概要
Cognosでは、本番環境と開発環境の区別なく、開発用フォルダと本番用フォルダを分けて運用している環境もあると思います。
開発フォルダで開発したレポートを、本番フォルダにコピーして本番リリースするような場合です。
Cognos Analyticsのデフォルトの動作では、この時、本番のレポートが上書きされると、レポートのIDが変更となるため、他のジョブなどでこのレポートを指定していると、ジョブも動作しなくなり、再設定が必要となります。
そのような再設定は面倒くさいので、本番レポートを上書きしてもIDが変更される事なく、ジョブの再設定も不要になる、というコピー時の動作変更が可能な素敵なオプションが、Cognos Analytics 11.0.7から実装されましたのでご紹介します。
内容
例えば、こんな感じに「本番レポート」があり、「ジョブ」から1分に1回、PDF保存をスケジュール実行している環境があるとします。
「本番レポート」のIDは、*45です。
1分間に1回のPDF保存なので、6時39分の最新時刻のバージョンが保存されています。
ここで、「開発中」フォルダにあった「開発中レポート1」を「本番レポート」という名称に変更し、先ほどの「本番レポート」に上書きで被せます。
すると上書きされた「本番レポート」のIDが変更になります。*41になっています。
保存バージョンを見ると、きれいさっぱり無くなっていて、何分か待ってもジョブは動作せず、保存バージョンは作成されません。
つまり、ジョブからのリンクが切れてしまっているのですね。
実際にジョブを見てみると、この通り、「本番レポート」のエントリーが消えています。
これを再設定すれば直りますが、リリースの度にこの設定を行うのは面倒くさいですよね。
この上書き時の動作を変更するパラメーターが、以下となります。
ブラウザで、以下のURLにアクセスします。
http://cognoshostname:9300/bi/utils/ConfigSetter.html
Name: Portal.updateTargetObjectWhenOverwrite
Value: true
を指定し、submitをクリックすれば、Cognos再起動不要で10秒ほどで変更されます。
さてこの状態で、もう一度上書きをやってみます。
ジョブの設定も復活させましたので、最新時刻の6時47分のバージョンを持ちます。
ここで「開発フォルダ」の「開発中レポート2」を「本番レポート」に名称変更します。
IDは、*92です。
しかしながら「本番レポート」のIDは、*41のままで変更されません。
ジョブからのリンクも切れないので、更新された最新時刻の6時49分バージョンを持ち、1分置きにさらに更新されていきます。
という感じの動作ですね。
これは中々使える機能だと思いますので、是非知っておいて頂ければと思います。
参考情報
Administration – Changing the behaviour of Object Copying in #Cognos Analytics 11.0.7 (Release 7)
https://www.ibm.com/communities/analytics/cognos-analytics-blog/administration-changing-the-behaviour-of-object-copying-in-cognos-analytics-11-0-7-release-7/