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「何か質問はありますか?」

業務を教えるとき、説明の最後に無意識にこの言葉を添えていませんか?

私にとっては、説明を締めくくるための一番手近な言葉でした。
しかし、この問いかけに「大丈夫です」と答えたはずの相手が、大丈夫ではない事態に直面することがあります。

なぜこんなことが起きるのか。
改めて振り返ってみたとき、大きな失敗に気づきました。

1. 自分も聞かれたら困るのに…

よく考えてみると、自分も全く新しい分野を学ぶときに「何か質問ある?」と聞かれたら、こう思います。

・聞きたいけど…的外れだったらどうしよう?
・そもそも、何を分かってないか分からない
・とりあえず手を動かさないと、何をしてるのか掴めない

つまり、相手の「大丈夫です」は理解している訳ではなく言葉が出てこない状態だったのです。
それなのに、私は「質問ありますか?」という、相手に高い思考負荷を強いる言葉を投げてしまっていました。

2. 手前にある引き出しに頼るのをやめる

「質問ありますか?」という言葉は教える側にとって、最も手前にある引き出しから、何も考えずに取り出せてしまう、とても便利な言葉です。

しかし教育において本来必要なのは、相手が登れる階段を用意すること。
初心者の階段は、有識者が想像するよりもずっと段差の低いものである必要があります。
ですが、この問いかけは、そもそも階段ですらなく「自力で飛び越えてみて!」という高い壁を提示しているのと変わりませんでした。

相手から質問が来ないとき、それは次にどこに足をかければいいか(=何を確認すればいいか) が見えていないのかもしれません…。

3. 思考を動かす問いかけとは

そこで、これからは質問を待つのではなく、相手の頭の中を一緒に覗きにいくようなアプローチを試してみることにしました。

① 思考の実況中継(音読)をしてもらう
すべてを教えるのを堪えて、こう促します。

「今これを見て、何が必要だと思ったか、頭の中にあることを全部声に出してみてください」

声に出してなぞってもらうと、必ずどこかで言葉に詰まる場所が出て来ると思います。
そこがまさに、その人の「分からないポイント」です。そこだけをピンポイントで補足してあげるのが、一番効率的なフォローだと気づきました。

② 「分かった?」を封印し、逆質問をする
「分かった?」と聞くと、相手は反射的に「はい」と言ってしまいます。
そこをあえて、アウトプットを促す聞き方に変えてみます。

・「今説明した手順の中で、一番難しそう、不安だなと思ったのはどこですか?」
・「もしこの条件を入れ忘れたら、どんなものが出来ると思いますか?」

こう聞くことで、相手は自分の理解度を客観的にチェックできるようになります。

4.もし「質問ありますか?」と聞かれて、詰まってしまったら

ここまで教える側の視点で書きましたが、私自身も同じことを聞かれて言葉に詰まることがよくあります。
そんなとき、フリーズを回避するために提案の言葉を作っておいてはどうでしょうか?

・「15分だけ手を動かして『ここが不安』という場所を特定させてください」と正直に言う
・「今の説明を自分なりに解釈すると、Aという理解になりますが合っていますか?」と、自分の言葉で打ち返す(間違っていてもOK!)
・「質問をまとめるための時間を、10分もらえますか?」など、思考を整理する時間を確保する

「大丈夫です」と反射的に答えて数時間苦しむより、その場で「整理する時間が必要だ」と自己開示する。それが自分やチームを守るための一歩だと思います。

まとめ

以上、私自身もよくやりがちなので、自分への戒めを込めて振り返りました。

結論として「質問ありますか?」という言葉は、相手の理解の解像度を確かめるには、あまりに広すぎる問いかけです。

言いそうになったら、一度ぐっと飲み込んで、相手が今の解像度で答えられる小さな問いを投げかけてみてはいかがでしょうか?

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