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1週間で使われなくなった名刺管理アプリから学んだ設計ミス

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業務アプリ、ちゃんと作ったのに使われない問題

業務アプリを作るとき、「最初からしっかり作ろう」と考えたことはありませんか?自分もこれまで、いわゆる“正しい進め方”だと思って、以下のようにかなり作り込んでからリリースしていました。
• 初期段階で機能をすべて洗い出す
• 将来使う可能性のある機能も含めて設計する
• 完成度を高めた状態でリリースする
一見すると合理的ですが、この進め方は実際の運用とズレるケースが多くありました。
例えば名刺管理アプリでは、入力項目を細かく設計した結果、1件登録するのに1分以上かかる状態になりました。そのため、「後でまとめて登録する」という運用になり、結果として登録自体が行われなくなりました。また、“ちょっと確認したいだけ”なのに毎回画面遷移が発生し、使うたびにストレスを感じる状態だったという声もありました。
結果として、リリース直後は使われても、1週間程度で更新が止まり、アプリは実質的に使われなくなりました。
この経験から分かったのは、最初に要件を詰めすぎるほど、実際の運用との乖離が大きくなり、定着しにくくなるということです。


ちゃんと作ったのに失敗する理由

このうまくいかなかった原因は、自分だけの問題というよりも、業務アプリ開発でよく起きるパターンに当てはまっていました。

要件を詰めすぎる

業務アプリを作るとき、現場の声や過去の運用をもとに「これも必要」「あれも必要」と機能を洗い出していくと、どうしても項目や画面が増えていきます。さらに「将来的に使うかもしれない」という前提で機能を追加してしまい、最初から大きく複雑な設計になりがちです。
自分の場合も同じで、「必須だろう」と考えて入力項目を増やした結果、名刺管理アプリでは10項目以上の入力が必要になり、1件登録するのに1分以上かかる状態になっていました。
最初の段階で完成形に近づけようとするほど、修正もしづらくなり、結果として身動きが取りづらくなる。この傾向は、社内ツールや業務改善アプリでは特によく見られると感じました。

完璧を目指す

もう一つ大きかったのが、「最初から完成度の高いものを作ろうとしたこと」です。
UIを整えたり、細かい仕様を詰めたり、運用ルールまで事前に決めきろうとすると、どうしても開発に時間がかかります。また、「こう使うはず」という前提で設計してしまいがちですが、実際の運用では想定外の使われ方をすることがほとんどです。結果として、「ちゃんと作ったはずの機能」が使われない状態になっていました。

結果どうなるか

こうして要件を詰めすぎたり、最初から完成度を高めようとしたりすると、結果として「使われないアプリ」になってしまうケースが多くなります。
実際に今回も、最初の数日は使われたものの、1週間ほどで更新が止まり、アプリはほとんど使われなくなりました。
これは特定のアプリに限った話ではなく、「最初に作り込みすぎるほど、現場とのズレが大きくなり、定着しにくくなる」という構造的な問題だと感じています。


まずは「最低限の形」で作ってみた

今回は試しに、ノーコードツールを使って名刺管理アプリを作ってみました。
といっても、最初から本格的なものを目指したわけではなく、「最低限使える形」を意識しています。名刺をもらったときにその場で登録できて、あとから検索できる――まずはこの一連の流れが回ることだけを目的にしました。業務アプリとして成立するかどうかを確認するための、いわば“試作品”の位置づけです。

最初の機能

最初に実装した機能は、かなり絞り込んでいます。
• 名刺画像をアップロードする
• 画像から文字起こしする
• 内容を確認して登録する
• 一覧で表示する
やっていることはシンプルで、まずは「登録できる」「一覧で見られる」だけでも十分です。
機能を増やすよりも、「使える流れ」が成立するかどうかを優先しています。作成期間は1日です。アプリ画面数も全体で5画面、遷移数もそれぞれの機能で3回までに抑えました。
ビフォー.png
         (一番初めに作った名刺管理アプリの画面)

やらなかったこと

逆に、最初の段階ではあえてやらなかったことも多くあります。
• 氏名・会社名などの項目分割
• 入力フォームの最適化
• UIデザインの作り込み
例えば、名刺情報は細かく分けず、ひとまずテキストとしてまとめて保存する形にしました。本来であれば項目ごとに分けた方が検索性は上がりますが、最初からそこまで作り込むと設計に時間がかかってしまいます。「後からでもできること」は意識的に削っています。

ここまで機能を絞ったのは、「実際に使われるかどうか」を早く確認したかったからです。業務アプリ開発は、業務改善を目的として行われますが、机上で考えた仕様と現場での使い方がズレることが多く、最初に作り込んでも無駄になるケースがあります。であれば、まずは最低限の形で動くものを作り、実際に使いながら必要な機能を見極める方が合理的です。
また、最小構成であれば修正もしやすく、「ここを変えたい」と思ったときにすぐ手を入れられます。最初から完成度を上げるよりも、試行回数を増やすことの方が結果的に良いアプリにつながると感じました。


実際に使って分かったこと(Before / After)

使って気づいたこと

実際に使い始めてみると、機能そのものよりも「使い勝手」に関する課題が見えてきました。
Beforeの状態では、ホーム画面から各画面へ遷移する構成にしていましたが、操作のたびに画面を行き来する必要があり、思ったより手間がかかることに気づきました。特に名刺を探す場面では、「まず一覧を見たい」というケースが多く、最初の画面としてホーム画面が必ずしも最適ではありませんでした。
また、一覧画面に多くの情報を表示していたため、1件あたりの情報量が多く、ぱっと見で内容を把握しづらい状態になっていました。

追加したもの

こうした気づきをもとに、画面構成を見直しました。
• ホーム画面を廃止し、一覧画面を起点に変更
• 一覧画面に表示する項目を最小限に絞る
• 名刺情報の詳細確認画面を追加
アフター.png
              (修正を加えた名刺管理アプリ)

アプリを開いたらすぐに一覧が表示され、必要に応じて詳細を見る流れにすることで、操作がシンプルになりました。「一覧はざっと確認するための画面、詳細は深く見るための画面」と役割を分けています。

気づき

今回の改善を通して感じたのは、「使いやすさは実際に使ってみないと分からない」ということです。
Beforeでは問題ないと思っていた構成でも、実際に使うと小さな手間が気になるようになります。最初から最適な形を目指すのではなく、使いながら少しずつ調整していく方が、結果的に使いやすいアプリに近づくと感じました。


この進め方はノーコードと相性がいい

「小さく作って、使いながら改善する」という進め方は、ノーコードと非常に相性が良いと感じました。理由はシンプルで、修正のハードルが低いからです。項目の追加や変更、画面の調整などがすぐにできるため、「とりあえず作る→使う→直す」というサイクルを短い時間で回せます。最初から設計を固める必要がなく、試行錯誤を前提に進められる点が大きなメリットです。
今回はノーコードツールで試してみたところ、このやり方とかなり相性が良かったです。(使用ツール:Platio Canvas)項目の追加や画面の調整がすぐに行えたため、使いながら何度も改善を繰り返すことができました。名刺管理アプリの修正もパーツを組み替えるだけなので1~2時間ほどで完了しました。
細かい修正に時間がかからない分、試す回数を増やせたのが印象的でした。

コード開発との違い

コードで開発する場合、ちょっとした変更でも実装やテストに時間がかかることがあります。一方でノーコードは、その場で修正してすぐ試せるため、改善のスピードが大きく変わります。この違いが、「小さく作る」進め方のしやすさにつながっていると感じました。


結論:「使えるかどうか」は、作ってからしか分からない

最初にどれだけ丁寧に設計しても、実際に使ってみると必ずズレが出ます。
今回も、「問題ないはず」と思っていた構成が、実際には手間になり、想定していた機能はほとんど使われませんでした。
結局のところ、机上で考えた“正しそうな設計”よりも、実際に使ってみて得られる気づきの方が圧倒的に価値があります。
だからこそ重要なのは、作り込むことではなく、早く試すことです。
• 最初は最低限でいい
• まず使う
• 違和感が出たら直す
• 必要になったら追加する
このサイクルを回す方が、最初から完成度を高めるよりも、結果的に実用的なアプリに近づきます。業務アプリは「完成させるもの」ではなく、「使いながら育てるもの」でした。
最初から正解を作ろうとするのではなく、「小さく作って試す。」この繰り返しが、一番の近道でした。

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