Unity C# における Inheritance（継承）とは？

Inheritance（継承）とは？

C# における継承（Inheritance）は、あるクラスが別のクラスの機能を引き継ぐ（再利用する）仕組み です。継承を使うことで、コードの再利用性が向上し、オブジェクト指向プログラミングの基本である「共通の振る舞いを持つクラス」を作ることができます。

Unity では、例えば MonoBehaviour を継承することで、Unity の Update() や Start() などのメソッドを使用できるようになります。

---

基本的な継承の書き方

// 基本クラス（親クラス）
public class Animal
{
    public string name;
    public void Speak()
    {
        Debug.Log(name + " is making a sound.");
    }
}

// 派生クラス（子クラス）
public class Dog : Animal
{
    public void Bark()
    {
        Debug.Log(name + " is barking!");
    }
}

// 使い方
Dog myDog = new Dog();
myDog.name = "Buddy";
myDog.Speak(); // Buddy is making a sound.
myDog.Bark();  // Buddy is barking!

Dog クラスは Animal クラスを継承しているため、Speak() メソッドを使用できます。

---

Protected 修飾子

protected とは？

protected は、そのクラス自身と、継承した子クラスからのみアクセスできるメンバー を定義する修飾子です。

例

public class Animal
{
    protected string species = "Unknown";
    
    protected void DisplaySpecies()
    {
        Debug.Log("Species: " + species);
    }
}

public class Dog : Animal
{
    public void ShowInfo()
    {
        DisplaySpecies(); // 継承したクラスからはアクセス可能
    }
}

Dog myDog = new Dog();
myDog.ShowInfo(); // Species: Unknown

🚫 myDog.species には直接アクセスできません（protected は外部からアクセス不可）。

---

Override と Abstract（仮想メソッドと抽象メソッド）

Override（オーバーライド）とは？

override は、親クラスのメソッドを子クラスで上書き（オーバーライド）する ためのキーワードです。継承元のクラスで virtual キーワードを使ってメソッドを宣言し、子クラスで override することで、異なる振る舞いを実装できます。

例

public class Animal
{
    public virtual void Speak()
    {
        Debug.Log("Animal is making a sound.");
    }
}

public class Dog : Animal
{
    public override void Speak()
    {
        Debug.Log("Dog is barking!");
    }
}

Animal myAnimal = new Animal();
myAnimal.Speak(); // Animal is making a sound.

Dog myDog = new Dog();
myDog.Speak(); // Dog is barking!

✅ virtual を使うことで、子クラスで override してメソッドの動作を変更可能。

---

Abstract（抽象メソッドと抽象クラス）

abstract は、基底クラスで定義し、派生クラスで必ず実装しなければならないメソッド を示すキーワードです。abstract メソッドは本体を持たず、子クラスで override して具体的な動作を実装する必要があります。

また、抽象メソッドを持つクラスは abstract キーワードを使って 抽象クラス にする必要があります。

例

public abstract class Animal
{
    public abstract void Speak(); // 抽象メソッド（実装なし）
}

public class Dog : Animal
{
    public override void Speak()
    {
        Debug.Log("Dog is barking!");
    }
}

// Animal myAnimal = new Animal(); // エラー（抽象クラスは直接インスタンス化できない）
Dog myDog = new Dog();
myDog.Speak(); // Dog is barking!

✅ abstract を使うと、共通のインターフェースを定義でき、子クラスで必ず実装させることができる。

---

まとめ

継承の重要なキーワードと使い方

キーワード	役割	使い方
protected	継承したクラスからのみアクセス可能なメンバーを定義	親クラス内の変数やメソッドを子クラス専用にする
override	親クラスの virtual メソッドを上書きする	子クラスで異なる動作を実装したいときに使う
abstract	抽象クラスや抽象メソッドを定義し、子クラスで必ず実装させる	親クラスの機能を強制的に継承させたいときに使う

継承を活用することで、共通の機能をまとめつつ、派生クラスごとに異なる動作を実装できます。特に abstract を使うことで設計の統一感を持たせることが可能です。