ayghri/i-have-adhd が Hacker News で269ポイントを集めていました。GitHub 30,233スター(2026-09-09 時点、API取得)。エージェントの回答から前置きを取り、行動を先頭に置かせるスキルです。
日本語の紹介記事は3本ありましたが、どれも実測がありません。 1本は「生産性向上のデータはない」と明記しています。
測りました。
文字数 1,884 → 1,066 −43%
出力トークン 1,603 → 1,056 −34%
同じ条件で短かった回数 9 / 9
ただし情報も減っていました。
検証環境: Windows 10 / Claude Code 2.1.260 / モデル
claude-opus-5/ 測定は 2026-09-09 時点
何をするスキルか
SKILL.md が1枚だけの実装です(6,953バイト・140行、MIT)。フックも常駐プロセスもありません。
10のルールが書かれています。要点は3つです。
- 最初の行は、読者がすぐできること。 コマンドかパスかコード
- 前置き・要約・締めの挨拶を禁止。「Great question」「Hope this helps」を名指しで禁じている
- リストは5個まで。 超えたら「今やる」と「あとで」に分ける
disable-model-invocation: true が付いています。 勝手には起動せず、/i-have-adhd と打って初めて効きます。 そして「stop adhd mode」と言うまでセッション中ずっと続きます。
測り方
対照を同じ形にしました。
どちらも2ターン目に質問しています。片方だけ1ターンにすると、比較になりません。
質問は3つ。git のコミットメッセージ修正、Python で5GBのCSVを集計、Docker イメージの削減です。各3回まわしました。
結果: 3問とも短くなった
中央値です。
| 対照 | スキルあり | 差 | |
|---|---|---|---|
| Q1 git | 643字 | 348字 | −46% |
| Q2 CSV | 2,163字 | 1,593字 | −26% |
| Q3 Docker | 2,847字 | 1,256字 | −56% |
| 平均 | 1,884字 | 1,066字 | −43% |
9回中9回、スキルありのほうが短くなりました。 しかも範囲が重なりません。
Q1 対照 620, 643, 744 スキル 238, 348, 350
Q2 対照 2119, 2163, 2367 スキル 1488, 1593, 1715
Q3 対照 2361, 2847, 2860 スキル 1178, 1256, 1617
出力トークンは 1,603 → 1,056 で −34%。文字数の減り方より小さいので、短くなったのは日本語の説明文のほうです。
情報は減る。ただし長さほどではない
各回答に技術キーワードがいくつ出てくるかを数えました(--force-with-lease、chunksize、マルチステージ など)。
| 対照 | スキルあり | 差 | |
|---|---|---|---|
| Q1 | 4.3個 | 3.0個 | −30% |
| Q2 | 6.0個 | 5.0個 | −17% |
| Q3 | 9.0個 | 8.3個 | −8% |
減っています。「短くなったのに情報は同じ」ではありません。
ただし文字数のほうが大きく減っているので、1,000字あたりの密度は3問とも上がりました。Q3 では 3.2個 → 6.6個 と約2倍です。
中身は「入れ替わって」いた
Q1(直前のコミットメッセージを直したい)の実際の差です。
スキルありだけにあったもの
-mはメッセージ全体を上書きするので、Co-Authored-By:などのトレーラーが消える- 所要時間の見積もり(「所要1分未満」)
- 次の具体的なアクション(
git log -1 --format=%Bで今の文面を確認)
スキルありで消えたもの
-
git commit --amend --onlyオプション(対照側にはあった)
単に削られたのではなく、別の情報が入っています。 トレーラーが消える話は実務では効きますが、--only を知りたかった人には損です。
導入コストはほぼゼロ
スキル一覧に載る分を測りました。
導入前 78,208 トークン
導入後 78,205 トークン 差 −3
増えません。 理由は、このスキルの説明が一覧に載らなかったからです。
i-have-adhd の説明 0(名前だけ)
tdd の説明 287
decompose の説明 240
review-frontend の説明 388
スキル一覧には文字数の予算があり、呼び出し回数が少ないものから説明が落ちます。 入れたばかりのスキルは0回なので、真っ先に落ちます。
このスキルに限っては困りません。 disable-model-invocation: true で、名前で直接呼ぶ設計だからです。上の計測はすべてこの状態(説明が0)で走っており、/i-have-adhd は問題なく効きました。
測るときに詰まったこと
1回ずつでは何も言えませんでした。
最初、各条件1回で測ったところ、同じ質問・同じ条件で 937字と3,580字(3.8倍) が出ました。回答の長さは、そもそも大きくばらつきます。3回に増やして中央値で見て、初めて差が読めました。
もう1つ。作業ディレクトリの記憶が答えに混ざりました。
「## 追加:Python 依存で 1パッケージだけ異常に太い」
「先の表の①〜⑦にこれを加えると」
「Backlog のチケット番号をください」
新規セッションのはずが、別の作業の続きを書いていました。 同じ条件で測り直すと再現しなかったので原因は特定できていませんが、記憶のない一時ディレクトリに移して測り直しました。
なお測定はすべて claude -p です。 対話セッションで同じ比率になるかは確かめていません。
まとめ
-
ayghri/i-have-adhdは 30,233スター(2026-09-09 時点)。SKILL.md1枚、MIT - 出力は 1,884字 → 1,066字(−43%)。 3問×3回で、9回とも短くなった
- 出力トークンは −34%。減ったのは主に日本語の説明文
- 情報も減る。 技術キーワードは −8〜−30%。「短いのに同じ」ではない
- ただし密度は上がる。 Q3 では1,000字あたり 3.2個 → 6.6個
-
中身は入れ替わる。 トレーラーが消える注意が増え、
--onlyが消えた - 導入コストはほぼゼロ(−3トークン)。 ただしスキル自身の説明は一覧に載らない
-
disable-model-invocation: trueなので**/i-have-adhdと打つまで効かない**
「短くしたい」なら効きます。43%は小さくありません。
ただし網羅性が要る場面では、選択肢が1つ減ることを見込んでおく必要があります。
参考
- ayghri/i-have-adhd — MIT。スター数は 2026-09-09 に API で取得
- Extend Claude with skills — スキル一覧の文字数予算
-
CLI reference —
--resumeと--output-format json
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