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新卒総合演習メンター記録 — 2ヶ月で完走させるための実務ログ

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Last updated at Posted at 2025-12-12

この記事はウェブクルー Advent Calendar 2025 の10日目の記事です。
昨日は@ysawaさんの「 Scalaのコンパニオンオブジェクトとは 」でした。


はじめに

本記事は、私が新卒向け総合演習において、
フロントエンド側メンターとして約2ヶ月間伴走した記録をもとにしています。

  • 立場
    新卒3名(フロントエンド1名・バックエンド2名)に伴走したフロントエンドメンター

そのとき実際にやったこと・考えたことを時系列でまとめ、どのようにして研修を進行したのかをご紹介いたします。


研修の概要

本記事で扱う「総合演習」は、
新卒社員3名で1つのWebアプリケーションを開発する研修です。

チーム構成

  • 新卒メンバー:3名
    • フロントエンド:1名
    • バックエンド:2名
  • メンター:2名
    • フロントエンド担当(筆者)
    • バックエンド担当

研修内容

  • 企画・設計・開発・テスト・リリースまでを一気通貫で実施
  • 最終日に成果発表を行う

フェーズ構成と期間

  • フェーズ1:オープニングオリエンテーション(1日)
  • フェーズ2:アイデア発表会(1日)
  • フェーズ3:企画(5日)
  • フェーズ4:設計(8日)
  • フェーズ5:開発(28日)
  • フェーズ6:成果発表準備(3日)
  • フェーズ7:成果発表(1日)

全体で 約2ヶ月間 の研修です。


研修の目的

この総合演習の主な目的は、
開発現場で求められる基礎的な業務能力の向上 です。

単に個人の技術力を伸ばすことだけではなく、
「他者と協働してアウトプットを出す経験」 を重視しています。

総合演習を通じて習得してほしいスキル

技術・ツール面

  • エディタ / 開発支援

    • VSCode / IntelliJ IDEA

      • ソース作成、デバッグ
      • AI開発補助ツール(GitHub Copilot等)の利用
  • コンテナ

    • Docker

      • 基本コマンドの理解
      • 既存イメージの利用
      • MySQLを使用できる状態まで
  • バージョン管理

    • Git

      • 基礎コマンド
      • push / pull / merge
      • ブランチ運用
      • コンフリクト解消
    • GitHubによるソースレビュー

セルフマネジメント

  • タスクの優先順位付け
  • 期限を意識した進行
  • 朝会・夕会など、定期的な進捗共有

自律的な学習姿勢

  • 調査力・質問力の強化

  • 不明点が出た際の基本プロセスの徹底

    1. 自己解決の試行
    2. チーム内での相談
    3. メンターへの相談

この研修では、
「分からない状態をどう扱うか」そのものも学習対象になっています。


フェーズ1:オープニングオリエンテーション

やったこと

  • 自己紹介

  • 総合演習の目的・全体像の共有

  • 使用する技術要素・ツールの共有

  • 全体スケジュールの共有

  • 次のアクションとして「まず企画を作る」ことを明示

  • 企画立案のポイントとして以下を提示

    • 目的・解決したい課題
    • 期待する効果
    • MVP(最低限成立させる範囲)
  • 上記内容をまとめたオリエンテーション資料をパワポで作成し、自己紹介から企画立案のポイントまで順序立てて説明


フェーズ2:アイデア発表会

やったこと

  • 新卒が持ち寄ったアイデアをすべて共有

  • 以下の観点でディスカッションを実施

    • 期間内に実装できそうか
    • スキルアップにつながる内容か
    • 作っている間のモチベーションが維持できそうか
  • ディスカッションの結果、
    「複数チャンネルで自由に投稿・閲覧できるサイト」 を開発テーマとして決定
    (イメージとしては某巨大掲示板のようなもの)

  • 仕様としてアカウント登録・ログイン機能を含めることで、

    • 業務で頻出する認証機能の実装経験が積める
    • フロント/バック双方に実装ポイントがあり、学習効果が高い

    と判断しました。

悩んだ点

面白そうなアイデアは多く出たものの、
2ヶ月という期間で本当に完成できるかどうかは、メンター側でも判断が難しい状態でした。

新卒の「やってみたい」という気持ちを尊重しつつも、
メンターの立場としては 「確実に完走できるか」 という視点を持つ必要があります。

そこで最初に、

  • MVPに明確な線を引く
  • 拡張案は「後半に余力があれば対応する」

という合意形成に、しっかり時間をかけました。


フェーズ3:企画

やったこと

  • 企画発表用の資料作成を依頼

    • 企画書
    • 機能優先順位表
  • フィードバックは以下に集中

    • 課題が具体的か
    • 「このサイトでどうなっていてほしいか」が想像できるか
    • MVPが明確か

悩んだ点

企画書や発表資料に書かれる
課題・目的・効果の表現が、どうしても抽象に流れがちでした。

具体例をそのまま出すと答えを渡してしまうため、

  • 「どのような課題があるのか」
  • 「作成したアプリケーション使った後に何が変わるか」

といった切り口だけを渡し、
表現自体は本人たちの言葉で詰めてもらいました。


フェーズ4:設計

やったこと

  • 設計フェーズとして、以下の設計資料の作成を新卒に依頼

    • ユーザーフロー図
    • ER図
    • 設計書
    • 要件定義書
    • 総合演習用の開発ルールドキュメント
  • これらの資料の作成・レビューはすべて
    総合演習用の GitHub リポジトリ上で Issue を使って実施

  • 各設計資料について、Issue 上でレビューを行い、
    指摘内容をもとに修正 → 再レビュー、という形で進行

  • 企画〜設計フェーズ全体のスケジュール管理として

    • 当初は GitHub Project を利用
    • 途中から、スプレッドシートでの WBS 管理に切り替え
    • WBS の雛形はメンター側で作成し提供

悩んだ点

設計資料そのもの以上に、
レビュー時のやりとりの進め方に悩みました。

当初はレビュー依頼が
「レビューお願いします」で止まることが多く、

  • どこを見てほしいのか
  • どの観点で意見を求めているのか

が共有されていない状態が続きました。

結果として、レビューの往復に時間がかかり、
確認の粒度もばらつきが出てしまいました。

その時に意識したこと・対応

そこで、レビュー依頼時には

  • 「どこを特に見てほしいか」
  • 「どの観点でコメントしてほしいか」

を一言添えることを、明文化して伝えました。

また、レビューコメントでは設計内容の指摘だけでなく、

  • 依頼内容が具体的か
  • 相手が確認しやすい書き方になっているか

といった テキストコミュニケーション面についても
フィードバックを行いました。

この運用を定着させるまでに何度かリマインドが必要で、
どこまで求めるかには悩みましたが、
結果的に後半のレビューはかなりスムーズになりました。


フェーズ5:開発

やったこと

  • 開発期間中は、毎朝簡単な朝会を実施

    • 進捗
    • 詰まっている点
    • 相談したいこと
      を共有する場として運用
  • フロントエンドの開発環境構築は、メンター側で事前に対応

  • 実行環境の構築についても、メンター側で対応

  • 実装は段階的に進行

    • フェーズ1:
      ユーザー認証・アカウント機能
      (新規登録、ログイン画面など)

    • フェーズ2:
      コア機能の構築
      (チャンネルの作成・閲覧、コメント投稿画面など)

  • API のつなぎ込みや画面実装は新卒主体で進行

  • 以下のような、開発を進める上で必要な基礎知識をレクチャー

    • ブランチ運用
    • プルリクエストの作成手順
    • コンフリクト発生時の対応方法

反省点

開発に入るまでの準備部分に想定以上の時間がかかった点が、今回の大きな反省点でした。

  • 開発環境の構築に時間がかかり、なかなか実装に着手できなかった
  • 実行環境の構築完了にも時間を要してしまった

結果として、

  • MVPの実装で精一杯
  • 付加価値機能の構築まで手が回らなかった
  • より多くの技術に挑戦したり、テストを行って品質を高める余地を十分に確保できなかった

という状況になりました。

環境構築は新卒に任せづらく、どうしてもメンター側のタスクになりがちです。
そのため今回の経験から、

可能であれば、総合演習のキックオフ前に
開発環境・実行環境の準備を済ませておくのが理想的

だと強く感じました。

初動がスムーズであれば、
開発フェーズ後半をより「挑戦と改善」に使えた可能性が高く、
今後同様の研修を担当する際には、最優先で改善したいポイントです。


フェーズ6:成果発表準備

やったこと

発表資料の構成は以下を依頼:

  • 背景
  • 概要
  • 使用技術
  • スケジュール
  • 実装機能
  • 担当
  • 学び・反省
  • デモ
  • まとめ

フィードバックでは

  • 表現の統一
  • 具体例の追加
  • 今後の改善案の明記
    を重視。

社内リハーサルを複数回行い、

  • 冗長な箇所の削減
  • 質疑応答の想定
    を行いました。

悩んだ点

「学び・反省」が抽象になりがちでした。

最終的に
「1つの具体エピソード+改善策」 に絞り、
深く掘る構成にしてもらうよう、依頼しました。


フェーズ7:成果発表

やったこと

進行は事前に以下の流れで設計しました。

  • 前説(メンターが担当)
  • 新卒による発表
  • Q&A
  • メンターコメント
  • 上長コメント

初回リハーサルで所要時間を把握し、
本番では内容の密度を上げる形で構成を調整しました。

振り返り

当日はメンター側としてかなり緊張していましたが、
新卒の方々が落ち着いて発表を進めてくれたおかげで、
結果として良い成果発表になったと感じています。


おわりに

これまで新卒研修を数日間担当した経験はありましたが、
約2ヶ月間、メンターとして伴走するのは今回が初めてでした。

その中で、教える立場として多くの学びがありました。
特に、

  • どうすれば新卒に正しく理解してもらえるか
  • どこまで教え、どこからは任せるべきか

といった「教え方の匙加減」には、常に悩まされました。

答えをそのまま伝えたり手伝えば一時的には解決しますが、
それが必ずしも成長につながるとは限りません。
あえてヒントだけを出し、最終的には見守る判断をすることも多く、
そのもどかしさを感じる場面もありました。

大変なこともありましたが、振り返ると非常に学びが多く、
個人的にはとても充実した2ヶ月間だったと感じています。

この記事が、これから新卒研修のメンターを担当される方の
参考になれば幸いです。


明日は@wc-nakayamaさんの投稿になります。お楽しみに!

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