🧠 はじめに
前編では、機械学習の基本構造や深層学習(ディープラーニング) の仕組みを学びました。
今回はその続編として、「AIをどう活用するか」という実践視点に焦点を当てます。
特に、以下の3つの技術を中心に整理していきます。
- RAG(Retrieval-Augmented Generation)
- ファインチューニング(Fine-tuning)
- MCPサーバー(Model Context Protocol)
本記事の学びのベースは paizaラーニング:生成AI組み込みアプリ開発入門 から得た内容を中心にしています。
paizaの講座を通じて、AIの仕組みを基礎から理解し、開発への応用を意識するきっかけになりました。
🧩 ファインチューニングとは
ファインチューニングとは、既存の大規模言語モデル(LLM)を自分たちの目的に合わせて再学習させる手法です。
LLMはすでに膨大なデータで「事前学習(Pre-training)」されていますが、
特定の分野や企業固有の知識に最適化するには、ファインチューニングが必要になります。
例:カスタマーサポート用AIの場合
- 事前学習:一般的な言語や知識をすでに習得している。
- ファインチューニング:自社FAQや顧客対応履歴で再学習を行う。
- 結果:「自社の言葉やトーンで回答できるAIアシスタント」が完成する。
つまり、既存モデルの能力を土台に、自社専用AIを作る手法がファインチューニングです。
🔍 RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは
RAGとは、検索(Retrieval)と生成(Generation)を組み合わせたAIの仕組みです。
ファインチューニングとは異なり、モデル自体を再学習せずに、外部データを動的に参照して回答を生成します。
RAGの流れ
- ユーザーが質問を送信する。
- AIがその意味を解析し、ベクトル検索などで外部知識ベースを参照。
- 関連するドキュメントを抽出。
- その情報をコンテキスト(文脈)としてLLMに渡す。
- LLMが文脈に沿って回答を生成する。
RAGのメリット
- モデルを再学習せずに最新情報を反映できる。
- セキュリティ的に、安全な範囲のデータのみ参照できる。
- 更新コストが低く、柔軟な知識運用が可能。
RAGの活用例
社内ナレッジやFAQをAIに連携し、社員の質問に常に最新の回答を返すようにする。
これにより、更新のたびにモデルを再学習する必要がなくなる。
🧰 MCPサーバーの役割
MCP(Model Context Protocol)サーバーは、AIモデルと外部システムの間を仲介する安全な中継サーバーです。
直接AIモデルが社内データベースにアクセスするのではなく、MCPサーバーを経由することで、
必要な情報だけを安全にやり取りします。
MCPサーバーの役割まとめ
- 外部AI(LLM)との通信を安全に仲介する。
- 認証やアクセス制御、ログ監査を行う。
- データの秘匿性を確保し、社内ネットワークを保護する。
MCPサーバーを経由することで、AIモデルが不必要に社内データへアクセスすることを防ぐ構造になります。
🔒 セキュリティの全体像
AIを開発に組み込む際に最も注意すべきは、データと通信の安全性です。
特に、機密データや個人情報を扱う場合、RAGやMCPの導入は必須といえます。
| リスク | 対策 |
|---|---|
| モデルが個人情報を学習してしまう | RAGを使って参照のみで回答 |
| 外部通信での情報漏洩 | MCPサーバー経由で通信を制御 |
| 出力に誤情報が含まれる | ファインチューニング+RAGで精度向上 |
これらを組み合わせることで、安全かつ精度の高いAI運用が実現します。
🚀 今回の学びの総括
今回の学びで最も大きかったのは、AIをブラックボックスとして見ない視点を持てたことです。
内部でどのように学習が行われ、どのようにデータが参照・出力されるのかを理解することで、
「AIを使う」から「AIを設計する」視点へと発想が広がりました。
そして今後は、
- API連携によるAI利用
- RAGによる動的データ参照
- MCPサーバーによる安全制御
これらを組み合わせることで、AIをアプリケーションに組み込む開発が現実的になります。
💡 これからの一歩
これからのエンジニアに求められるのは、
単にAIを使うスキルではなく、AIを活かして開発できる力です。
AIの仕組みを理解し、アプリケーションの中でどう連携させるかを考えることが、
次世代の開発スキルの核になると感じています。
「作って、動かして、理解する」
その繰り返しが、AI技術を自分のものにする最短の道です。
📚 参考リンク
✍️ 執筆者メモ
今回の学びを通じて、AIの仕組みを理解し、
RAGやMCPを活用したアプリ開発の方向性を掴むことができました。
これからは、実際に手を動かしてAIを組み込んだアプリ開発に挑戦していきます。

