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ST_GeomFromEWKTとST_GeometryFromTextのどちらを使うべきか

Last updated at Posted at 2017-01-28

Well-known textからGEOMETRY型への変換関数

 CSV等のテキストデータから、PostGISのジオメトリ型を生成する場合、Well-known text形式で記述することにより、ポイント、ライン、ポリゴン等の多彩な表現が可能です。
 PostGISでは、ST_GeometryFromText関数とバージョン1.5から追加されたST_GeomFromEWKTの2つがあります。本投稿は両者の違いを認識し、より使いこなせればと思い調査いたしました。

WKTとEWKTの関係

  • Well-known text(WKT) : Open Geospatial Consortium (OGC) により策定された標準化された規格であり、PostGIS以外にもDB2等の他のRDBでも用いられています。
  • Enhance Well-known text(EWKT) : PostGISが独自に拡張(Enhance)したWKTで標準化されているものではありません。両者の包含関係は下図の用になります。 スクリーンショット 2017-01-28 22.29.17.png

EWKTの拡張内容

PostGIS 1.5で拡張されたもの

  • SRIDの記述
  • 3次元データへの対応
  • 曲線ストリング(CIRCULARSTRING)の対応

PostGIS 2.0から拡張されたもの

  • 多面体サーフェス
  • 三角形と不整三角形網(TIN)

記述例

ST_GeomFromEWKTとST_GeometryFromTextの具体的な利用法を記載します。

Well-known textの記述例

北緯35度、東経140度のポイントデータを記述する場合、型と座標を下記のように表現します。

wkt_point
POINT(140 35)

Well-known textからGeometry型への変換

標準的なWKTの場合に於いては、2つの関数に違いはありません。

  • ST_GeometryFromTextの場合
SELECT ST_GeometryFromText('POINT(140 35)')
  • ST_GeomFromEWKTの場合
SELECT ST_GeomFromEWKT('POINT(140 35)')

ジオメトリオブジェクトにSRIDを設定

旧日本測地系(4301)を設定してみます。EWKTには直接SRIDを表記可能です。

  • ST_GeometryFromTextの場合
-- 第2引数を用いる方法
SELECT ST_GeometryFromText('POINT(140 35)' , 4301 );

-- ST_SetSRIDを用いる方法
SELECT ST_SetSRID( ST_GeometryFromText('POINT(140 35)'), 4301 );
  • ST_GeomFromEWKTの場合
SELECT ST_GeomFromEWKT('SRID=4301;POINT(140 35)');

EWKTのSRIDを記載するにはWKTの前にSRID=番号;という書式で表記します。

PostGISでの動作実験

 ST_GeometryFromTextにEWKTを入力した場合どうなるか調査しました。ST_GeometryFromTextがEWKTを受け入れない仕様でしたら、下記のSQLはエラーが返って来ることが期待されます。
 SRIDの入力を拒否するのであれば、SRIDが未知であるため1行目は-1 が返却される事が期待出来ます。

EWKT_Test
-- test1
SELECT ST_GeometryFromText('SRID=4301;POINT(140 35 10 1)');

-- test2
SELECT ST_GeomFromEWKT('SRID=4301;POINT(140 35 10 1)') ;

-- test3
SELECT 'SRID=4301;POINT(140 35 10 1)'::geometry ;

-- test4
SELECT CAST( 'SRID=4301;POINT(140 35 10 1)' AS geometry )  ;

-- test5
SELECT 'SRID=4301;POINT(140 35 10 1)'::geography ;

No テストケース 動作結果 WARNING出力
1 ST_GeometryFromTextにEWKT 有り
2 ST_GeomFromEWKTにEWKT
3 EWKTをキャスト演算子でキャスト
4 EWKTをキャスト関数でキャスト
5 EWKTをキャスト演算子でGEOGRAPHY型にキャスト

(動作確認時の環境 PostGIS 2.1 USE_GEOS=1 USE_PROJ=1 USE_STATS=1 )

  • テストケース1 ST_GeometryFromTextについては、WARNING: OGC WKT expected, EWKT provided - use GeomFromEWKT() for this というEWKTが入力されていることへのWARNINGメッセージが出力されました。
  • テストケース5 GEOGRAPHY型にキャストされましたが、旧日本測地系のSRIDが指定しましたが、測地変換はされませんでした。

まとめ

「どちらを使うべきか?」という検討では、現在のPostGISの動作ではST_GeometryFromTextもEWKTを受け入れますが、WARNINGメッセージが出力されることが確認されました。EWKTを利用する際には、ST_GeometryFromTextやST_GeomFromTextは利用しないほうが良いと思われます。
 また、キャスト演算子やキャスト関数では、ST_GeomFromEWKTと同様の動作を確認しました。

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