概要
こちらの投稿は2025 Japan AWS Jr.Championsの有志メンバーで作成した『30日間で主要AWSサービスを構築できるようになる』をテーマにした初学者向けのハンズオン問題集のDAY8になります!
問題集の趣旨や作成に至るまでの経緯は以下の記事をご覧いただければと思います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 約30分 |
| メインサービス | Amazon Q Developer |
| 学べること | Amazon Q Developer のセットアップ手順および MCP サーバーの接続方法 |
| 想定費用 | 無料 |
このハンズオンについて
- 費用はかかりません:AWS Builder ID だけで無料で利用できます
- AWS アカウントは不要:Builder ID があればすぐに始められます
- 前提条件:VS Code がインストールされていることを確認してください
課題内容
Amazon Q Developer を VS Code にインストールし、AWS ドキュメント検索を強化する MCP サーバー(aws-documentation-mcp-server) を接続します。
この設定により、VS Code 上で AWS の公式ドキュメントを MCP ツールとして明示的に検索・参照できるようになり、開発効率を向上させることができます。
補足
- Amazon Q Developer は、MCP を設定しなくても AWS に関する質問に回答できます
- 本ハンズオンでは、公式ドキュメントの検索経路を IDE 側から明示的に制御できるようにするため、AWS Documentation MCP Server を追加で接続するパターンを取り上げています(2025年12月時点の挙動)
概要図
Amazon Q Developer は標準機能としても AWS に関する知識を元に回答できますが、本ハンズオンでは、Model Context Protocol (MCP) を利用して AWS Documentation API に接続するための経路を追加します。
aws-documentation-mcp-server を接続すると、開発者が VS Code 上で質問した際に、必要に応じて Amazon Q Developer から MCP サーバー(aws-documentation-mcp-server)へ問い合わせが送られ、MCP サーバーが AWS Documentation API から関連情報を検索・取得して結果を返します。
開発者が AWS Documentation API に直接 HTTP リクエストを書くわけではなく、
Amazon Q Developer → MCP Server(aws-documentation-mcp-server) → AWS Documentation API
という構成を通じて、IDE から公式ドキュメントを明示的に参照できるようになります。
この仕組みにより、Amazon Q Developer は VS Code 内で最新かつ正確な AWS 公式ドキュメントを参照しながら、コード生成や設定確認をスムーズに行うことができます。
実装機能
- Amazon Q Developer 拡張機能を VS Code にインストール
- AWS Builder ID でサインイン
- MCP サーバー(aws-documentation-mcp-server) を接続
- VS Code 上で AWS 公式ドキュメントを直接検索・参照できる環境を構築
実装のヒント
AWS Builder ID とは?
- AWS アカウントとは別の無料ログインサービスです
- メールアドレスのみで登録でき、クレジットカードは不要です
- 登録後すぐに Amazon Q Developer の無料プランを利用できます
- 学習用途や個人開発にも最適です
MCP(Model Context Protocol)とは?
- AI アシスタントが外部のツールやデータソースと連携するための共通プロトコルです
- aws-documentation-mcp-server を追加すると、Amazon Q Developer が AWS 公式ドキュメントを直接検索できるようになります
- これにより、最新かつ正確な AWS 情報をエディタ内で即参照できるようになります
完成後のチェックポイント
- Amazon Q Developer 拡張機能が VS Code にインストールされている
- AWS Builder ID でログインできている
- Amazon Q Developer のチャット機能が正常に動作している
- MCP サーバー(aws-documentation-mcp-server) が追加・認識されている
- Amazon Q に AWS に関する質問を行い、公式ドキュメントを参照した回答が得られる
使用資材
- VS Code(推奨バージョン:1.85.0 以上)
- uv(Python 用パッケージマネージャー)
- AWS Builder ID(無料アカウント)
- awslabs.aws-documentation-mcp-server(Python パッケージ)
リファレンスリンク
- Amazon Q Developer 公式ドキュメント
- Amazon Q Developer の始め方
- AWS Builder ID 登録手順
- Model Context Protocol 公式サイト
- IDE での Q Developer の MCP 設定 - Amazon Q Developer
- aws-documentation-mcp-server(GitHub)
解答・構築手順(クリックで開く)
解答と構築手順を見る
ステップ 1:AWS Builder ID の作成
- 登録ページを開く
- https://profile.aws.amazon.com/ にアクセスし、「Sign up」をクリック
- メールアドレスを入力
- 使用するメールアドレスを入力し、「Next」をクリック
- 認証コードを入力して登録完了
- メールに届いた認証コードを入力し、名前とパスワードを設定して完了
ステップ 2:VS Code に Amazon Q Developer をインストール
- VS Code を起動
- 拡張機能を開く
- 左サイドバーの拡張機能アイコンをクリック(または Ctrl+Shift+X / Cmd+Shift+X)
- 検索欄に「Amazon Q」と入力
- 「Amazon Q」(発行元:Amazon Web Services)を選択
- 「Install」ボタンをクリック
- 左サイドバーに「Q」アイコンが表示されればインストール完了
ステップ 3:Amazon Q Developer にログイン
- 左サイドバーの Amazon Q アイコンをクリック
- 「Persornal Account」を選択
- ブラウザで AWS Builder ID でログイン
- 認証後、「Open Visual Studio Code」をクリック
- VS Code に戻り接続確認
- チャットパネルに「接続が完了しました」と表示されればOK
ステップ 4:uv のインストール
-
Amazon Q から MCP サーバーを起動するために、ランタイムとして uv を入れる
Windows の場合:
powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"確認:
uv --version where.exe uv- where.exe uv で表示されたパスをメモしておきます
Mac/Linux の場合:
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh確認:
uv --version uvx --version which uvx- which uvx で表示されたパスをメモしておきます
ステップ 5:MCP サーバー(aws-documentation-mcp-server)の追加
- VS Code 左サイドバーの Amazon Q アイコン をクリック
- Amazon Q ウィンドウ右上にあるツールアイコン(Configure MCP servers)をクリック
- 「+」ボタン(Add new MCP Server)をクリック
- Scope(スコープ) は「Global」を選択(すべてのプロジェクトで共通設定)
- 以下の設定値を入力して保存
| 項目 | 入力内容 |
|---|---|
| Name | AWS Documentation MCP Server |
| Transport | stdio |
| Command | Windows:ステップ4で where.exe uv で出たパスをそのまま入力 / Mac / Linux:ステップ4で which uvx で出たパスをそのまま入力 |
| Arguments | Windows: ① tool② run③ --from④ awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest⑤ awslabs.aws-documentation-mcp-server.exeMac / Linux: ① awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest
|
| Environment Variables |
FASTMCP_LOG_LEVEL = ERRORAWS_DOCUMENTATION_PARTITION = aws
|
| Timeout |
60 秒 |
補足
- 特定の User-Agent 文字列をブロック する企業ネットワーク環境では、以下のような環境変数を追加設定してください
| 項目 | 入力内容 |
|---|---|
| Environment Variable |
MCP_USER_AGENT = Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/131.0.0.0 Safari/537.36
|
ステップ 6:動作確認
-
Amazon Q に質問してみる
S3 バケットの命名ルールに関するドキュメントを参照してください。出典を引用してください。 -
出典が表示されるか確認
- 回答の中に AWS 公式ドキュメントへのリンクが含まれていれば成功です
-
他の質問例
AWS Lambda の環境変数の設定方法は?Amazon DynamoDB のパーティションキーとソートキーの違いは?
片付け(不要)
このハンズオンでは AWS リソースの作成を行っていないため、削除作業は不要です。
Amazon Q Developer は無料プランのまま継続利用できますので、そのまま使い続けて問題ありません。
おつかれさまでした!
Amazon Q Developer と MCP サーバー のセットアップ、おつかれさまでした!
これで、VS Code 上から Amazon Q に質問しつつ、必要に応じて AWS 公式ドキュメントも参照できる、実践的な開発環境が整いました。
この課題のゴールは、単に Amazon Q Developer を導入することではなく、「エディタから離れずに、コードと公式ドキュメントを行き来しながら開発する」感覚をつかむことにあります。
ブラウザで検索してタブを渡り歩くのではなく、IDE に質問してその場で確認できるだけでも、調査や学習の負荷はぐっと下がるはずです。
次のステップとして、ぜひ以下にも挑戦してみてください。
- これまで触った AWS サービスについて、Amazon Q Developer にベストプラクティスや設計の相談をしてみる
- IaC(CloudFormation / CDK など)テンプレートの「たたき台」を Amazon Q Developer に生成させて、自分でレビューしてみる
- 他の MCP サーバーが増えてきたら、本記事と同じ手順で接続し、自分専用の開発環境を育てていく
Amazon Q Developer をうまく活用しながら、残りの問題も効率よく&楽しく進めていきましょう!
