1. アナログシステムの定義
- アナログシステムとは、入力と出力が時間の連続関数で表されるシステム全般。
- 電気回路だけでなく、機械系(質量・ばね・ダンパ)、熱系(温度伝導)、流体系(流量・圧力)なども含まれる。
- 共通して 入力と出力のエネルギー関係を支配する微分方程式 で記述できる。
2. 線形・非線形
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線形システム (LTI: Linear Time Invariant)
- 重ね合わせの原理が成り立つ(入力の和 → 出力の和)。
- 時間に依存せずシステム特性が一定。
- 伝達関数や周波数応答で解析可能。
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非線形システム
- 入出力の関係が非線形。高調波・周波数変換などが発生。
- アナログシステムの実用上は 小信号線形化 して近似解析することが多い。
3. モデル化の共通構造
アナログシステムは多くの場合、以下の「入力 u(t) → 出力 y(t)」関係で表される。
微分方程式形式
a_n d^n y/dt^n + … + a_1 dy/dt + a_0 y
= b_m d^m u/dt^m + … + b_1 du/dt + b_0 u
ラプラス変換 → 伝達関数
H(s) = Y(s) / U(s)
4. 入力信号と応答
-
インパルス応答 h(t)
システムの全特性を決定。y(t) = ∫ x(τ) h(t - τ) dτ -
周波数応答 H(jω)
正弦波入力 e^{jωt} に対して振幅と位相を与える。y(t) = |H(jω)| · e^{j(ωt + θ(ω))}
5. 安定性
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システムの極 (pole) 位置で判定:
- Re(s) < 0 → 減衰(安定)
- Re(s) = 0 → 持続振動(中立安定)
- Re(s) > 0 → 発散(不安定)
6. アナログシステムの構成要素と演算
どの物理系でも「抵抗・エネルギー貯蔵要素」で記述できる。
-
抵抗 (R, 摩擦, 熱抵抗, 流体抵抗)
- 入力に比例する出力 → 定数倍
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容量 (C, 質量, 熱容量, 流体タンク)
- 積分的ふるまい → ∫ 演算
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インダクタ (L, ばね, 熱慣性, 流体系の慣性)
- 微分的ふるまい → d/dt 演算
7. 一般化まとめ
- アナログシステムは、入力と出力が時間連続の信号で結ばれた動的システム全般。
- 線形なら伝達関数・周波数応答で統一的に解析可能。
- 抵抗・容量・インダクタは、物理系ごとに「摩擦・質量・ばね」「熱抵抗・熱容量」などに対応し、共通の数理構造をもつ。
- 時間領域 → 畳み込み、周波数領域 → 積分変換(ラプラス・フーリエ)で表現できる。
アナログシステムの固有振動と数値計算による求め方
アナログ回路にインパルス入力(瞬間的なパルス)を与えると、回路固有の振動応答が観測される。これは、鐘を叩いたときに固有の周波数で「ゴーン」と鳴る現象と同じであり、システムの内部エネルギーが解放されることで起こる。この応答は、回路の 固有振動数 と 減衰率 によって決まり、数学的には伝達関数の極(pole)の位置によって一意に定まる。
固有振動数は伝達関数の分母を 0 としたときの解から得られる。たとえば直列 RLC 回路では
$$
H(s) = \frac{1}{L s^2 + R s + 1/C}
$$
の極は
$$
s = -\frac{R}{2L} \pm j \sqrt{\frac{1}{LC} - \left(\frac{R}{2L}\right)^2}
$$
となり、実部が減衰率、虚部が振動角周波数を表す。
数値計算による3つの方法
この固有振動応答は、数値計算でも以下の3つの方法で求められる。
-
行列(状態空間法)
回路を状態方程式に書き換えると$$
\dot{X} = A X + B u, \quad y = C X
$$となる。インパルス入力 δ(t) は「初期状態のジャンプ」として表せるため、
$$
y(t) = C e^{At} B
$$によって応答が計算できる。行列指数関数を用いるため、システム行列 A の固有値がそのまま極に対応し、振動特性を直接反映する。
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微分方程式(伝達関数法)
伝達関数 H(s) を分子・分母で定義し、数値的に逆ラプラス変換(例えばscipy.signal.impulse)を行うことで、時間応答を直接シミュレーションできる。これは古典的な制御理論や回路理論の方法に近い。 -
FFT/IFFT(周波数領域法)
インパルス入力のフーリエ変換は 1 であるため、インパルス応答のフーリエ変換はそのままシステムの周波数応答 H(jω) となる。したがって、H(jω) を離散周波数ごとに計算し IFFT を取ることで、時間領域の応答を復元できる。
固有振動と応答の関係
どの手法を用いても得られる波形は同じであり、減衰指数項 $e^{-\alpha t}$ と振動項 $\sin(\omega_d t)$ の組み合わせで表される。ここで $\alpha = R/(2L)$ は減衰率、$\omega_d = \sqrt{1/(LC) - (R/2L)^2}$ は減衰振動周波数である。数値例として R=10Ω, L=1mH, C=10µF の場合、減衰率は 5000 [1/s]、減衰振動周波数は約 8660 [rad/s] (約1.38 kHz) となる。実際に数値計算を行うと、インパルス応答はこの値に従って振動しながら指数的に減衰していくことが確認できる。