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FRBのバランスシート推移の歴史から見る今後の動向予測

Last updated at Posted at 2021-05-31

少し前に「ブロックチェーンの本質を簡単に」という記事を書きました。テスト的に何本か記事を書いてみています

この記事を読むべき人

  • 暗号通貨暴落してしまい今後の動向が不安な人
  • 米国の過去の金融政策に興味がある人
  • シンプルにアーサーのファン

この記事を読んでわかること

  • 国債と金融政策の関係性が何となく分かる
  • 過去の歴史を学ぶことで今後の動向の予測がしやすくなる
  • やっぱ中央集権の規制が及ばないCryptoって最高

FRBのバランスシート推移の歴史から見る今後の動向予測 | 元BitMex CEO Arthur Hayes

こちらは元記事「FARBAST OFF 」 by Arthur Hayesの記事の和要約です。
国が発行する国債と金融政策の関係について非常に勉強になったので自分なりの咀嚼した内容を書いています。
全文確認の和訳を確認したい人は以下のリンクから参照してください

Arthur Hayesは仮想通貨取引所BitMexの元CEOです。度々発言が話題に上がる人物ですが、発言のセンスやに皮肉めいた表現が結構おもしろい方です

今回はそんなアーサーが国債の仕組みや米国の過去の金融政策の歴史振り返り、そこから将来の動向を予測するような記事を書いていました。金融についての知識が浅い自分には非常に勉強になったので咀嚼がてらアウトプットしています

要点を先に

結論はシンプルです。

【各国中央銀行のバランスシートが急拡大する限りCryptoは安泰】

記事中では、米国のバランスシートの拡大を取り上げ、過去に同程度拡大したWW2の時の歴史を紐解き、これからの予測を述べる構成になっていますが重要なポイントとしては以下です

  1. 米国政府は、FRBが財務省証券/債券を購入することで資金を調達し、FRBのバランスシートは現在よりもさらに高くなる
  2. 分散型金融(DeFi)は、中央集権的な金融サービス機関が行っていた多くの金融活動(利潤追求)活動の影響を受けにくい特性を持っている
  3. 過度なインフレの発生により国債を誰も買わなくなり、相対的にCryptoの価値が向上する。短期的な下落は些細な問題になるだろ

以下、記事の内容と自分なりの理解です

現在のバランスシートを確認する

中央銀行のバランスシートの大きさは、その中央銀行が管理する通貨がどの程度出回っているかの目安になります。中央銀行が金融緩和を行い、国債等の資産を買ったり、法定通貨を刷って貸出を増やすとバランスシートの資産の部が拡大し、その分の金銭が市中に出回るという仕組みなので、インフレの指標として見ていくことができます

アメリカのFRBのバランスシートはリーマンショック以降、FRBは量的緩和を行ってきており、景気回復に併せ、徐々にバランスシートを縮小を開始していました。そこにコロナシャックが重なり、大規模な追加緩和が行われたことで、リーマンショックを上回るペースで国債を中心とした資産の買い入れが行われ、バランスシートが大幅に拡大しています。


三井住友DSアセットマネジメント参照

まず事実として、
COVIDに対抗するために行われた莫大な米国の財政刺激策により、連邦政府の純支出は2020年のGDPの31%を占めました。
これにより、米国政府は単独で、2020年のGDPで測った世界第3位の経済大国となりました。米国の民間企業と中国に次ぐ規模になっています

FRBのバランスシートは今後も拡大の見込み

世界経済はGDPという去年よりもどれだけ成長したかを示す指標をKPIとして活動していますが、これは市場が無限に成長していくことを前提にしたKPI設定になっています。市場に関わる人達は薄々感づいているものの、世界が成長を前提にしたルールになっているのでそれに従っています

人間は互いの比較でしか成長や幸福を実感できないので仕方がないのかもしれないですが、掲げる指標の変更が必要だと個人的には感じています

国家が成長KPIを達成する方法はいくつかありますが、最も効果的なのは借金をして名目GDPを目標にすることです。FRBのバランスシートが拡大していくと確信できる理由を十分に理解するために、アメリカが第2次世界大戦後にどのように対処したかと、COVID-19の世界大戦後にどのように対処するかを比較してみたいと思います。政治的・経済的な難問は常に、破壊的な危機の後、国家がどのようにして成長し続けるかということです。

DeFiやNFTのメリットを語る以前に、過去の歴史に学び、世界で最も重要な金融機関であるFRBの軌跡を理解し、その後の動向を予測することでCrypto投資家は大暴落に耐えられる強い握力を持つことができる

WW2でFRBに起こったこと

■事実

アメリカ政府は第二次世界大戦の費用を捻出するために、資金を借りまくっています。FRBは十分な量の債券を購入し、長期金利は2.5%を超えないように固定します。その結果、FRBのバランスシートは1939年から1946年にかけて11倍に拡大しています。現在の状況に似てますね

当時のピーク時の米国債務残高対GDP比は110%に達しています。FRBは1951年の通貨協定で財務省からの独立性を取り戻すまで、国債の価格を固定し続けました。不幸なことに、当時の庶民は金を個人的に所有することを禁じられています。そのため、深刻なマイナス金利と高インフレに苦しんでおり、彼らには国債と株式以外に行き場がありませんでした

■なぜ過度なインフレが起こるに至ったか

戦争をする際には多額の資金が必要です。そしてその資金の入手方法を国は考えなければなりません。戦争のための予算を税金から出すと異議を唱える面倒な人が出てくるので、国は積極的な増税をやるよりもインフレという形で国民の目に見えない形で税金を捻出してきました

覚えておいてほしいのは、政府がお金を使い、国庫が国債を売ってそれを支払うということです。当然、お金を借りるときには、できるだけ利息を払いたくないです。資金を準備する必要がある財務省は、国債発行を支援する目的でのみ、FRBに銀行の過剰準備金を作るよう要請しています。

アーサーの記事に当時のやり取りを記録したレポートが参照されています。当時の人々は人為的に落ち込んだ価格でアメリカ政府にお金を貸したくなかったでしょうが、不幸なことに、1930年代の初め、ルーズベルト大統領は金の個人所有を非合法化しています。(そんなことあんの?!って感じですね)

銀行に預金したり、米国債を保有したりしてお金を貯めていた人は、アメリカが戦争できるようにするために、大幅なマイナス金利にさらされ、銀行に預けるか、国債を買うか、できることは限られていました。何千年も続いてきた伝統的なインフレ・ヘッジが使えないのは辛すぎますね

戦争が終わった後も、FRBは貨幣の価格を固定し続け、GDP成長率は急上昇、しかし、金利は上昇せず政府のバランスシートの改善していきますその後、1951年までに、米国政府はバランスシートの解消に成功し、債務残高対GDP比を110%から70%に下げています。これでFRBは、米国債市場で自由市場が再び機能するようになっています

一見ひどいインフレ施策に見えるこの金融政策が成立した背景にはアメリカの非常に強固な国内製造業の基盤があり、自給自足が可能で、実用品を国内で生産するために必要な工業製品を持っていたからです。通貨の価値が落ちていてもすべてを国内の自給自足で賄っていればインフレに気づきにくいです

これらの出来事を踏まえ現在に移行するにあたり、覚えておくべき重要な教訓は以下の通りです。

  1. 戦争に参加するにはお金がかかり、政府は賃金や資本への課税を通じて直接課税するよりも、インフレを通じて間接的に課税したい
  2. 中央銀行の独立性は担保されない。国内の気運が、政府の借入コストを安くするために中央銀行がお金を刷ることを要求する場合、中央銀行は常に命令に従う。
  3. 政府のバランスシートを解放するためには、政府は債務の拡大が生み出す名目GDPの伸びよりも安く借りられなければならない。【国債金利<GDP成長=バランスシート減少】
  4. 影響を受けるのは中央銀行のバランスシート。なぜならば、政府が人為的に低下させた金利で国民が購入を拒否した国債の額を吸収するために、中央銀行のバランスシートは必要なだけ上昇しなければならないからである
  5. この金融インフレは、金融資産や実物に現れてくる

今回のコロナで起こったこと

■事実

公式統計によると、過去2年間にCOVID-19を死因として約60万人のアメリカ人が亡くなっている。第二次世界大戦では約40万人のアメリカ人が亡くなっており、コロナはもはや戦争と呼んで良い規模なので過去最高レベルの財政出動が行われている

WW2の時と同様に、政府はウイルスの感染を食い止めるために経済を停止し、PPEやワクチンの供給を確保し、公衆衛生システムをアップグレードするための費用を国債発行で賄っています

FRBは明示的な国債の価格変動には関与しなかったものの、2020年に発行される国債の55%を購入し、その結果、FRBのバランスシートは2020年に76%増加しています。これにより、米国の債務残高の対GDP比は2020年末までに130%という史上最高水準に達しました

諸外国が購入している米国債の割合は、2002年から2019年までに発行された国債の42%だったのに対して、2020年に発行された国債の購入割合はたった8%でした。諸外国が7兆ドル相当の米国債市場の崩壊を恐れているわけではなく、殆どの債権はFRBの通貨発行による積極的な財政支出で賄われています。

バイデン政権の民主党が当選し、共和党と同じように、数兆ドル規模の支出法案を迅速に成立させ、さらにもっと多くのことをすると約束しているのでこの傾向が暫く続くでしょう

現在の米国は現在、税収を上回る支出(財政赤字)と、輸出を上回る輸入(資本収支のマイナス)という二重の赤字国となっています米国の両党の政治家は、政府が積極的に財政支出を拡大して過去の過ちを正し、COVIDの後に労働者が保護されるようにしなければならないと声高に主張しています。

ほとんどの国では、アメリカのように気前よく政府支出を拡大することはできません。お金を刷って財政支出を増やすと、通貨が暴落し、商品価格が上昇して社会不安に陥る可能性があります。庶民にパンが行き渡らなければ、お腹減って暴れちゃいますよね

WW2の事例を鑑み、今後どうなっていくか

市場流通量の増えた法定通貨を国民が貯蓄すると支出しないので、医療費という形で排出される。人の命はすべて尊いものですが、国内で選出された政治家にとっては、選挙区内で死んだ人数が最も重要(めっちゃアーサーっぽい皮肉)なので、医療費削減することはできません。政治家を支えているお金持ちはたいてい高齢で医療に関心があり、国の支出が急減する見込みは薄いです

米国政府は、高齢化と世界秩序の多極化に伴って次第に高価になる医療、老後、防衛財を提供するために、毎年ますます多くの借金をしなければならない。税率を上げることは、超絶不人気であり(消費税増税はみんな嫌ですよね)、必要な収入を得るには不十分である。米国政府はFRBに協力してもらい、低金利を維持する一方で、債務を経済に投入してトレンド以上の成長を実現する必要がある。

FRBは国債購入のペースを落とそうとするだろうが、おそらく悲惨な結果になると予測される。2013年、FRB総裁代理が将来的に債券購入を先細りにする可能性について語ったところ、市場は大騒ぎになった。歴史を踏襲するのであれば国債は予定通り購入されていきます

FRBのバランスシートがどれほど大きくなるか、確実に予測することはできませんが、過去の例を学べば法定通貨はすられ続けるでしょう。ですが、拡大し続けることはなく、米国はすでにそのプロセスを開始しています。2021年末に米国の10年債利回りが2%、GDP成長率が6.5%になっていると仮定した時、実質利回りはマイナス4%で縮小していきます

直近の課題は拡大するインフレに対してリスクヘッジ金融資産をどうやって所有できるかということです。

ありがたいことに、WW2の頃とは異なり2021年には暗号資本市場があり、政府機関や中央銀行の規制にかからない資産を我々は持っています。FRBが創出した数十兆ドルがすべて暗号に流れ込むわけではありませんが、その一部は流れ込みます。暗号には何の制約もないため、通貨インフレに直面しても保有者が購買力を維持できるレベルまで上昇することができます。

文末にて

私と研究助手は、この仮説に命を吹き込むための有益なチャートを作成するために熱心に取り組んできました。お酒やコンブチャを片手に、マクロ経済統計に夢中になってみてください。終わってみれば、自分の暗号ポートフォリオに自信が持てるようになるかもしれません

とのことです

そして、昨日のこの発言です。Cryptoの価格が既存金融衰退の煙検知器となる。センス抜群過ぎてこんなおしゃれコメントができるように勉強していきたいですね

世界的な基軸通貨の発行者が、囚われの印刷機で資金を調達して名目GDPの目標値を定めようとしたときに、必ず起こる金融インフレの唯一の煙探知機として暗号が機能する

最後に, メルマガ始めたよ

いかがだったでしょうか。参考になる情報を提供できていれば幸いです。
内容に間違いや補足があればコメントで教えてくださいませ

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