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NPSというマーケティング指標について調べてみた

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マーケティング指標として面白そうなものがあったので書籍を読んで内容をまとめてみました。独断と偏見でまとめていますので、詳しくは下に記載した書籍やHPを御覧ください。


参考資料

ネット・プロモーター経営 〈顧客ロイヤルティ指標 NPS〉 で「利益ある成長」を実現する



Net Promoter System


NPSについて

NPSはたった一つの質問への回答に基づいて顧客を分類するという、単純明快で実用的な手法。

その質問とは基本的に以下の様なもの。


0〜10点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか。


これに続けて、少なくとももう一問、


そのスコアを付けた主な理由は何ですか。


と聞いてみると評価に関わる要因を把握することが可能となる。


NPSの計算方法


NPS =(推奨者の割合)ー(批判者の割合)


これは現在の運営について、売上が上がっていたとしても、

推奨者が増える成長エンジンとして機能しているのか、

批判者が増える最悪のエンジンとして機能しているかを見るている。


NPSのメリット


  • 0~10点法は単純明快なので、企業は顧客の感情や態度を速やかに測定することができる(1~5点でも問題はない)

  • 純利益や正味価値に似た実用的な数字で表される、単純明快でパワフルな指標

  • それに続く質問を自由回答方式にすれば、顧客自身の言葉で、その態度の背後にある理由を語ってもらえる

  • 回答にバイアスがかかりにくい(従来の調査では予め顧客からの回答を想定した上で回答の選択肢を提示することが多く、結果的にバイアスが生じる可能性がある)


NPSにおけるユーザの分類

推奨者(プロモーター)、中立者(パッシブ)、批判者(デトラクター)の3つのグループに分類される。

以下、詳細を記載する。


推奨者(プロモーター)

9点または10点を付けたユーザ。

ロイヤリティが高い顧客で通常は何度も商品を再購入し、全出費の中においてその企業への支出が占める割合が高い。

友人や同僚に対して実際にその企業について好意的な話をしている事が多い。

推奨者のロイヤリティを維持しつつ、こうした顧客を増やすための効果的な方法を知り、

そのために必要な行動をとる従業員を正しく評価するためにNPSを活用する。


中立者(パッシブ)

7点か8点を付けた人々は、自分が支払った分の見返りは得ているが、それ以上ではないと思っている。

満足はしているがあくまで受け身であり、推奨者とはまったく異なる態度や行動を示す。

彼らは、友人や同僚にその企業を紹介することはほとんどない。

紹介したとしてもそのときは限定付きで、それほど熱心でもない。競合他社の割引価格や豪華な広告が目に止まれば、そちらに移ってしまう可能性もある。

企業は彼らを長期的な資産としてあてにすることはできない。

この顧客セグメントに対する企業の目標は、彼らに心から喜んでもらえるように、サービス、製品、プロセスを改善して、その一部を推奨社に変えていくことである。


批判者(デトラクター)

6点以下を付けた人々。

このスコアが意味することは、その企業との取引が愉快なものでなかったと、彼らが感じているということ。

彼らは自分の扱われ方に不平や不満を持ち、失望すらしている。

しかも彼らは、友人や同僚にその企業の悪口を言う。

長期契約を結んでしまっていたり、同様のサービスを提供する競合他社がいないなどの理由で簡単に他社に切り替えられない場合は、とても厄介な存在となる。

彼らは次々に苦情を寄せてはコストを押し上げる。

また、彼らの不機嫌な言動によって、従業員のモチベーションや誇りは損なわれる。

企業は彼らが失望した根本原因を理解したうえで、謝罪し、その問題を解決する方法を講じなくてはならない。

しかし、批判者の不満に対して経済合理性のある解決策が無いとしたら、企業はそもそも、この種の人々を顧客にしないようにすべきだ。


NPSを用いたマネジメント・システム

以下の3つの要素が中心となる。


  • 簡単な調査を通して、顧客を推奨者、中立者、批判者に分類すること

  • その分類に基づき、わかりやすいスコアを算出できること

  • NPSの観点で進捗管理や成功に向けた枠組みをつくること


NPSの効果を発揮するための3つの要素


タイムリーでかつ透明性のある方法で推奨者と批判者を分類すること

分類や結果として得られたフィードバックは、専門家だけでなく、顧客と直接接点のある従業員が直感的にわかるものにする必要がある。この情報を組織的に収集して、会社に伝え、人々が行動を起こし、結果を追跡できるようにしなければ、全く何の意味もない。


クローズド・ループ

顧客からのフィードバックに基づいて改善のための行動を起こし顧客に働きかけるサイクルのプロスセスをつくり、学びと改善を日々の活動に組み込まなくてはならない。企業が実際に学んだことを実践しなければ、つまり学びと行動がループ状にならなければ、NPSでは何も達成されない。


ミッション

CEOをはじめとする経営陣たちは、推奨者を増やし、批判者を減らすことを最重要ミッションとしなくてはならない。決してNPSを市場調査部門に任せきりにしてはならない。顧客と従業員のロイヤリティを獲得することが企業哲学と戦略上の優先事項の中心となっていない場合、新たな顧客フィードバック・プロセスをいくら取り入れても、ほとんど意味がない。


各セグメントが事業に及ぼす経済効果を見積もるのに有効な項目

下の5項目の内容から平均的な顧客単位の損益計算書を導き出すことも可能(P102の図参照)。


顧客維持率

一般的に批判者の離反率は推奨者よりも高い。したがって収益性も低い。

NPSから平均的な継続期間を予測することも可能(らしい)。<-算出式などはHPを参照


価格

推奨者は他のセグメントほど価格に敏感ではなく、批判者はその正反対。

推奨者と批判者の過去半年から1年のマーケットバスケットを精査する必要がある。


年間購入額

推奨者の購入額は批判者よりも速いペースで増加する。


費用対効果

批判者は以下の点において費用対効果が悪い。


  • 頻繁に苦情をよせるため、顧客サービス要因の手間が多くかかる

  • 貸倒損失が大きい(というデータもある)

  • 訴訟による法的コスト

逆に、推奨者は企業との関係が継続的に長期間続くため、マーケティング、広告などの費用が安くすむ。

そして、肯定的なフィードバックが社員の士気を向上させ、従業員離職率が下がり、会社の生産性があがる。


口コミ

評判や推奨に惹かれて自社を選んでくれた新規顧客の割合を必要ならば調査した上で定量化する。

これら新規顧客の生涯価値は、販売費やマーケティング費用の節約分も含めて、全て推奨者に割り振るべきものである。

(肯定的な推奨の80~90%は推奨者からもたらされる。<-要調査)

そして、紹介客は推奨者になりやすく、推奨の好循環を加速していく。

一方、批判的な口コミの80~90%は批判者から発信される。これにより成長が妨げられる場合、その分はコストとして批判者に割り振るべきである。

このコストを推定する方法として最も簡単なのは、おそらく否定的なコメント一件で肯定的なコメント何件分が相殺され、その結果、潜在的な紹介客が何人失われるかを推定することだろう。正確にこの数字を測るには、顧客にインタビューするしか無い。

経験から否定的なコメント一件につき、三件から十件の肯定的なコメントが相殺されると仮定するのが安全(らしい)。


NPSと成長の関係:相対的NPS

フィリップスやアリアンツといった先進的なNPS採用企業からの学びによれば、きちんと定義された各事業において、直接的な競合他社よりも早いスピードで改善する、ということに注力したほうがよい。各事業における直接的な競合他社とは、地元の顧客が現実的に購入可能な地理的範囲内にいる競争関係にある他社を意味する。

こう定義する理由は、全く異なる事業分野や地域にまたがってNPSを平均すると、誤解につながりかねないからだ(地域別・事業別にみなければ誤解が生まれる)。

経験豊富なNPS実践企業は、自社の優先事項を決め、目標を設定するために、相対的NPSや「競合ベンチマークNPS」と呼ばれるものを用いている。

事業別でいえば、競争性の低い業界のNPSは著しく小さく出る傾向があり、また、相対的な成長とNPSとの間に相関が確認されない事が多い。地方自治体と独占契約を結ぶ事が多いケーブルテレビ業界がその典型例。


NPSの信頼性確保のためのチェック項目


  • 少なくとも1年に1度NPS調査を受ける顧客比率は何%で、どのくらい回答が戻ってくるか?これらの顧客は売上高の何%を占めているか?

  • 「クローズド・ループ」を用いて、フォローアップのために48時間以内に連絡をとっている批判者は何%にのぼるか?連絡をとった人のうち、講じられた対応に満足した人はどのくらいいるか?

  • 所属部門の現在のNPSとその目標を知っている従業員はどのくらいいるか?また、その目標を達成するために必要なもっとも重要な改善点を1つ挙げることのできる従業員はどのくらいいるか?

  • ターゲット顧客セグメントの中で、推奨者と批判者の顧客生涯勝ちの違いはどのくらいか?

  • 推奨者を増やすために最も重要な取り組みは何か?推奨者1人を生み出すためにかかるコストはどのくらいか?


NPSに関わる科学の構築

NPSを科学的な指標として厳密に取り扱うために、サンプリング、測量、分析、解釈の各段階を秩序だって行う方法を確立する必要がある。

そのためには、方法論と出てきた結果を何度もテストしなおし、検証することが大切。なぜなら、数学的なエラー、疑わしい方法論、不可解な変数ほど信用と信頼を損なうものはないからだ。

結果とプロセスの改善に興味を持ち続け、利害関係者や現場の実践者たちからの意見やアドバイスを求めなくてはならない。

また、サーベイ調査のサンプリング、設計、実行のすべての段階において、あらゆるマイナーな変化の影響を厳密に検討したほうが良い。文字のフォントや改行といった些細な変更でさえ、スコアに影響を及ぼす可能性がある。

調査プロセスに変更を加える前に必ず、詳細な比較実験を行うのがベスト。

会社にとって重要なオペレーション指標となるには、数字の整合性は完全に信頼できるようにする必要がある。


感想

コアユーザ偏重型のサービスではなく、批判者を減らし、推奨者に転換するための指標。

この指標を見ながら改革/改善を実行していく事が重要。

エンゲージメントなどはPOSデータだけから算出するのは難しい面もあるため、

定性的なデータと絡める事によってマーケティング的にも活用の幅は広そう。

(うまく使えば顧客生涯価値の計算にも利用可能という点含めて。)