これは何か
日本天文学会の年会の予稿をクラウド (Overleaf) を使って準備してみました。その手順をまとめます。
背景
日本天文学会年会
日本天文学会は日本の天文学研究者を中心とする学会で、春と秋の年 2 回、年会が開かれます。年会は、3-4 日の開催期間中に 900 名弱の研究者が集まり 650 件ほどの講演が行われる (2016年度事業報告書)、日本で最大の天文学者のイベントです。
年会へ講演を申し込むためには、講演の概要を記した予稿を提出します。予稿は天文学会の指定するフォーマットを用いて tex で準備します。
Overleaf
Overleaf はクラウドの tex 環境です。tex 環境を自前の計算機に用意する手間を省けて、どの計算機からもアクセスでき、複数人でシェアもできるのがメリットです。複数のタブで同じファイルを開けば、複数箇所を同時に編集もできます (例えば、本文とreferences の章を同時に編集)。また、編集がリアルタイムで反映されてすぐに確認できるのも便利です。
方法
0. 準備
- アカウントが無い人は作りましょう --> Sign Up for a Free Overleaf Account
- Sign In します
1. プロジェクトを作る
- "NEW PROJECT" をクリックし、新しいプロジェクトを作ります
- フォーマットは、"Basics" の "Blank Paper" を選択します
- main.tex だけあるはずです。中身は、最小限の tex コードです。
2. 日本語を使えるようにする
tex コンパイルに関する設定は、"latexmkrc" というファイルを設置して記述します。
- files の右の ▼ マークをクリックし、"Add..." > "Blank File" を選択
- ファイル名の入力モードになるので、 latexmkrc と入力
- latexmkrc ファイルの中に以下を記述
$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex = 'mendex %O -o %D %S';
$pdf_mode = 3;
- ページ右上の歯車マークをクリックし、"Settings" 画面を表示させる
- "Project Settings" > "Advanced Build Options" > "LateX Engine" に "LaTeX dvipdf" を選択し、 "SAVE PROJECT SETTINGS" をクリック
3. 天文学会の予稿フォーマットを設置する
- 年会の申込ページより、最新のパッケージをダウンロードし、解凍する
- クラスファイル (例: 2018a.cls) を Overleaf にアップロード
- files の右の ▼ マークをクリックし、"Upload from..." > "Computer" を選択し、クラスファイルをドラッグ
- 本文ファイル (例: template-ja.tex) の内容を、main.tex に上書きする
4. 予稿を書く
- これで準備完了です
- 予稿を書きましょう!!