?」と考えると、案外プロダクトオーナーはマーケティング的だと感じるようにもなりました。

個人的に参考にしている以下記事のプロダクトオーナーのスキルマップを元に、各スキルを分類・整理して見ました

プロダクトマネージャーの仕事/スキルとエンジニアとのスキルギャプ

A、プロダクトオーナーがやらなければいけないもの

①マーケティング力:市場環境理解・競争環境理解・顧客課題理解
②財務会計基礎知識と評価力:予算モデル > KPI > 施策評価・投資効果評価・PL/BS/CF>事業業績評価

B、エンジニア・デザイナー・データサイエンティスト等、他メンバーと協働して推進するもの

③開発運用ノウハウ:Scrumなどのプロセス知識・技術的にできそうなイメージ・UMLなどのモデリング
④UX/UI基礎力:UX5階層モデル・デザイン思考、人間中心設計・レイアウト/カラー/タイポグラフィ
⑤分析力:定量分析・定性分析・分析ツール/SQL

C、社会人基礎力的なもの

⑥課題解決力:論点設定力・課題構造整理力・解決策提案力
⑦巻き込み力:ファシリテーション・ストーリーテリング・プレゼンテーション

クラウドワークスのプロダクト組織においては、プロダクトオーナーはデザイナー・エンジニアのメンバーとチームを組んで活動しています。

その中で、Bの「開発運用ノウハウ」「UX/UI基礎力」「分析力」といったところはチームに頼れるスペシャリストがいますので、チームの強みを引き出すコミュニケーションや環境作りといった支援者的な役割をプロダクトオーナーを意識すべきだと考えています。

一方、Aの「マーケティング力」「財務会計基礎知識と評価力」はチームに担う役割のメンバーがおらず、プロダクトオーナーがやるしかありません。

この領域は、エンジニアリングやデザインともやや毛色の違う領域で、チームのスプリントで進めている業務と異なり孤独な側面もあります。また、Bのスキルを活かして活動している方が実務的で仕事している感もあるので、重力がかかるが如く容易に流れていってしまい、成果に向かうというよりも調整役・こぼれ球を拾う役のようになってしまいがちです。(自戒を込めて)

プロダクトオーナーはAの領域に留まることを意識し続ける必要があり、そういった意味でも前述の記事で述べられている「プロダクトマネージャーはマーケターである」という言葉の通りなのかもしれません。

おわりに

エンジニア → プロダクトオーナー → マーケターというキャリアはレアなケースなのかもしれませんが、サービスが動く仕組みを理解した上で事業を俯瞰して捉えられるキャリアを進めるので、個人的にはオススメします。

どなたかのキャリアの参考になれば幸いです。


  1. マーケティングの定義に関してですが、弊社においてはWEBマーケティング(WEB広告・SEO・MAツールなど)が中心と捉えていただいて差し支えありません。 

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