先に結論
- 🤖 AIが99%の実装を担当 → 効率は良いが、学習効果は限定的
- 📝 自分で書くコードは本当にわずか
- 👶 プログラミング初心者や新人さんにはもしかすると有用
- 🔍 AIの思考プロセスが見える「インサイト機能」は勉強になる
AI時代の学習に対する疑問
最近のAI開発ツールの進歩は目覚ましく、ChatGPTやCopilotでコードがサクサク書けるようになりました。プログラミング経験が少なくてもアプリが作れる時代になってきています。
ただ、ふと疑問に思うのは「これって本当にスキルアップにつながっているのか?」ということです。
そんな中、ClaudeCodeに「学習モード」があることを知り、実際に検証してみることにしました。果たして、AIに頼りながらでも本当に学習効果があるのでしょうか?
検証の概要
検証内容: ClaudeCodeの学習モードでReact Native(Expo)のTodoアプリを開発
検証ポイント: 実際の実装分担、学習効果、どんな人に向いているか
使用した技術スタック
| 技術 | 選んだ理由 |
|---|---|
| React Native | iOS・Android両対応、JavaScript/TypeScriptで開発可能 |
| Expo | 環境構築が簡単、小規模開発には最適 |
| TypeScript | 型安全性で開発効率と保守性を向上 |
なぜExpoを選んだか
Expoは React Native 開発を効率化するツールチェーンで、通常のReact Nativeと比べて以下のメリットがあります:
-
環境構築が簡単 -
npx create-expo-appだけで開発開始 - 実機確認が楽 - Expo Goアプリでリアルタイムテスト
- 公式ライブラリが豊富 - カメラ、通知、センサーなど必要な機能が揃っている
小規模開発なら間違いなくExpoがおすすめです。
実際の開発プロセス
Step 1: プロジェクト作成
npx create-expo-app todo-for-study
これだけで開発環境完成。Expoの手軽さを実感しました。
Step 2: 要件定義フェーズ
「シンプルなTodoアプリを作りたい」と伝えると、ClaudeCodeがヒアリングを開始。まるで優秀なPMと話している感覚でした:
- どんな機能が必要か?
- ユーザー登録は必要か?
- データはどう保存するか?
最終的にCLAUDE.mdに要件をまとめてくれるのも便利でした。
Step 3: 実装開始とインサイト機能
いよいよ実装開始。ここでClaudeCodeの「インサイト機能」が登場します。
インサイト機能とは?
AIが「なぜこのコードを書いたのか」という思考プロセスを説明してくれる機能
「この部分でReact Hooksを使った理由」「なぜこの状態管理にしたか」など、AIの判断根拠が分かるのは新鮮で勉強になりました。
Step 4: ついに人間の出番「TODO(human)」
しばらくするとコードにこんなコメントが登場:
// TODO(human): addTodoハンドラーの実装
// テキスト入力の検証(空文字、最大文字数制限)と、
// 追加後の入力フィールドクリア処理を実装してください
const handleAddTodo = async () => {
// ここに実装を追加してください
};
ようやく自分の実装タイムです!
Step 5: 手動実装と学習
指示に従ってTodo追加処理を実装しました:
const handleAddTodo = async () => {
console.log('handleAddTodo called with text:', text);
const trimmedText = text.trim();
setError('');
// 入力値検証
if (trimmedText.length === 0) {
console.log('Validation failed: empty text');
setError('タスクを入力してください');
return;
}
if (trimmedText.length > 200) {
console.log('Validation failed: text too long');
setError('最大200文字まで入力できます');
return;
}
// Todo追加処理
console.log('Calling onAddTodo with:', { text: trimmedText });
try {
await onAddTodo({ text: trimmedText });
console.log('onAddTodo succeeded');
setText(''); // 入力フィールドクリア
} catch (error) {
console.error('onAddTodo failed:', error);
setError('タスクの追加に失敗しました');
}
};
実装完了後、「実装が完了しました」と報告すると、AIがコードレビューを実施。修正点があれば自動で直してくれて、まるで先輩エンジニアとペアプロしている感覚でした。
Step 6: 完成まで
残りの実装はClaudeCodeが担当し、シンプルなTodoアプリが完成しました。
検証結果:率直な感想
良かった点 ✅
-
AIの設計思想が学べる
インサイト機能で「なぜその実装を選んだか」が理解できるのは価値がある -
実践的なコードレビュー
自分のコードをAIがレビューしてくれるのは新鮮で、改善点が明確になる
気になった点 ⚠️
-
実装量が圧倒的に少ない
全体の1%程度しか実装せず、「がっつり学習した感」は薄い -
ブラックボックスが多い
AIが書いた99%の部分がどう動いているか理解が困難 -
受け身になりがち
基本的にAIの指示待ちで、自分で考えて実装する機会が少ない
どんな人におすすめ?
あまりおすすめしない人 ❌
- しっかり学習したいエンジニア → 学習量が不足
- 基礎から理解したい人 → ブラックボックス部分が多すぎ
- 自分のペースで学びたい人 → AIペースに引っ張られる
おすすめできる人 ⭕
- プログラミング初心者 → 挫折せずに成功体験を積める
- 新人エンジニア → 実務効率と学習のバランスが取れる
- とりあえず動くものを作りたい人 → 短時間でプロトタイプ完成
- AI開発手法に興味がある人 → 新しいアプローチを体験できる
まとめ
ClaudeCodeの学習モードは、従来の「基礎→応用→実践」とは異なる「実践→逆算学習」というアプローチです。
深い理解を求める本格的な学習には物足りませんが、プログラミング初心者の「最初の一歩」としては十分な価値があると感じました。特に「環境構築で挫折する」「何から始めればいいか分からない」という初心者の壁を取り払ってくれます。
ただし、ある程度慣れてきたら自分でゼロから実装する経験も必要です。
今後のアップデートで、学習者のレベルに応じた実装量の調整や、段階的な難易度設定などが追加されれば、より効果的な学習ツールになる可能性があります。


