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LPIC Level1総括

はじめに

先日LPIC Level1を受験し、合格しました。
他の人の参考になればと思い、学習を通して思ったこと、学んだことを整理しました。

スペック

・SE(5年目)
・29歳
・業務でLinuxに触れた経験はなし。
・数ヶ月前に『新しいLinuxの教科書』を2周。(LPICのための勉強ではなく、Udemyの教材等でアプリを作成する際にちょいちょいコマンド操作が出てくるので、一度体型的に学ぼうと思い読んだ)
・IT系の保有資格は基本情報技術者、Azure fundamental、 AWS SAA。

受験理由

・低レイヤーの知識に関して一度しっかり学んでみようと思ったのと、その勉強したことの証明が欲しかった。

スコア

101: 640/800
102: 630/800

勉強時間

101: 約60時間
102: 約50時間

最初小豆本をパラパラ読んだ時はそこまで時間はかからないかと思いましたが、細かいところまで覚えることが多く、思ったよりも時間がかかりました。
また、『新しいLinuxの教科書』を読んで多少前提知識があったので、もしこの本を読んでいなかったらもう少し時間がかかっていたと思います。

ちなみに、こちらの記事で合格に要する時間として未経験者200時間前後、基礎的なITスキルがある人100時間前後、経験者30時間 〜 50時間前後となっていますが、今回勉強した感じでは概ね当たっていると思います。

概ね、全くのIT未経験者の方では200時間前後、基本的なITスキルがある方では100時間前後、日常的にLinuxを使っている経験者では30時間~50時間程度と見て良いでしょう。

(参考:LPIC-1を取得するのに必要な勉強時間を徹底解説!

学習に使用した教材

小豆本
ping-t

色々とネットの情報を見た感じだと、白本(別名:スピマス)の的中率が高いみたいです。

ping-tはマストとして、小豆本、白本どちらか使えばいいのか迷う人がいると思うので、ping-tの合格体験記をまとめてみました。

(図1:LPIC101合格者の使用教材(ping-t合格体験記より, N=55))

ping-t以外は使っていないという結果が一位だったのは意外でした。
※1週間=『1週間でLPICの基礎が学べる本』

(図2:LPIC102合格者の使用教材(ping-t合格体験記より, N=34))

白本と小豆本を両方使っている人が一番多かったです。

結論から言うとどちらを使っても良さそうです。
自分は小豆本しか使っていないですが、合格後に本屋に行って白本を見てみたら当たり前ですが小豆本と同じくらいのボリュームがありました。
2冊やるのは負担が大きいので、自分に合う方どちらか1冊+ping-tを使うのがいいように思います。
また、Linux未経験でいきなり白本や小豆本がキツいという人は上の表にある『1週間でLPICの基礎が学べる本』や私が学習した『新しいLinuxの教科書』、Udemy等で一旦下地を作っておくのが良いと思います。

・書籍はどれも安くはないので、本屋さんで内容を確かめてから購入しましょう。
・ご存じの方も多いと思いますが、Udemyは頻繁にSaleを実施して9割引くらいの価格でコンテンツを購入できますので、必ずSaleの時に購入しましょう。

勉強の進め方

自分の勉強を振り返って望ましいと思う進め方を書きました。
勉強の仕方は人それぞれで、自分にあったやり方で進めるのが良いと思いますので、参考程度にお読みください。

1. ベースにする教材(書籍,Udemy等)を1周する

まずベースとする教材を1周して、概要を把握します。

以降のアウトプットで暗記するので、この時点で無理に覚えようとする必要はありません。

2. ping-tのWeb問題集を1周する

概要の把握が済んだら、ping-tのWeb問題集を1周します。

 ping-tには問題のタイプにWeb問題集とコマ問の2種類存在します。
 一旦はWeb問題集を優先し、コマ問は余裕があれば取り組むという形で問題ないと思います。

・Web問題集: 選択式問題(記述は一切なし)
・コマ問:記述問題。

コマ問はWEB問題集(無料)の内容を暗記する事を主な目的としたコンテンツです。

とのこと(Web問題集で問われる内容とほとんど同じ問題が出ます)。

最初は1つのセクションを完璧にするのではなく、全ての問題(約600 - 700問)を解きます。
なぜなら、小豆本を読んだだけではコマンドやファイル名等どこまでがどのような形で問われるのか分からないからです。
ping-tを1周し、出題される内容を把握することでどこからどこまで勉強すればいいのか分からないという心理的ストレスを解消することができます。

また、 ミスが多くても気にする必要はありません。
間違えた問題を繰り返し解いていくことで次第にミスの数が減っていくからです。

(図3:筆者のWeb問題集(102)初回実施後の状況) (図4:筆者のWeb問題集(102)実施回数とミスの逓減度合)

ここで注意点があります。
それは根拠を持って解ける問題だけ解答すると言うことです。
Web問題集は選択式なので、理解や記憶が曖昧な場合でも答えることができます。
しかし、それだと本番で解ける力が身につかず、勉強している意味がありません。

また、根拠を持って解ける(正しく暗記できている)=その問題は繰り返し解く必要がありません。
例えば、以下のような問題があったとします。

ファイル、ディレクトリを一覧表示するコマンドを選べ。

  • A. echo
  • B. cat
  • C. ls
  • D. ping

lpicを勉強している人なら秒で C. ls が正解とわかると思います。
しかし、
・問題文を読む
・答えを選択するためにマウスを動かす
・「次に進む」ボタンや「解説を見る」ボタンを押す
これらの動作で十数秒は無駄にします。
1つだけならまだしも数十問数百問となってくるとかなりの時間のロスになります。
加えて、問題を読んで解答するという単調作業の繰り返しは結構メンタル的にも疲れます。

ping-tはとにかく問題数が多いです。
そのため、無駄な時間のロス、精神的疲労を避けるためにも解ける問題は解かないことが重要です。

「根拠を持って解ける問題だけ解答する」ことで、効率的に問題を処理していきましょう。

3. ミスした問題をひたすら解く

以上で準備は整いました。
あとはミスをした問題をひたすら解くだけです。
進め方は2と同じ。
根拠を持って解答できる場合解答する or 解答に確信が持てない場合解答しない
です。

ミスをした問題は解説をしっかり読んだり、ベース教材の該当箇所を確認し、しっかり暗記しましょう。

また、コマンド系の問題やファイル・ディレクトリの名称を答えさせる問題は選択肢を見る前に自分の頭の中でコマンドを組み立てる or ファイル名・ディレクトリ名を思い浮かべましょう。
これがかなり重要で、やるとやらないとで大きな差が出てきます。
Lpicは選択式の問題の比重が大きいですが、記述問題も数題出ます。
そのため、自分の頭で思い出す訓練をしていないと
「このコマンドって末尾にsつくっけ・・・?」
「このディレクトリの絶対パスって/etc/...だっけ、/var/...だっけ・・・?」
みたいなことになります。
必ず、自分の頭で思い出す訓練をしましょう。

以上の手順でミスを減らしましょう。
自分はミスの数を0にすることはできませんでしたが、30未満くらいになったら十分な知識が身についているのかなと思います。

 なお、ping-tにはレベルというものがあり、問題に正解するとレベルが上がっていく仕組みになっています。
 このレベルが気になってしまう人もいるかと思いますが、個人的にはあまり気にする必要はないと思います。
 合格体験記の方々のデータでは30 ~ 40レベルになっている人が多かったですが、あまり点数との相関は見られませんでした。
 レベルに気を取られるのではなく、ミスを潰すことを意識しましょう。

(図5:Web問題集のレベルと合格点の散布図(101), N=55) (図6:Web問題集のレベルと合格点の散布図(102), N=34)


(図7:筆者の101合格時点のWeb問題集の状況)

(図8:筆者の102合格時点のWeb問題集の状況)

4. コマ問を解く or 模試を解く

ミスの数が減ったらコマ問や模試を解きましょう。
また、パスした問題も一度全て解き直して、取りこぼしを無くすのも良いと思います。
私は下のような感じでした。

【コマ問】
101:1周(ただし復習しきれなかった)
102:20%くらいやって試験までに終わらないと判断したので、Web問題集の復習に注力
【模試】
101:1回(得点率80%)
102:未実施
【全て解き直し】
101:1回
102:1回

 私はコマ問は十分に実施しきれませんでしたが、エクセルにコマンド、ファイル名・ディレクトリを全てまとめてそれらを記述する練習をしていたので、実質コマ問をやっていた形になるのかもしれません。
 これをやっていなかったら落ちていたと思うので、コマ問は暗記のために重要だと思います。
 ただ、合格体験記や個人ブログ等ではコマ問を実施していない人が多かったので、あくまで+αと捉えるのが良いのかもしれません。

以上で合格点に到達できると思います。

【補足】実機の利用に関して

LPIC Level1は暗記で点数が取れるため、あくまで”合格”という点だけにフォーカスする場合、Virtual Box等による実機での演習は必要条件ではないと思います。
ただし、LPICの学習をするということは、皆さん何らかの形でLinuxを操作する必要があるということかと思いますので、実機を導入して操作しながら覚えるのがいいと思います(その方が理解の深まる度合いも大きいと思います)。
私もコマンドはたまに打ち込んで挙動を確認していました。

重要だと思った点

以下、私が重要だと思った点を2点述べます。

1. 101と102は分けて勉強・受験する

もしかしたら「101と102を別々の日に受けるのは面倒だから、同じ日に受けてしまおう」と考える方がいるかもしれませんが、合格された多くの方が書かれているようにオススメしません。
なぜなら、細かいところまで記憶する必要があるため、どうしても覚えた内容を忘れていくからです。
そして、私も受験を申し込む時点で初めて知って驚きましたが、LPICの受験料はめちゃくちゃ高い(16,500円)です。
無理をして2つを一緒に受けて片方でも受からなかったら大金を失うことになります。
1つずつ受けて確実に合格することを目指しましょう。

 ping-t等で受験のバウチャーチケットを1割引の値段で購入することができます。
 探してみてください。

2. LPIC合格はゴールではなくスタート

他のIT系資格、ひいては世の中の全ての資格に共通して言えることですが、資格取得はゴールではなくスタートです。
LPICに受かったからといってLinuxの技術者としてすぐにバリバリに活躍できるかというと、そんなことはないと思います。
LPICはあくまでもLinux技術者としてのスタート地点に立つための資格ということを忘れないようにしましょう。

参考)逆に言うとLinuxをバリバリ触っている方がLPICをいきなり受けても合格するわけではないみたいです。

私にはLinuxを採用した組込みソフトウェア開発と、その開発環境で使うLinuxサーバー(Ubuntu)の運用経験がありました。DevOps Tools Engineer を受けようと思ったのですが、LPI日本支部の解説動画で「最低でも LPIC1 は必要」との助言があったので LPIC1 からとることにしました。
「実務経験あるしレベル1なんだから2日でとれるんじゃない?」と思いきや最初の白本やPing-tの正答率は40%未満。
(ping-t合格体験記より)

101 と同じく、実務経験があっても全く勉強しないで臨むと 40% 程度の正答率になるのではないかという所感です。
(ping-t合格体験記より)

おわりに

LPICの勉強をしてインフラに対する理解が深まりました。
細かいところまで暗記する必要があり、決して楽な試験ではありませんが、頑張って取得しましょう!

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