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VR技術者認定試験アプリケーションコース 過去問 音声読上自習用

Last updated at Posted at 2019-11-24

はじめに

概要

本記事は、VR技術者認定試験アプリケーションコースの自習用に作成しました。
通勤時などにスマホの音声読み上げ機能を用いて過去問を効率的に復習することを想定しています。
内容はバーチャルリアリティ学会の公式ページにて公開されている過去問を少し加工したものになります。
対象範囲は2017年、2015年のアプリケーションコースの過去問です。
内容理解については、必要に応じてバーチャルリアリティ学の教科書や、インターネット上の先人の知恵などを参照して頂ければ幸いです。

内容の掲載に問題があった場合は、本記事を消去します。

編集方針

本記事では、以下の方針に基づき過去問本文を加工しています。

  1. 穴埋め問題については、(かっこ)内にそのまま正解のキーワードを入れています。
  2. 最も適するものを選択する問題については、正解の一文のみを問題文の後に掲載しています。
  3. 不適なものを選択する問題については、全文を問題文の後に掲載しており、内容が正しいものについては「正.」、誤りのものには「誤.」を文頭につけています。
  4. 問題文内の( )については音声読み上げ時に補完するため、(かっこ)に変更しています。
  5. 問題文後の【XXの解答群】というキーワードについては、シンプルさのため削除しています。
  6. バーチャルリアリティ学の教科書の章立てに合わせて、見出しを分けています。

ページリンク

各章のトップには以下のリンクよりジャンプ願います。

2017年過去問 第5章 リアルとバーチャルの複合

  • 大問 1-4 :4
  • 小問 1-20:20

2017年過去問 第6章 テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション

  • 大問 5-7:3
  • 小問 21-38:18

2017年過去問 第7章 VRコンテンツ

  • 大問 8-14:7
  • 小問 39-65:27

2017年過去問 第8章 VRと社会

  • 大問 15:1
  • 小問 66-74:9

2015年過去問 第5章 リアルとバーチャルの複合

  • 大問 1-3 :3
  • 小問 1-18:18

2015年過去問 第6章 テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション

  • 大問 4-6:3
  • 小問 19-36:18

2015年過去問 第7章 VRコンテンツ

  • 大問 7-10:4
  • 小問 37-54:18

2015年過去問 第8章 VRと社会

  • 大問 11-12:1
  • 小問 55-64:10

2017年過去問 第5章 リアルとバーチャルの複合

出題数

  • 大問 1 - 4 : 4
  • 小問 1 - 20 : 20

第1問

以下は,複合現実感(Mixed reality: MR)に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 複合現実感とは,VR(Virtual Reality)環境と( 現実環境 )を融合する概念である.
(b) 幾何学的レジストレーション(registration)は,現実世界の中に定義された 3 次元世界座標系から撮像系の 3 次元座標系へのビューイング(viewing)変換と撮像系内の( 投影)変換の二つの変換を用いて,VR 世界の 3 次元座標値を 2 次元座標値に変換することにより実現される.
(c) ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display : HMD)ベース(base)の拡張現実システム(system)に関する説明として間違っているものは( 3 )である.
  • 正.ア. HMD は,一般に低解像・広視野と高解像・狭視野のトレードオフ(trade-off)が生じる.
  • 誤.イ. 網膜投影ディスプレイ(display)は,水晶体の屈折力を用いないため視距離によらず鮮明な映像を観察できる利点があり,屋内用途に向く.
  • 正.ウ. 一般に HMD では像面がすべて同一の視距離に固定され,実世界の奥行きに合わせて提示距離を変更することはできない.
  • 正.エ. 屋外での行動支援をする場合,視野角を犠牲にしても,周辺視野を閉塞しないことが望ましい.
  • 正.オ. 遮蔽矛盾(occlusion inconsistency)は,HMD において解決すべき問題である.

解説.P.147 網膜投影ディスプレイは屋外用途に向く.

第2問

以下は,ウェアラブルコンピュータ(Wearable computer)に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) ウェアラブルコンピュータとは,服のように常時身に着けて使用できる計算機のことである.ウェアラブルコンピュータの特徴として Steve Mann は,恒常性,( 増幅性 ),介在性の三つを指摘している.これらの特徴からも明らかなように,ウェアラブルコンピュータはユーザ(user)の( 現実環境)での活動との親和性に重点が置かれる.
(b) ウェアラブルコンピュータ初のテキスト(text)入力方法の代表格は,Twiddler という名称で有名な( 片手コード(chord))キーボード(key board)である.親指以外の 4 本の各指には 3 個ずつキーが割り当てられており,キーを 2 個同時に押すことでその組み合わせに応じた文字を入力できる.
(c) コンテキスト(context)認識技術に関する説明として間違っているものは( 7 )である.
  • 正.ア. ユーザのコンテキスト認識は,ユーザビリティの高いウェアラブルインターフェースを構築するのに必要不可欠である.
  • 正.イ. 位置を計測・認知するための技術として,AR マーカ(marker)や自然特徴点などを用いた画像の幾何学的位置合わせや認識手法がある.
  • 誤.ウ. 位置を計測するために用いられる GPS(Global Positioning Service)の利点としては,伝達遅延やマルチパスなどの精度への影響が小さいことがあげられる.
  • 正.エ. 位置と向き以外に観測・推定可能でコンテキスト認識に有用な情報の一つに,メール(mail)履歴がある.
  • 正.オ. ウェアラブル AR・MR システムにおいては,実世界と提示情報(VR 物体など)との幾何学的・光学的・時間的整合性以上に意味的な整合性が必要とされる.

解説.P167.GPSの問題点として、伝送遅延やマルチパスなどの精度への影響が大きい.

第3問

以下は,ユビキタスコンピューティング(ubiquitous computer)に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) ユビキタス環境を構築するためには,身の回りのあらゆる場所やモノの状況をセンシング(sensing)し,伝達する近距離無線通信技術によるインフラ(infrastructure)の整備が必要となってくる.このような領域を扱う無線ネットワーク(network)を無線 PAN(Personal Area Network)と呼び,それに実空間をセンシングする機能を付与し,協調して情報を収集するシステムを( センサネットワーク )とよぶ.
(b) センシングに必要なセンサノード(sensor node)のバッテリ(battery)問題に関して,センサノードをデータ(data)通信時以外は休止させるために,近隣のノード間で動作タイミングを順番に管理する( TDMA(Time Division Multiple Access) )や,早いもの勝ちで管理する( CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance) )を扱った方式がある.

第4問

以下は,トラッキングと可視光通信に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 一般に,カメラ(camera)を用いる拡張現実システムにおいて,カメラの( 外部パラメータ(extrinsic parameters) )をリアルタイムに計測することをトラッキングと呼ぶ.トラッキングは,例えば屋内に設置したカメラで撮像系に取り付けたマーカ位置を検出するような(アウトサイドイン(outside in) )方式と,慣性センサを撮像系に取り付けて自身の位置を検出するような( インサイドアウト(inside out) )方式,およびそれらのハイブリッド(hybrid)方式に分けられる.近年は,撮像系のカメラ自体を用いるカメラ方式が主流である.近年はさらに( デプスカメラ(depth camera) )などの特殊なカメラを用いてより高精度なトラッキングを実現できるようになりつつある.また,通常のRGB 画像に対して( ディープラーニング(deep learning))を用いてマーカレス(markerless)で直接被写体の動きを計測するような手法も開発されつつある.
(b) 可視光通信とは,可視光域の光(波長:( 380nm〜780nm ))を用いて人間には知覚できない方式で情報伝達する通信方式のことであり,近年の( 発光ダイオード(LED))技術の進歩に従い実用化が近づきつつある.可視光通信は( 周囲の電子機器に影響を与えない ),( あらゆる照明が固有の情報を発信できる ),などの利点があり,生活空間における様々な応用が期待されている.一般に,可視光通信ではベースバンド(baseband)信号より高周波で変調させたサブキャリア(subcarrier)信号を用い,具体的には周波数変調や位相変調,( パルス(pulse))変調などが用いられる.

2017年過去問 第6章 テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション

出題数

  • 大問 5 - 7 : 3
  • 小問 21 - 38 : 18

第5問

以下は,テレイグジスタンス(telexistence)に関する問題である.(a)~(d)の問いに答えよ.

(a) テレオペレーション(teleoperation)に関する次の説明のうち最も適切なものは( 21 )である.
  • イ. バイラテラル(bilateral)とは,マスターからスレーブに運動指令が伝わるとともに,スレーブからマスターに力の感覚が戻ってくるという意味である.
(b) テレイグジスタンスについて書かれた文章である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

1950 年代までは主にマスター・スレーブ・マニピュレータ(manipulator)を中心に研究が行われていたが,これはマニピュレータの手の部分だけが遠方で仕事をするという限られた状況に限定されている.
これに対し,1960 年代には,操作者の身体を甲羅や鎧状のロボット(robot)で覆い,人間の動作を計測しながら力を増強し,身体全体で制御作業を行う( エグゾスケルトン(exoskeleton) )人力増幅機の研究が行われた.また1970 年代になると,人間がコンピュータ(computer)を介して,ロボットの動作のプランニング(planning)や監視を行いながら,ロボットの自律機能がうまく働かないところでは人間が手助けを行う( 管理制御)方式に関する研究が行われるようになった.

(c) 一般に波面記録再生方式によるテレイグジスタンスの実現は困難である.その理由として適切でないものは( 24 )である.
  • 正.ア. 実物大の環境再構成を実現しようとすると,装置が非常に大きくなるから.
  • 正.イ. ホログラフィ(holography)では,実時間の情報の記録・再生が現在の技術ではできないから.
  • 正.ウ. 人間の近くの物体の記録・再生を3次元かつ実物大で実時間インタラクティブ(intaractive)に行うことが技術的に困難であるから.
  • 正.エ. オペレータの手と表示したロボットの手が干渉してしまい,自分がロボットの中にいるかのような状態が実現しがたいから.
  • 誤.オ. 視覚において,そもそも波面の記録自体が技術的に困難であるから.

解説.P189.波面の記録自体は可能だが,この方式でのテレイグジスタンスの実現が困難.他の選択肢については教科書に記載あり.

(d) 拡張型テレイグジスタンスに関する次の説明のうち最も適切なものは( 25 )である
  • ウ. 感覚を拡張するテレイグジスタンスの応用例として,X 線をとらえるセンサをロボットにとりつけ人間に提示することで,危険な状況を避けながら作業を行うことがあげられる.

第6問

以下は,臨場感コミュニケーション(communication)に関する問題である.(a)~(d)の問いに答えよ.

(a) 臨場感の構成要素に関する記述である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

人が感じる臨場感を,空間要素,時間要素,( 身体要素)に分解し,さらにこれらの構成要素を細分化することで,実体が明確になると考えられる.

(b) 3 次元映像技術に関する記述である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

バーチャルリアリティシステムでは,左右の目からみたそれぞれの映像を取得・再生する2眼式が多く用いられるが,この方式では主に( 両眼視差)に依存している.

(c) 臨場感コミュニケーションシステムに関する次の説明のうち間違っているものは( 28 )である.
  • 誤.ア. ビデオ(video)会議システムでは身振り手振りが使えるので,遠隔地にある対象物を容易に指し示すことができる.
  • 正.イ. 人々の対話において,お互いが作業空間内のどこをみているかと言うことに気がつくことをゲイズアウェアネス(gaze awareness)と言い,次世代のビデオ会議システムではこれが支援されることが好ましい.
  • 正.ウ. テレイマージョン(tele-immersion)は遠隔地間で 3 次元空間そのものを共有する,没入感の高いコミュニケーションの実現を目指しており,ビデオアバタ(video avatar)技術などが注目されている.
  • 正.エ. 文字や絵を共有できるコミュニケーションシステムでは,単に描画結果が見えれば良いのではなく,その生成過程が共有できることが重要である.
  • 正.オ. 知覚の恒常性は人間が遠近感をもつ手がかりとなっている.

解説.P197.教科書に明確に記載は見当たらないが,テレビ会議では,遠隔地にある対象物を容易に指し示すことは出来ない.またテレビ会議では,議論が白熱すると,存在感が失われる.

(d) ロボットコミュニケーションに関する記述である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

ロボットをコミュニケーションメディア(communication mdeia)として利用する利点のひとつに,ロボットを通じた( 予期動作表現 )があげられる.これに基づいて,早めに自分の行動を準備することによって,円滑な相互行為が可能となる.

第7問

以下は,テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーションに関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 標準型テレイグジスタンスに対する拡張型テレイグジスタンスの違いとして正しくないものは( 30 )である
  • 正.ア. VR 技術を介した情報支援の付随.
  • 正.イ. ロボットの大型化・小型化によるスケール(scale)変換.
  • 正.ウ. AR 技術等を用いた赤外線映像化などの感覚の拡張.
  • 正.エ. 一時的な記録・再生を用いた早回しやスロー(slow)再生による時間方向への拡張.
  • 誤.オ. 動いても疲れず,思い通りに空も飛べるようになる.

解説.P190-.教科書に記載のあるのは,拡張型テレイグジスタンスの例は,大きさを拡張,異型,一体多,多対一,感覚の拡張,時間の拡張.記載はないが動いたら少なからず疲れる.

(b) 標準型テレイグジスタンスのロボットが等身大のヒト型であることの目的でないものは( 31 )である.
  • 正.ア. 普段ヒトが出入りする空間に入り込むため.
  • 正.イ. 普段ヒトが行っている作業を同様に行うため.
  • 正.ウ. 普段ヒトが見ている環境を再現するため.
  • 正.エ. 普段ヒトが実行しているスキルを再現するため.
  • 誤.オ. 普段ヒトが見られている姿を再現するため.
(c) テレイグジスタンスにおいて作業環境を改善しようとして行う工夫であっても,操縦者が普段の行動で身につけているスキル(skill)を直観的に再現するためには( 32 )のようにしてしまうことは間違いである.
  • 正.ア. 通信の時間遅れを小さくするために有線ケーブル(cable)を使う.
  • 正.イ. 手先作業の滑らかな実現のために人間よりも関節数の多いロボットアームを使う.
  • 正.ウ. 力覚フィードバックにオン(on)・オフ(off)機能を付ける.
  • 正.エ. 作業領域を見やすくするためにカメラに自動手ぶれ補正機能を付ける.
  • 誤.オ. 作業領域を見やすくするために両眼カメラの幅をせまくして,狭い領域の視覚的情報量を向上させる
(d) 操縦者の1/4スケールのロボットへのテレイグジスタンスを想定する.操縦者にとっては( エ. 世界の重力が4G になったように感じる. )のように感じることになる.
(e) 操縦者の手先の動きの 4 倍速で動く手先を持つロボットへのテレイグジスタンスを想定する.操縦者にとっては( ア. 腕の質量が1/4倍になったように感じる. )のように感じることになる.
(f) 「自己所有感」について.以下の説明で正しくないものは( 35 )である.
  • 正.ア. リアリティ(reality)の一部としての自己像形成にまつわる感覚である.
  • 正.イ. 自己と外界を隔てる空間の自他分離に関係し,「その手は私のものだ」のように表現される.
  • 正.ウ. 学術的にはラバーハンドイリュージョン(rubber hand illusion)という錯覚現象において説明されている.
  • 正.エ. 視覚や触覚などのマルチモーダル(multimodal)な事象同時性によって強く認識され,特に皮膚触覚に強く支配される.
  • 誤.オ. 自己主体感を伴わないものに対しては生じない.
(g) 「自己主体感」について.以下の説明で正しくないものは( 36 )である.
  • 正.ア. リアリティの一部としての自己像形成にまつわる感覚である.
  • 正.イ. 自己運動と他者運動を隔てる運動の自他分離に関係し,「その動きは私が動かしている」のように表現される.
  • 正.ウ. 道具やマウスカーソル(mouse coursor)の様に身体とは明らかに異なるものの動きに対しても生じる.
  • 正.エ. 運動を伴わないものに対しては生じない.
  • 誤.オ. 自己所有感を伴わないものに対しては生じない.
(h) 「臨場感」について.以下の説明で正しくないものは( 37 )である.
  • 正.ア. リアリティの一部としての世界像形成にまつわる感覚である.
  • 正.イ. 「今,その場に(私が)臨んでいる」という感覚として表現される.
  • 正.ウ. 感覚情報の遅れや誤りを補正する予測情報処理に関係しており,「予測と実測の差」としての違和感の検出によって損なわれる.
  • 正.エ. 異なる感覚間(マルチモーダル)の関係性によって強く認識される.
  • 誤.オ. 運動を伴わない時には生じない.
(i) 「存在感」について.以下の説明で正しくないものは( 38 )である.
  • 正.ア. リアリティの一部としての世界像形成にまつわる感覚である.
  • 正.イ. 「今,そこに対象が存在している」という感覚として表現される.
  • 正.ウ. 感覚情報の遅れや誤りを補正する予測情報処理に関係しており,「予測と実測の差」としての違和感の検出によって損なわれる.
  • 正.エ. 異なる感覚間(マルチモーダル)の関係性によって強く認識される.
  • 誤.オ. 「今見ていない対象」に対しては生じない.このためにテレビ会議の遠隔映像では中の人の存在感がしばしば失われる.

2017年過去問 第7章 VRコンテンツ

出題数

  • 大問 8 - 14 : 7
  • 小問 39 - 65 : 27

第8問

以下は,VR コンテンツ(contents)を構成する要素に関する問題である.VR コンテンツにより提供される世界はそれぞれのアプリケーション(application)に依存し,時間的,空間的に現実世界との同一性を確保するかどうかによって,いくつかのパターン(pattern)に分類される.(a)~(e)に示すそれぞれのアプリケーションの時間的・空間的同一性に関して,最も適するものを解答群から選び,それぞれ記号で答えよ.なお,選択肢は複数回利用しても良い.

(a) 過去に存在した現実世界を再現・模擬したアプリケーション:( ウ. 空間的にのみ同一性あり )
(b) 現代の現実世界を模擬したアプリケーション:( ア. 時間的・空間的ともに同一性あり)
(c) 現実には存在しない架空の世界を扱うアプリケーション:(時間的・空間的ともに同一性なし)
(d) 現代ではあるが別の場所にある現実世界を模擬したアプリケーション:( 時間的にのみ同一性あり)
(e) リアルタイム(real time)の対人インタラクション(interaction)を架空の舞台で行うアプリケーション: ( 時間的にのみ同一性あり)

第9問

以下は,デジタルアーカイブ(digital archives)およびミュージアム(museum)(博物館や美術館など)と VR に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 以下はデジタルアーカイブに関する記述である.間違っているものは( 44 )である.
  • 正.ア. デジタルアーカイブの対象となる文化財には,演劇や音楽など形のないものも含まれる.
  • 正.イ. デジタルアーカイブによって,文化財の劣化や破損のリスク(risk)を低減させることができるのは,オリジナル(original)に直接アクセス(access)する頻度を減らすことができるからである.
  • 誤.ウ. デジタルアーカイブは,単一の手法によってデジタル化した文化財を,あらゆる用途に展開できることが特徴である.
  • 正.エ. デジタルアーカイブによってデジタル化された文化財は,VR 空間の中で体験することができる.
  • 正.オ. 文化財の触覚を再現するためには,対象となる文化財から触覚再現に必要な情報を安全に記録する必要がある.

解説.P292.デジタルアーカイブとは文化財をデジタル化することにより,実物によるアーカイブを超えた様々な利活用を行うと概念.P294.デジタル化した文化財を様々な用途に展開できることが理想であるが,現実的にはあらゆる用途に対応した万能なデジタル化手法は存在しない.

(b) 以下は文化財のモデル(model)化に関する記述である.間違っているものは( 45 )である.
  • 誤.ア. 文化財のモデル化では,正確性が重要視されるため,ノイズ(noise)や誤差が大きい計測を用いる代わりに,CAD ソフトウェア(Computer Aided Design software)などを用いて手作業でモデリングを行う必要がある.
  • 正.イ. 3 次元スキャナ(scanner)は対象の表面形状を測定することができるが,対象の大きさや材質,計測環境に応じてさまざまな装置や手法が開発されている.
  • 正.ウ. 人物の動きなどを正確に記録する必要がある場合は,モーションキャプチャシステム(motioncapture system)が用いられる.
  • 正.エ. 対象となる文化財がすでに無い場合でも,考古学的検証に基づきモデル化を行う事は可能である.
  • 正.オ. 文化財のモデル化では,3 次元スキャナとデジタルスチルカメラ(digital still camera)を併用しても良い.

解説.P293.デジタルアーカイブでは,特に正確さが重視されるため,計測に基づく客観的なモデル化手法を用いることが多い.形状のモデル化は,一般的には3次元スキャナなどによって,表面形状を測定することで行う.また,対象となる文化財がすでにない場合や,文化財の過去あるいは復元後の状態を再現する場合には,考古学的検証に基づきモデル化を行う.

(c) 以下はミュージアムと VR に関する記述である.間違っているものは( 46 )である.
  • 正.ア. ミュージアム展示を目的とした VR コンテンツでは,その正確性が重要であるため,その分野における適切な専門家を監修者に入れるべきである.
  • 誤.イ. VR の自律性,対話性,没入感といった特性を最大限活かすため,ミュージアム展示でも CAVE(没入型多面ディスプレイ装置)や HMD など,個人で没入して体験できる装置を積極的に活用するべきである.
  • 正.ウ. 公共性の高いミュージアムでは,VR を使った展示であっても来館者に対してなるべく均等に体験の機会を提供できるように配慮することも大切である.
  • 正.エ. MR(Mixed Reality)技術を使うと,展示されている実物の文化財を中心に,その場で文化財の背景情報を体験することができると期待される.
  • 正.オ. ミュージアム展示用の VR システムでは,メンテナンス(maintenance)や運用がしやすいことも重要な要素である.

解説.P295.初期のVRを使った展示は,CAVEやImmersaDeskなどのVRシステムを活用し,少数の利用者が遺跡などのVR空間を体験できるものであったが,この形式は同時に体験できる利用者が限られていう問題や,立体視用メガネなどを装着することによる利用者の身体的負担が大きいなどの問題がある.そのため,次第にシアター型のVRシステムが用いられるようになってきた,と教科書にあり,活用すべきとは言い難い.

第10問

以下は,VR コンテンツに関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 以下の文章において,A~C に入る言葉の組み合わせは( 47 ),D~F に入る言葉の組み合わせは( 48 )である.

VR は Creation,Control,Communication の 3C と Elucidation,Education,Entertainment の 3E のための道具である.Creation の例としては( アート ),Control としては( ロボット),Communication としては( メタバース)などが挙げられる.また,Elucidation,Education,Entertainment の例としてはそれぞれ( 科学的シミュレーション),( アーカイブ ),( アトラクション)などがある.

(b) 以下の文章において,A~C に入る言葉の組み合わせは( 49 ),D~F に入る言葉の組み合わせは( 50 )である.

日本国内で 2016 年は( VR 元年 )と言われたが,その一因として( 安価なヘッドマウントディスプレイの普及 )が挙げられる.
Playstation®️の周辺機器として発売された Playstation®️ VR の販売台数は,( 100 万台)を突破し過去最も普及したヘッドマウントディスプレイとなった.
開発機材のコストが下がった事により( 開発者コミュニティ(community))が生まれ,知見の共有や一般消費者への啓蒙活動を計るイベントなどの開催が行われている.開発手段としては( ゲームエンジン )などの普及が進み,( 少人数での開発 )が可能なった.

第11問

以下は,エンターテインメント VR と商業 VR に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) エンターテインメント VR に関する文章の中で正しいものは( 51 )である.
  • ウ. R-360 は 2 軸の回転機構を持つ体感ゲーム用筐体として発売された.
(b) 商業 VR に関する文章の中で正しいものは( 52 )である.
  • イ. メタバースや MMORPG などの多人数コミュニケーションを主体としたものでは,利用料金は無料だがアバターの装飾品などを販売するなどのマネタイズ(monetize)形式がありうる.

第12問

以下は,VR/AR の市場と VR システムの事例に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 以下の文章において,A~C に入る言葉の組み合わせは( 53 ),D~F に入る言葉の組み合わせは( 54 )である .

アナリスト(analyst)の予測によると 2020 年の VR/AR の市場規模は( 80億ドル )と言われている.2017 年現在,( VR 市場は AR 市場よりも大きい)が 2020 年の段階では( AR 市場の方が 3 倍以上の規模を持ち )主戦場になるという予測がある.
その理由として( スマートフォン )の普及が挙げられる.日常使用している機器のカメラにそのまま( AR )デバイス(device)としての機能が加わる事により急速な普及が期待でき,そこには大きな市場が生まれる.
( AR )アプリケーション開発については iOS の( AR )kit,Android の( AR )Core など各社それぞれの( フレームワーク(framework))が用意されている.

(b) 以下の文章において,A~C に入る言葉の組み合わせは( 55 ),D~F に入る言葉の組み合わせは( 56 )である.

Unlimited Corridor は( 視触覚感相互作用 )を利用した VR システムである.体験者はヘッドマウントディスプレイを装着し,直径約 5m の円筒壁を触りながら歩行する.対して VR 空間内では( 直線の壁 )が表示されており,体験者の移動を直線運動に変換して提示する.これにより,体験者は( 円運動をしているにも関わらず直進している様な )感覚を得て高層ビルの屋上を歩き,風船を取りに行くというコンテンツを体験する.
この VR システムにおいては高層ビルの屋上を歩行するコンテンツではなく( 白い床と壁のある空間を歩行するもの )を提示した場合,真っ直ぐと感じるためには( 直径 12m )の円筒壁が必要となった.これは( コンテンツの内容 )がシステムの効果に影響を及ぼすということを示している.

第13問

以下は,製造業における VR の応用に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) バーチャル・マニュファクチャリング(manufacturing)/デジタル・マニュファクチャリングに関する説明として,適切ではないものは( 57 )である.
  • 正.ア. バーチャル環境で製品の三次元形状を設計する.
  • 誤.イ. 実環境で製品の意匠設計を行う.
  • 正.ウ. 実際の工場を再現したバーチャル工場での生産準備と生産を行う.
  • 正.エ. バーチャル環境で製品の試作や実験を行う.
  • 正.オ. 社内だけでなく協力企業とも 3 次元モデルを共有することにより業務をコンカレント(concurrent)に進める.

解説.P274.バーチャル・マニュファクチャリング、デジタル・マニュファクチャリングは、コンピュータ内に作成した製品の3次元モデルを利用して,バーチャル環境での設計や実験,実際の工場を再現したバーチャル工場でよ生産までを行うものであり,それらを実環境で行うものではない.

(b) デジタルデザイン(digital design)に関する説明として,最も適切なものは( 58 )である.
  • オ. 意匠設計用ソフトウェアを使用して製品の意匠設計を行う方法.
(c) DMU(デジタルモックアップシステム)に関する説明として,最も適切なものは( 59 )である.
  • ア. コンピュータ画面上でバーチャル製品を組み立てることにより部品間の干渉チェック(check)やクリアランス(clearance)の検討などを行う方法.
(d) デジタルマネキン(digital mannequin)に関する説明として,適切ではないものは( 60 )である.
  • 正.ア. 製品の操作姿勢をとらせ,手の到達範囲や筋力負荷を検討することができる.
  • 正.イ. バーチャル工場で作業者の移動時間や作業時間の検討を行うことができる.
  • 誤.ウ. 人間よりも多い関節数と人間よりも大きな関節可動範囲を持つ.
  • 正.エ. 人体寸法データベース(database)からさまざまな体形バリエーション(variation)を生成することができる.
  • 正.オ. 製品の操作姿勢をとらせ,視界の検討を行うことができる.

解説.P276.デジタルマネキンは人間と同等の関節構造と関節可動範囲を持つ.異なるとシミュレーションで得たい結果が得られない.

第14問

以下は,ロボットコンテンツ(robot contents)に関する問題である.(カッコ)に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) ロボティクス(robotics)のコンテンツを「ロボットコンテンツ」と呼ぶ.ロボットコンテンツはロボットを実用化する上で重要な課題の一つである.以下の中からロボットコンテンツの一例として最も適するものは( 62 )である.
  • エ. 移動装置を備え,部屋の中を自律して移動しながら内蔵した掃除機で清掃を行う装置のプログラム
(b) 以下は東京大学 IRT(Information and Robot Technology)研究機構が行ったロボットの社会経済波及効果測定調査に関する記述である.正しいものは( 63 )である.
  • ア. 高齢化が現状のまま推移する場合,2005 年から 2025 年にかけて,要支援・要介護認定者数の増加に伴い介護給付費も増加するが,ロボットの導入によって介護給付費の伸びを抑制する効果が期待できることがわかった.

解説.P280.現状の産業別のGDPや就業者数の推移を前提とした場合の2025年における労働力需要は、非製造業分野全体で,サービス業を中心に実質的に516万人分不足するが,ロボットニよる貢献可能領域と業務量を作業小分類で精査した結果,2025年には352万人の労働力に相当する労働力補完効果が期待できる.
また,高齢化が現状のまま推移する場合,2005年から2025年んいかけて,要支援・要介護認定者数は432万人から708万人,介護給付費は5兆6,600万えんから10兆7,300億円(現在価値換算)へと増加することが予測されるが,ロボットの導入によって介護予防,重度化抑制,急性期回避などの効果が達成されることで,介護給付費のの伸びを最大で2兆1,200億円抑制できる効果が期待できる,とある.

(c) 東京大学 IRT 研究機構が一般の主婦や介護職員を対象に自身が負担感を感じる作業について調査を行った結果,以下のような作業が挙げられた.この中で,回答者にとってロボットが担うのにふさわしい作業であると回答した作業だけの組み合わせとして適切なものは( 64 )である.
  • 誤.①要介護者のトイレ(toilet)の介護や入浴の介護
  • 正.②食事の後片付け
  • 誤.③徘徊の引き止めや付き添い
  • 正.④衣類やシーツ(sheet)の洗濯
  • 正.⑤室内や水周りの清掃
  • 誤.⑥オムツ(diaper)交換・処理

解説.P282.ロボットを導入するのにふさわしいとの回答が多かったのは,介護環境を維持するための間接的な作業であった.調査から,人は必ずしも負担感の大きい作業をロボットんい代わってもらいたいと思っているわけではないことがわかった.「負担が大きくても、人がすべきことは人がする」という概念が人の価値観の中んい存在しているためと思われる,と記載がある.直接的に人と接する部分についてはまだまだ人がやる思想,と考えるとわかりやすいかもしれない.

(d) 以下はロボットコンテンツ産業の成長シナリオ(scenario)に関する記述である.正しいものは( 65 )である
  • イ. 家事などを行うロボットは,まだプラットフォーム(platform)が形成される前の時期であるため,しばらくは研究者がロボティクス技術とコンテンツを一体的に研究する時期が続くと考えられる.

2017年過去問 第8章 VRと社会

  • 大問 15 : 1
  • 小問 66 - 74 : 9

第15問

以下は,新しいメディア(media) 技術と社会のかかわりについての問題である.( )に最も適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 以下のメディアに関する記述として最も適するものは( 66 )である.
  • イ. VR はテレビ(television)を経由して発展してきたメディアの新しい形態であり,視覚だけでなく体感的な表示が含まれる表現の手段である.
(b) 超臨場感メディアに関する記述として最も適するものは( 67 )である.
  • ア. スーパーハイビジョン(super high-vision) はテレビが発展したものでありテレビよりも多くの情報が含まれているが,身体性については超臨場感メディアとして見た場合は不足している.
(c) バーチャルリアリティの応用に関する記述として最も適さないものは( 68 )である.
  • 誤.ア. パブリックアート(pabulic art)は,公共空間などにおかれた彫刻や抽象オブジェのような芸術作品であり,多くはその地域の直接的な収入源として役立っている.
  • 正.イ. デジタルパブリックアートは,パブリックアートにメディア技術を取り入れたものであり,ホワイトキューブでの展示と違い展示物には頑健性が求められる.
  • 正.ウ. 羽田空港で行われたデジタルパブリックアートは,「空気の港―テクノロジー x 空気で感じる新しい世界」と題するもので,空港内の天井や床,椅子,エスカレータ(escalater),バゲッジクレーム(baggage claim),駅のホーム(home),通路の時計など,さまざまな場所にアート作品が配置 された.
  • 正.エ. 「空気の港」では,飛行機や鳥をモチーフ(motif)とした映像や投影がもちいられており,空港の文脈や空港のイメージ(image)との一致が図られた作品が展示されていた.
  • 正.オ. 心の豊かさに対する要求は,かつてのように物の豊かさと同列に考えられるものではなくなっており,より重要ととらえられている.

解説.P351.パブリックアートは地域住民を巻き込み,そこでの社会形成と何らかの関連性を有するようなアート作品群を指す.「地域おこし」「地域産業振興」とアートが一体化したものと考えることができ,地域の活性化にアートが寄与する好例と言える.メディアアートについての記載にはなるが,「地域空間の活性化にメディアアートがどれだけ寄与するかについて,わが国ではまだ実績が少なく,今後諸外国での成功事例を学びつつ,広がりを見せていくものと思われる」,と記載があり,多くが地域の直接的な収入源として役立っている,とは言い難い.

(d) 博物館へのデジタル技術の応用に関する記述として最も適するものは( 69 )である.
  • エ. デジタル技術は従来の展示の方針を変えなくとも,時間的な変化や内部構造を見せるなどの多様な展示を可能としている.
(e) 社会的事象へのデジタル技術の応用に関する記述として最も適するものは( 70 )である.
  • エ. 災害時に発信された SNS(Social networking service)のメッセージは更新が非常に速い情報であり現場の状況を知るのに極めて有効である.
(f) 超高齢化時代におけるデジタル技術の利用に関する記述として最も適するものは( 71 )である.
  • ア. 我国における高齢化問題に対処するためにデジタル技術を利用する方針として,元気な高齢者の知識や技能を ICT(Information and Communications Technology)によって再構成して社会に供給する可能性が検討されている.
(g) デジタル技術による知識の伝達に関する記述として最も適するものは( 72 )である.
  • ウ. 形式知としてまとめることが困難な知識を伝達するのは容易ではないが,ウェアラブルコンピュータによって体験が行われた状況を記録してそれに適切なインデックス(Index)を付けられれば有効な手段となる可能性が高い.
(h) デジタル技術による高齢者の知識の伝達に関する記述として最も適さないものは( 73 )である.
  • 誤.ア. 高齢者が持っている知識としては,さまざまな経験に関するものがあり,そのほとんどは現在の若年層に有効に利用されている.
  • 正.イ. 高齢者の知識を活用するには,それらの知識を高齢者から取得し,利用しやすいように構造化した上で,実際に活用するために提供することなどが必要だが,それぞれの手続きを ICT で支援することが有効と考えられる.
  • 正.ウ. 高齢者の知識と技能を伝達するための仕組みとして高齢者クラウド(cloud)が研究されており,複数の高齢者が集まって一名のバーチャルな労働者となるような考え方の実現を目指している.
  • 正.エ. 高齢者の知識を伝える方法としてオーラルヒストリー(oral history)があるが,デジタル技術によってそのフレームワークを自動化することができると考えられている.
  • 正.オ. 遠隔地間で仮想空間を共有して三次元モデルなどを同時に観察できるようにすることで,テキストや写真では伝えにくい大型の人工物などに関する知識の伝達が促進できる.
(i) テレプレゼンス(telepresence)に関する記述として最も適するものは( 74 )である.
  • オ. 遠隔の状況をそのまま伝えることが,必ずしも目的にかなっているわけではない.

2015年過去問 第5章 リアルとバーチャルの複合

第1問

以下は,実世界モデリング(real-world modeling)およびモデル化処理(modeling process)技術に関する問題である.以下の問いに答えよ.

(a) カラーカメラ(color camera),レンジセンサ(range sensor)によって得られるデータ(data)に関する記述として間違っているものは( 1 )である.
  • 正.ア. カラーカメラによって得られる画像の各画素の色は,撮影時の光源環境に影響される.
  • 誤.イ. カラー(color)画像の各画素には赤,青,緑,透明度の値が含まれている.
  • 正.ウ. レンジセンサによって,センサ(sensor)から物体までの奥行き情報を画素ごとに格納した距離画像(2.5 次元画像)が得られる.
  • 正.エ. 物体表面の真の色をモデル(model)化するためには物体表面の反射特性を求める必要がある.
  • 正.オ. カラーカメラもレンジセンサも可視領域しか撮影できないため,物体全体の形状を得るためには,異なる位置,方向から計測する必要がある.
(b) 以下の文はレンジセンサの特徴を説明したものである.この中で間違っているものは( 2 )である.
  • 正.ア. 受動型ステレオ(passive stereo)法の精度及び解像度は光源環境や物体表面のテクスチャ(texture)に大きく左右される.
  • 正.イ. 三角測量の原理を用いる手法は,受動型,能動型に関わらず距離が遠くなると精度が低くなる.
  • 誤.ウ. 光切断法を用いたレーザレンジセンサ(laser range sensor)は,計測対象までの距離が遠くても光速を利用した方式と同等の高い精度が得られる.
  • 正.エ. 位相差方式のレーザレンジセンサは,変調波長内と波長外の距離を判別できないという曖昧性があるため,建物内など制限距離内の計測に適している.
  • 正.オ. 飛行時間法を用いて一点までの距離を計測するレーザレンジセンサは,ミラー(mirror)やモーター(motor)によるスキャン機構(scanning mechanism)によって広範囲に距離を計測する.

解説.P153.光切断法は能動型ステレオの一つであり,計測時間は長いが非常に高い精度と密度が得られる方式である.ステレオ方式は距離が遠くなるほど精度が低くなる.光速を利用する方式は長距離でも比較的高い精度を保つことができる.

(c) 各文はレンジセンサの方式を説明したものである.それぞれどの方式に対応するか,もっとも適するものを解答群の中から選びなさい.

i. センサ(sensor)から発せられた光(パルスレーザ(pulse laser))が,対象物体の表面に当たって跳ね返ってくるまでの時間から距離を計測する方式は( 飛行時間法 )である.
ii. コード化されたパターン(coded-pattern)を対象物体に投影し,投影された面または線を識別して視線との交点から距離を求める方式は( 光切断法 )である.
iii. 異なる位置から撮影した 2 枚の画像中で,同一点が撮影された画素位置から,二つの視線の交点を求めることによって 3 次元座標を得る方式は( 受動型ステレオ法 )である.

(d) 位置合わせ手法として最もよく知られる ICP(Iterative Closest Point)の説明として間違っているものは( 6 )である.
  • 正.ア. 各々の部分形状データ(partial shape data)間の対応点を探索して誤差が最小になるように移動させる.
  • 正.イ. 繰り返し計算によって最適解を求める.
  • 誤.ウ. 与える初期位置によっては解が発散する場合がある.
  • 正.エ. 2 枚ずつ位置合わせしていくと誤差の蓄積が問題となる.

解説.P154.ウ以外は教科書に記載あり.

(e) 部分形状データの統合処理として間違っているものは( 7 )である.
  • 正.ア. 統合とは複数の部分形状データの重複領域を取り除いて一つのメッシュデータ(mesh data)を生成する処理である.
  • 正.イ. Zipper 法は部分形状データ間の境界部分を繋ぎ合わせることによって一つのメッシュデータを生成する.
  • 誤.ウ. ボリューメトリック(volumetric)法では,部分形状データの境界部分で不規則なパッチ(patch)が生成されてしまうことがある.
  • 正.エ. マーチングキューブ(marching cubes)法によって,符号付き距離場は一元化されたメッシュモデル(mesh model)に変換される.

解説.P154.部分形状データの境界部分で不規則なパッチ(patch)が生成されてしまうのはZipper法.ボリューメトリックな方法では,正則なメッシュ構造が得られる.

第2問

以下は拡張現実(Augmented Reality:AR)システムにおいて実世界に情報提示を行う手法に関する文章である.(かっこ )に入るもっとも適する語句を解答群の中から選び,記号で答えよ.

( 接眼光学系による HMD )はもっとも一般的なヘッドマウンテッドディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)であり,小型化のために自由曲面プリズム(free-form prism)などを用いる場合がある.( 網膜投影ディスプレイ(display) )は水晶体の屈折力を用いないため視距離によらず鮮明な映像を観察できる利点がある.また,( ホログラフィック光学素子による HMD )は波長選択性の特徴により透過度が高く,広い両眼視野を確保できる利点がある.さらに,( 頭部搭載型プロジェクタ )は特殊なスクリーン(screen)を要する制約はあるが,接眼光学系に起因する映像歪みが存在しないという利点がある.これらと異なり,( ハンドヘルドディスプレイ )は構成が簡単で利用可能なデバイス(device)がすでに普及している利点がある.

第3問

以下は,ウェアラブルコンピュータ(wearable computer)の入力インタフェース(input interface)技術に関する問題である.(かっこ )にもっとも適する語句を解答群から選び,記号で答えよ.

(a) キーボード(keyboard)を用いたテキスト入力(text input)手法を採用する場合,PC 等で広く一般的に使われている( QWERTY )キーボード配列(keyboard layout)を選ぶか,携帯情報端末やウェアラブルコンピュータに特化したキーボード配列を選ぶことになる.
(b) ウェアラブルコンピュータに特化したキーボード配列の 1 つに( 片手コード )キーボードがある.このキーボードでは,親指以外の 4 本の各指に 3 個ずつキーが割り当てられており(4 本×3 個=計 12 個のキーがあり),キーを 2 個同時に押すことでその組み合わせに応じた文字を入力できる.
(c) 携帯情報端末のタッチパネル式ディスプレイ(touch screen)に特化したテキスト入力手法の 1 つに( フリック )入力と呼ばれる手法があげられる.この手法では,携帯電話のダイヤルキー(dial key)での入力を基本とし,押下したキーの上下左右中央に配置される選択肢をさらに選ぶという 2 アクション(two actions)での文字選択を行うことができる.
(d) カメラ(camera)を用いた( OCR )による紙面や標識に記載された文字情報の取得や,マイク(microphone)を用いた読み上げ音声認識等もウェアラブルコンピュータに適したテキスト入力手法である.
(e) テキスト入力ではなく( ノンバーバル )情報入力技術でもっとも多くの研究がなされているものの 1 つとして,カメラ映像や加速度センサ(acceleration sensor)等を用いたジェスチャ入力(gesture input)がある.
(f) ( ProCam )システムの装着部位に関する評価基準はアプリケーション(application)により異なるが,移動や遠隔協調作業支援を伴う場合の撮影像や投影像の安定性や死角の少なさを考慮すると,頭部だけではなく,肩や胸部も装着位置として優れていると報告されている.

2015年過去問 第6章 テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション

第4問

以下は,3 次音響技術についての問題である.(かっこ )にもっとも適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 音響から出た音は空気中を伝搬して頭や( 耳介(じかい) )で反射・回折して( 外耳道(がいじどう) )を通って( 鼓膜 )に達する.したがって,遠隔地の音響空間を再現する方式として,ヘッドホン(headphone)を用いて( 鼓膜 )での音圧を再現する方式が考えられる.ヘッドホンで提示する信号は,音源から( 鼓膜 )までの音の伝達関数として定義される( 頭部伝達関数 )を用いて合成される.
(b) 反射物のない空間における音の伝搬は,数学的には( キルヒホッフ・ヘルムホルツ(Kirchhoff-Helmholtz)積分方程式 )により記述される.したがって,物理法則に基づいてスピーカ(speaker)で再生すべき信号を決めて音場を再現する方式として,( 波面合成方式 )が知られている.一方,物理法則よりも聴感を重視してスピーカで再生すべき信号を決定し,前後左右からも音が到来するかのように知覚される方式として( 5.1 チャンネルサラウンド(channel surround)方式 )が知られている.

解説.P230参照.

第5問

テレイグジスタンス(telexistence)と臨場感コミュニケーション(realistic communication)に関して,以下の問いに答えよ.

(a) 一般に波面記録再生方式によるテレイグジスタンスの実現は困難である.その理由として間違えているものは( 26 )である.
  • ?.ア. 視覚情報の波面記録再生は現在の技術ではできないから.
  • 正.イ. 実物大の環境再構成を実現しようとすると,装置が非常に大きくなるから.
  • ?.ウ. オペレータ(operator)の動作を実時間で計測し,それに合わせて遠隔のロボット(robot)を動作させることができないから.
  • 正.エ. オペレータの近くの物体の記録・再生を 3 次元かつ実物大で実時間インタラクティブ(real-time interaction)におこなうことが技術的に難しいから.

注.この問は,正解が私にはわかりかねるため割愛.

(b) 臨場感と存在感に関する説明で間違えているものは( 27 )である.
  • 誤.ア. 存在感は実際の場に身をおいているような感覚であり,臨場感は人や物が確かな存在であると感じる感覚のことである.
  • 正.イ. 臨場感はシステム(system)の使用者に提供される感覚であるのに対して,存在感はシステムを利用している人の周りの人が,そのシステムを利用している人に対していだく感覚のことである.
  • 正.ウ. 周りにいる人に何らかの影響を与える可能性が大きいものほど存在感が高い.
  • 正.エ. インタラクション(interaction)の可能性の程度や効果の高いものほど存在感がある.
  • 正.オ. 臨場感は,視覚,聴覚,触覚,嗅覚,味覚,前庭感覚など,すべてがそろうことが理想的である.

解説.P196.逆.臨場感は実際の場に身をおいているような感覚であり,存在感は人やものが確かな感覚であると感じる感覚のこと.

(c) 臨場感コミュニケーションに関する説明で間違えているものは( 28 )である.
  • 正.ア. 臨場感コミュニケーションとは,ある遠隔地点の空間が伝送されたとしたときに,そこに入り込んだ人々が相手との距離感や位置関係などの空間情報を共有できるような臨場感を合成する通信システムである.
  • 正.イ. 臨場感コミュニケーションでは,遠隔地の臨場感の寸分違わぬコピー(copy)を持ってくるだけでは不十分な場合がある.
  • 誤.ウ. 臨場感コミュニケーションにおいて,現実空間と異なる環境を作りこんで通信するようなシステムは役に立たない.

第6問

以下は,3 次元映像についての問題である.

(a) 視覚により立体感を得るための奥行き手がかりの中で,( 両眼視差・輻輳 )は,両眼で観察した場合の基本的な飛び出し・引っ込みの感覚を与えるもので,現在市販されている多くの立体映像表示装置で再現できるものである.また,( 運動視差 )は実物を見る場合と同様に,観察位置に応じて映像が変化し自然な奥行き感を与えるものである.
(b) 次の各文は立体映像表示の方式について述べたものである.それぞれどの方式を説明しているかもっともあてはまるものを解答群から選び(重複可),記号で答えよ.

i. 水平方向に複数の視域を形成し,両眼視差に加えて運動視差的な効果を実現できる特徴がある方式は( 多眼式 )である.
ii. 一般家庭向けにメガネ式立体テレビが市販され一部の局で放送が開始されている方式は( 2 眼式 )である.
iii. 実用性が高く画質も良いためバーチャルリアリティシステム(virtual reality system)の構成要素として用いられることが多い方式は( 2 眼式 )である.
iv. 複眼状のレンズを用いることで水平および垂直方向に連続的に変化する視差を再現できる方式は( インテグラル(integral)方式 )である.
v. 物体光を波面として再生する方法で,両眼視差,運動視差,調節応答を実現する理想的な方式と言われている方式は( ホログラフィ(holography) )である.

解説.P226.の表参照.

(c) より自然な立体再生像を得るために裸眼 3 次元ディスプレイ(Autostereoscopy)に多数のプロジェクタ(multiple-projector)を用いているものがある.そのような構成を用いる技術的な理由としてもっともあてはまるものは( 36 )である.
  • 誤.ア. 光量を増すことで再生される 3 次元映像の立体感を補強するため
  • 誤.イ. プロジェクタ(projector)1 台当たりの負荷を分散し機器の長寿命化を図るため
  • 正.ウ. 多数の視差を再現しつつ,かつ 3 次元映像の画質を確保するため
  • 誤.エ. 3 次元用に加え 2 次元映像用プロジェクタも配置することで運用性を高めるため

解説.P229.多数のプロジェクタを配置し,水平方向の視差を高密度で再現したシステムの例あり.水平方向のみであるが,対象物からの光線群の再生によるリアルな立体映像と高画質表示の両立を図り実用のレベルの性能を狙ったもの.

2015年過去問 第7章 VRコンテンツ

第7問

以下は,ロボットコンテンツ(robotic contents)に関する問題である.(かっこ )にもっとも適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) ロボティクスのコンテンツを「ロボットコンテンツ」と呼ぶ.ロボットコンテンツはロボットを実用化する上で重要な課題の一つである.以下の中からロボットコンテンツの一例としてもっとも適切なものは( 37 )である.
  • 誤.ア. 音声認識や音声合成機能を備え,画面の中のキャラクター(character)と会話ができるゲーム(game)
  • 誤.イ. ロボットの外観を評価する目的で制作された CG 映像
  • 誤.ウ. 洗濯乾燥機の取扱説明書
  • 正.エ. 移動装置を備え,部屋の中を自律して移動しながら内蔵した掃除機で清掃を行う装置のプログラム(program)
  • 誤.オ. 人型ロボットを主題とした映画

解説.P278.ロボットコンテンツとは,ロボティクスにおけるコンテンツのことで,ロボットが行う行為そのものであり,その内容によってロボットに対する社会的,経済的価値が決定される存在である.

(b) 以下はロボットコンテンツ産業の成長シナリオ(scenario)に関する記述である.もっとも正しいものは( 38 )である.
  • 誤.ア. ロボットには安全性が求められるため,ロボットコンテンツの開発を行う前に,政府が主導してロボットコンテンツの規格を策定する必要がある.
  • 誤.イ. ロボットコンテンツは社会インフラ(infrastructure)としての側面が強いため,政府や大企業が中心となって設計を行い,認定を受けた企業のみがコンテンツの開発を行うべきである.
  • 正.ウ. 家事などを行うロボットは,まだプラットフォーム(platform)が形成される前の時期であるため,しばらくは研究者がロボティクス技術とコンテンツを一体的に研究する時期が続くと考えられる.
  • 誤.エ. ゲームや携帯コンテンツを開発している人材では,利用する技術やコンテンツの内容が異なるため,ロボットコンテンツの開発を担うことはできない.
  • 誤.オ. ロボットコンテンツは,作業内容や環境条件が極めて多岐にわたることになると考えられることから,開発者によって厳選された機能だけをロボットの利用者に提供するべきである.
(c) 以下は東京大学 IRT 研究機構が行ったロボットの社会経済波及効果測定調査に関する記述である.もっとも正しいものは( 39 )である.
  • 正.ア.高齢化が現状のまま推移する場合,2005 年から 2025 年にかけて,要支援・要介護認定者数の増加に伴い介護給付費も増加するが,ロボットの導入によって介護給付費の伸びを抑制する効果が期待できることがわかった.
  • 誤.イ.ロボットを導入することは高齢者が要介護となることを予防する効果があるが,既に要介護と認定された高齢者の重度化を抑制することは期待できない.
  • 誤.ウ.ロボットの導入によって 65 歳以上の高齢者の労働参加が促進され,2025 年には現状維持の場合と比べて労働力率を 2.2%浮揚させる効果が期待できることがわかった.
  • 誤.エ.非製造業分野全体において,ロボットによる労働力補完効果がもっとも期待できる分野は医療分野であり,次いで農業分野である.
  • 誤.オ.介護ロボットは 65 歳以上の高齢者層に対する導入効果が期待されるが,25 歳から 64 歳までの現役世代に対する導入効果は期待できない.
(d) 東京大学 IRT 研究機構が一般の主婦や介護職員を対象に自身が負担感を感じる作業について調査を行った結果,以下のような作業が挙げられた.この中で,回答者にとってロボットが担うのにふさわしい作業であると回答した作業だけの組み合わせとなるものは( 40 )である.
  • 正.①衣類やシーツ(sheet)の洗濯
  • 正.②食事の後片付け
  • 誤.③要介護者のトイレ(Toilet)の介護や入浴の介護
  • 誤.④徘徊の引き止めや付き添い
  • 正.⑤室内や水周りの清掃
  • 誤.⑥オムツ(diaper)交換・処理

第8問

以下は可視化技術に関する問題である.(かっこ )にもっとも適する語句を解答群から選び,記号で答えよ.

(a) シミュレーションの対象となる物理現象などの“何らかの現象”は( 連続データ )である場合が多いが,コンピュータで処理するためには,現象を( モデル化 )し,( 離散データ )として処理しなければならない.
(b) 1 次元のコンピュータシミュレーション(computer simulation)では,出力データが( スカラー量 )のみであり,可視化の方法はグラフ(graph)表現などで十分である.2 次元のコンピュータシミュレーションでは,( ベクトル量 )を扱うことが可能となり,( スカラー量 )も平面内での分布を表現することが可能となる.
(c) 視覚情報だけでなく,それ以外の感覚を使用したデータ表現方法として,音によるデータ表現方法がある.これを( 可聴化 )と呼ぶ.

第9問

以下は,デジタルアーカイブ(digital archive)およびミュージアム(museum)(博物館や美術館など)と VR(Virtual Reality)に関する問題である.(かっこ )にもっとも適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 以下はミュージアムと VR に関する記述である.間違っているものは( 47 )である.
  • 正.ア. ミュージアム展示を目的とした VR コンテンツでは,その正確性が重要であるため,その分野における適切な専門家を監修者に入れるべきである.
  • 正.イ. 公共性の高いミュージアムでは,VR を使った展示であっても来館者に対してなるべく均等に体験の機会を提供できるように配慮することも大切である.
  • 誤.ウ. VR の自律性,対話性,没入感といった特性を最大限活かすため,ミュージアム展示でも CAVE(没入型多面ディスプレイ装置)やヘッドマウントディスプレイなどを積極的に活用するべきである.
  • 正.エ. MR 技術を使うと,展示されている実物の文化財を中心に,その場で文化財の背景情報を体験することができると期待される.
  • 正.オ. ミュージアム展示用の VR システムでは,メンテナンス(maintenance)や運用がしやすいことも重要な要素である.
(b) 以下はデジタルアーカイブに関する記述である.間違っているものは( 48 )である.
  • 正.ア. デジタルアーカイブによってデジタル化された文化財は,VR 空間の中で体験することができる.
  • 正.イ. デジタルアーカイブによって,文化財の劣化や破損のリスク(risk)を低減させることができるのは,オリジナル(original)に直接アクセス(access)する頻度を減らすことができるからである.
  • 正.ウ. 文化財の触覚を再現するためには,対象となる文化財から触覚再現に必要な情報を安全に記録する必要がある.
  • 正.エ. デジタルアーカイブの対象となる文化財には,演劇や音楽など形のないものも含まれる.
  • 誤.オ. デジタルアーカイブは,単一の手法によってデジタル化した文化財を,あらゆる用途に展開できることが特徴である.
(c) 以下は文化財のモデル化に関する記述である.間違っているものは( 49 )である.
  • 誤.ア. 文化財のモデル化では,正確性が重要視されるため,ノイズ(noise)や誤差が大きい計測を用いる代わりに,CAD ソフトウェア(Computer Aided Design software)などを用いて手作業でモデリングを行う必要がある.
  • 正.イ. 3 次元スキャナ(scanner)は対象の表面形状を測定することができるが,対象の大きさや材質,計測環境に応じてさまざまな装置や手法が開発されている.
  • 正.ウ. 人物の動きなどを正確に記録する必要がある場合は,モーションキャプチャシステム(motion capture)が用いられる.
  • 正.エ. 対象となる文化財がすでに無い場合でも,考古学的検証に基づきモデル化を行う事は可能である.
  • 正.オ. 文化財のモデル化では,3 次元スキャナとデジタルスチルカメラ(digital still camera)を併用しても良い.

第10問

以下は,教育・訓練(シミュレータ(simulator)とその要素技術)に関する問題である.(かっこ )にもっとも適するものを解答群から選び,記号で答えよ.

(a) 実験用シミュレータ(模擬実験装置)にとってもっとも重要な機能とは( 50 )である.
  • 誤.ア. 反力発生装置を備えること
  • 正.イ. 正確に模擬すること
  • 誤.ウ. 模擬音響装置を備えること
  • 誤.エ. 高いインタラクティブ(interactive)性を備えること
  • 誤.オ. 正確性は低いがリアルタイム(real-time)で計算を行うこと

解説.P264.実験用シミュレータ(模擬実験装置)は,物理現象や機械,システムなどの模擬実験(計算機実験)を行い,その現象や特性を理解することを目的とし,事象を「正確に模擬すること」が最重要課題.

(b) 訓練用シミュレータ(模擬訓練装置)に要求される性能としてもっとも正しいものは( 51 )である.
  • 誤.ア. 正確性+リアルタイム性+娯楽性
  • 誤.イ. リアルタイム性+インタラクティブ性+意外性
  • 誤.ウ. 正確性+インタラクティブ性+危険性
  • 誤.エ. リアルタイム性+話題性+将来性
  • 正.オ. 正確性+リアルタイム性+インタラクティブ性

解説.P264.訓練用シミュレータ(模擬訓練装置)は,航空機や自動車などの装置・システムを操作する人間の訓練を目的とし,限られた資源を使っていかに効率よく訓練するかが課題であり,「正確性+リアルタイム性+インタラクティブ性」が要求される.

(c) 訓練用シミュレータを用いる利点として間違っているものは( 52 )である.
  • 誤.ア. 現実には存在しない架空の世界の訓練を行うことができる
  • 正.イ. 危険な状況での訓練を安全に行うことができる
  • 正.ウ. 同様の訓練を繰り返し行うことができる
  • 正.エ. 実機を使うよりもコストを抑えることができる
  • 正.オ. 様々な状況,様々なシナリオの訓練を行うことができる
(d) 模擬視界装置は映像発生装置と( 53 )から構成されている.( 53 )にもっとも適するものを解答群から選び,記号で答えよ.
  • 誤.ア. 演算処理装置
  • 誤.イ. 反力発生装置
  • 正.ウ. 映像表示装置
  • 誤.エ. 動揺装置
  • 誤.オ. 模擬音響装置

解説.P266.人間の感覚のうち,訓練用シミュレータにおいてよく模擬対象とされるものは,視覚,聴覚,前庭感覚(平衡感覚,傾き),触圧覚であり,これらの感覚を模擬するための装置がシミュレータを構成している.視覚の模擬には,模擬視界装置(ビジュアルシステム)が用いられ,映像の生成と発生を行う「映像発生装置」と映像の表示を行う「映像表示装置」により構成される.また,聴覚の模擬を行う模擬音響装置(さ)

(e) 訓練用シミュレータを運用する上での注意点としてもっとも正しいものは( 54 )である.
  • 誤.ア. シミュレータによる適正検査と実機による適正検査では結果が同じになる
  • 誤.イ. VR情報による精神的・肉体的疲労は発生しないので長時間の運用ができる
  • 正.ウ. VR情報による身体的・感覚的な影響(疲労や障害,誤認など)を考慮する
  • 誤.エ. 訓練生だけで訓練が行えるので教官(指導員)を必要としない
  • 誤.オ. 基本動作(Basic skills)の習得には適していない

2015年過去問 第8章 VRと社会

第11問

以下の文章の(かっこ )に入るもっとも適切な語句を選択肢の中から選択せよ.ただし,同じ語句は 2 回使えない.

心理物理学とは,( 物理量 )を操作して( 心理量 )を計測することで,物理世界と心理との対応関係を明らかにしようという学問領域である.ただし,現在では方法論としての意味合いが強く,ヒトを対象とした基礎科学的な計測の基本となっている.操作される物理量が( 独立変数 )であり,計測される心理量が( 従属変数 )となる.ある感覚がぎりぎり生じるか・生じないかの境界に対応する刺激の物理量を( 閾値 )という.ただし,ヒトはある物理量を境としてそれよりも刺激が強ければ知覚できるが,それよりも弱ければ知覚できないというデジタルな反応を示すわけではなく,知覚できるかどうかは生体内ノイズや外部ノイズの影響によって( 確率的 )に決まる.

第12問

以下は,ヒトの測定と評価を行う実験的方法について述べたものである.それぞれどの方法を説明しているか,もっともあてはまるものを解答群から選び(重複可),記号で答えよ.
i. 実験者が刺激の強度を複数段階用意し,それらをランダム(random)な順で繰り返し提示し,被験者の反応を計測する方法は( 恒常法 )である.
ii. 被験者が自ら刺激の強度を操作し,ぎりぎり知覚される点や標準刺激と同じに見える点を判断する方法は( 調整法 )である.
iii. 実験者が刺激の強度を徐々に強くしたり,徐々に弱くしたりして,知覚が変化する点を求める方法は( 極限法 )である.
iv. 刺激条件の組合せによっては実験時間が膨大になる可能性があるが,被験者の主観も入りにくく,頑健で信頼性の高いデータが得やすいという利点がある方法は( 恒常法 )である.

終わりに

以上です。

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