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MapboxがOSM2VectorTilesに知的財産権侵害を指摘した経緯のメモ

はじめに

2016年末頃まで、Mapbox互換のバイナリベクトルタイル(.mbtilesファイル)およびスタイルファイルを無償で配布していたOSM2VectorTilesというサイトがありました。

こちらのタイルとスタイルを利用していたのですが、しばらくして訪れた配信サイトには

OSM2VectorTiles is no longer maintained. Please switch to the successor project openmaptiles.org.

とあり、気がついたら配信停止。
さらにOSM2VectorTilesのリポジトリには、しれっとこんなことが

OSM2VectorTiles is claimed to be breaching intellectual property rights of Mapbox Inc. by implementing schema of vector tiles designed by this company (details in #387). It is not recommended to use this project in production systems. The project is no longer maintained. Please switch to the successor project https://openmaptiles.org which implements a new open Vector Tile Schema free of similar claims https://openmaptiles.org/schema/.

知的財産権侵害...
詳しい経緯については、こちらのissueに書いてありました。

pp1.png

「私達はosm2vectortilesに対して、独自のタイルスキーマと地図作成方法に切り替えるよう要求します。」
「osm2vectortilesがコピーしようとしたMapboxのタイルスキーマは、当社の地図作成者達の長年にわたる膨大な作業を経て作られたものであり、オープンライセンス化していない数少ないデータの1つです。」

経緯

Mapboxの主張

図1.png

  • Mapboxの地図データはOpenStreetMapがベース
  • OpenStreetMapの複雑なタグを、Mapbox独自の簡単なタグに変換 -> この変換ルールのセットをタイルスキーマとよぶ
  • Mapboxのタグを使い、HTMLのclassやidがCSSでスタイルされるようなやり方で見栄えを設定する -> これが地図作成方法(スタイル)

Mapboxはタイルスキーマに知的財産権を主張
OSM2VectorTiles側が、ベクトルタイルからタイルスキーマをリバースエンジニアリングしてコピーしたと考えている

OSM2VectorTilesの反論

  • 一方、OSM2VectorTilesの地図データもOpenStreetMapベース
  • Mapboxはスタイルをオープンライセンスとして公開している
  • Mapboxはタイルスキーマのタグ一覧をWebで情報公開している

図3.png

OSM2VectorTilesはあくまで、Mapboxが公開している情報をヒントに
Mapboxのスタイル互換のタイルスキーマを作ったので、コピーではないと反論

Mapboxの反論

情報公開しているが、オープンライセンスではない

GitHub外の話し合いの結果

OSM2VectorTilesは部分削除を提案したが、Mapboxは全面作り直しを要求。
「部分削除ではダメ」というMapboxの主張に法的な根拠はないものの、OSM2VectorTilesは将来の法的リスクも考えて作り直しに舵を切る。

p1.png

「osm2vectortilesは、私達のタイルスキーマのうちオープンライセンスのスタイルによらない部分(タグ一覧がないと作れない部分)を取り除くことを提案しました」
「しかし、Mapbox側は全面作り直しを要求しています」
「このままではosm2vectortilesにとって何もメリットがありませんが、少なくとも今後の法的リスクを避けるためにMapboxとは無関係なタイルスキーマおよびスタイルを作る必要があります
「osm2vectortilesは、他のオープンライセンスのタイルスキーマの評価を開始し ~中略~ 法的な問題とは無縁の新しいベクトルタイルをv3.0として開発することを約束していて、年末までにリリースできればと考えています」

周囲の反応

法的な面が明らかになっていないので、MapboxによるOSS潰しと認識したり Mapboxのその他OSSの利用に対して萎縮する人も現れる

pp3.png

「もしosm2vectortilesに法律面のサポートがあれば簡単に勝てただろうし、コピーライト/ライセンス違反の明確な根拠もなしにフルスクラッチを要求されることもなかった」
「往年のMicrosoftやOracleと同じようなことをMapboxがしてくるのは悲しい、何よりも同じオープンソースコミュニティによってたつ側からこのようなことがあるのは本当に気が滅入る」

pp4.png

「法的なリスクの前に委縮してオープンライセンスさえ避ける判断をするのであれば、Mapbox GL(レンダリングライブラリ)からも離れたほうがよいのでは」

OSM2VectorTilesのフォロー

確かにMapboxは法的にどのような違反をしているかクリアにしていないが、
これまでMapboxに多くの借りがあるため、今後の事も考えて作り直しで手打ちに。
その他のMapboxのOSSの利用は問題ないと確認済み。

p3.png

「Mapboxは、osm2vectortilesが具体的にどの法律に違反しているかを一切明らかにしていませんが、それは重要ではないのです。」
「osm2vectortilesがどれだけ多くのOSS・Mapboxのオープンライセンスに支えられているか認識すべきで、コミュニティの将来を考えると紳士協定が双方にとってベストの選択肢です。」

結果

  • OSM2VectorTilesは地図データを配信停止
  • 組織もOSM2VectorTilesからOpenMapTilesに変更
    • 独自のタイルスキーマをオープンライセンスで提供
    • 上のスキーマで地図データをビルドするパイプラインをOSSとして提供
    • 上のスキーマに対応したスタイルのサンプルをOSSとして提供
    • ビルド済みの地図データを
      • 開発用であれば無償で提供
      • 商用利用は有償

上記パイプラインを使い、サーバを並べて全世界のタイルをズームレベル14までビルドすることに。
パイプラインの利用についてはこちらのサイトにお世話になりました。
https://smellman.hatenablog.com/entry/2017/12/10/210900

見栄えが極力変わらないように、スタイルも新しいスキーマに合うように作り直したのですが、
MapboxとOpenMapTilesのrankの値が大きく異なるため非常に苦労しました。
(tileserver-mapnik + CartoCSSのままで使いたかったので...)

rankはpoiの表示・非表示に関わるもので、
ズームレベルが低いときは病院や史跡など大きいものだけ出す、ズームレベルが高いときは飲食店やコンビニを出す、といった制御に使われます。

Mapboxのrankはかなりきめ細やかに振られていて、その苦労を考えると知的財産権の主張も理解できるような気がしますが。。。OpenStreetMapのようなデータの加工物に対して、どれだけ知的財産権が認められるものなのでしょうか。

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