あくまでもやってみたらこうだったよという記録です。
GCCのダウンロード
wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-5.2.0/gcc-5.2.0.tar.gz
※bz2でもOKです。
ダウンロードしたら、次のコマンドで解凍・移動します。
解凍・移動
tarball(.tar.○○ファイル)を利用
tar xf gcc-5.2.0.tar.gz
cd gcc-5.2.0
svn co svn://gcc.gnu.org/svn/gcc/tags/`svn ls svn://gcc.gnu.org/svn/gcc/tags | grep -F gcc_ | tail -n 1` gcc
手動でやりたい場合は
svn ls svn://gcc.gnu.org/svn/gcc/tags | grep -F gcc_
でインストールしたいバージョンのタグ名を確認してから
svn co svn://gcc.gnu.org/svn/gcc/tags/(タグ名) gcc
でダウンロードします。その後、gcc
ディレクトリに移動します。
Gitを利用
ある程度ディスク領域に余裕があり、Gitを使いたい場合は
git clone git://gcc.gnu.org/git/gcc.git
git tag #このコマンドでインストールしたいバージョンのタグ名を確認
git checkout (インストールしたいバージョンのタグ名)
を実行します。その後、Subversion同様gcc
ディレクトリに移動します。
必要なパッケージのダウンロード
contrib/download_prerequisites
ビルド用ディレクトリ作成・移動
公式ではconfigure
のあるディレクトリでコンパイルするのを非推奨としています。ここではそのディレクトリの親ディレクトリに別のディレクトリを作りました。
mkdir ../gccbuild
cd ../gccbuild
今思えばconfigure
のあるディレクトリの下にディレクトリを作ってもよかったかもしれません。(CentOS/RHELの付属コンパイラはこの方法を取っているようです)
configure
../gcc-5.2.0/configure --program-suffix=5 --disable-multilib --enable-languages=c,c++ --host=x86_64-redhat-linux --build=x86_64-redhat-linux --target=x86_64-redhat-linux
元のGCC 4.4.7と共存させるためにsuffixをつけました。また、64bit専用にするつもりで--disable-multilib
をつけました。bootstrapは有効にしてあります。
追記: Javaはいらないので--disable-libgcj
もつけた方がいいみたいです。また、/usr/local
以外にインストールする場合には--prefix
以外にも--with-local-prefix
も指定した方がいいらしいです。(ライブラリのインストール先)あとは「--with-system-zlib --enable--checking=release
」などでしょうか?(更に追記: Clangをビルドする場合は--with-system-zlib
のオプションは付けないでください)(gcc -v
でOS付属のGCCのコンパイルオプションが確認できます)また、--enable-languages
には「s」をつけてください。「s」なしでやってJava・Fortranのコンパイラも抱き合わせられてしまいましたので。これらを総括すると、
../gcc-5.2.0/configure --program-suffix=5 --disable-multilib --enable-languages=c,c++ --host=x86_64-redhat-linux --build=x86_64-redhat-linux --target=x86_64-redhat-linux --disable-libgcj --with-system-zlib --enable--checking=release #--prefix=DIR --with-local-prefix=DIR2 (#の後は場所を変える時のみ)
ビルド
make -j8 BOOT_CFLAGS='-march=core2 -O3'
当方デスクトップ版i5なので-j8
にしました。-j
の直後はコア数の2倍がいいらしいです。ビルドにはかなり時間がかかりました。
追記: stage1だけビルドするにはmake ~ all-stage1
でできるようです。
インストール
porgをインストールしているので次のコマンドでインストールしました。(GCCはmake uninstall
に対応していません)
sudo porg -lp gcc-5.2.0 'make install'
追記:このままだとgccbuild
以下に記録されるファイルがあるので、以下のようにして除外した方がいいと思います。(ついでにmake install
にオプション-j8
をつける)
sudo porg -lp gcc-5.2.0 -E "${PWD}:/tmp:/dev:/proc:/selinux:/sys:/mnt:/media" 'make install -j8'
/usr/local
以外にインストールした場合はパスを通すのを忘れないようにしましょう。
export PATH=(prefixのディレクトリ)/bin:$PATH
setenv PATH (prefixのディレクトリ)/bin:$PATH
コンパイル
まずC言語をコンパイルしてみました。
tatsu@localhostF ~/gcctest> cat hello.c
#include <stdio.h>
#include <math.h>
int main(void) {
puts("Hello, world!");
double inmu = M_E * (pow((M_E + M_PI) * (M_E + M_E + M_PI),M_E) + 1.0 / ((pow(M_PI,M_E) - M_E) * (M_E + pow(M_E,M_PI) - pow(M_PI, M_E))));
printf("Inmu number: %f\n",inmu);
}
tatsu@localhostF ~/gcctest> gcc5 hello.c -o hello
tatsu@localhostF ~/gcctest> ./hello
Hello, world!
Inmu number: 114514.191981
次にC++をコンパイルしてみました。
tatsu@localhostF ~/gcctest> cat cpptest.cpp
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
cout << "(。╹ω╹。)ㄘんㄘんㄟ⁰ㄋㄟ⁰ㄋㄜㄝㄋ" << endl;
int inmu = 0b11011111101010010;
cout << "2進数11011111101010010を10進数に直すと " << inmu << endl;
return 0;
}
tatsu@localhostF ~/gcctest> g++5 cpptest.cpp -o cpptest
tatsu@localhostF ~/gcctest> ./cpptest
(。╹ω╹。)ㄘんㄘんㄟ⁰ㄋㄟ⁰ㄋㄜㄝㄋ
2進数11011111101010010を10進数に直すと 114514
ちゃんと2進リテラルも正しくコンパイルされています。
リンクしているライブラリを確かめる
一見大成功に見えますがちゃんとライブラリとリンクしているか確かめてみました。
tatsu@localhostF ~/gcctest> ldd hello
linux-vdso.so.1 => (0x00007ffd5d99d000)
libc.so.6 => /lib64/libc.so.6 (0x00000039f5200000)
/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 (0x00000039f4e00000)
OS付属の古いライブラリとリンクしています。C++の方も確認してみました。
tatsu@localhostF ~/gcctest> ldd cpptest
linux-vdso.so.1 => (0x00007ffd971cb000)
libstdc++.so.6 => /usr/local/lib64/libstdc++.so.6 (0x00007f0121577000)
libm.so.6 => /lib64/libm.so.6 (0x00000039f6200000)
libgcc_s.so.1 => /usr/local/lib64/libgcc_s.so.1 (0x00007f0121360000)
libc.so.6 => /lib64/libc.so.6 (0x00000039f5200000)
/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 (0x00000039f4e00000)
こちらは一部独自ビルドしたライブラリとリンクしているようです。
ライブラリのパスを通す
環境変数LD_LIBRARY_PATH
にライブラリをインストールしたディレクトリを追加します。
export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:(/usr/localかwith-local-prefixのディレクトリ)/lib64/bin
setenv LD_LIBRARY_PATH LD_LIBRARY_PATH:(/usr/localかwith-local-prefixのディレクトリ)/lib64/bin
まとめ
Subversionを利用
一応GCC5.2はCentOS6で動くということがわかりました。ただし、リンカ(ld)が古いライブラリとリンクしてしまう問題が発覚したので対処しなければならないということが新たにわかりました。GCC4.4.7で利用できない関数は使用を控えるしかありません。Subversionがある場合はSubversionのリポジトリから取ってくる方法もあります。
基本的にバージョン管理システムのリポジトリから取ってくる場合はタグを使用します。最新安定版を使うなら以下のコマンドでgcc
フォルダを作ってその中にソースコード一式がダウンロードされます。
一応GCC5.2はCentOS6で動くということがわかりました。ただし、リンカ(ld)が古いライブラリとリンクしてしまうことがあります。GCC4.4.7で利用できない関数は使用を控えた方がいいのかもしれませんが、そこはよく分かっていません。