はじめに
皆さん初めまして、nakajimaと申します。
Qiita初投稿になります。
この投稿では、Microsoft Azureの「Azure Storage Mover」というツールを使って、お客様環境にあるオンプレミスのファイルサーバをAzure Filesへ移行した実案件の記録をシェアします。
弊社ではNW機器の高騰やオンプレ基盤のEoL対応、運用負荷増などの課題があり、まずは汎用的なファイルサーバからクラウド移行を始めようという方針になりました。そんな中、Storage Moverという新しい移行ツールを本番環境で活用する機会がありました。
「Storage Moverって実際どうなの?」「本番環境で使える?」といった疑問を持つ方も多いと思うので、少しでも参考になる記事になればと思います。
この記事は、オンプレ→クラウド移行に関わるインフラエンジニアの方々、Storage Moverに興味がある方に向けて書いています。まだリリース間もないツールということもあり、情報交換しながら記事を育てていけたら嬉しいです!
それでは第1回として、Storage Moverの概要から紹介していきます。
AzurestorageMoverとは?
AzurestorageMoverとは、Microsoftが提供するフルマネージド型の移行ツールで、「手作業を極力排除しつつ、安全かつ高速にファイルを移行したい」というニーズに最適なソリューションとなります。
このツール自体は、2023年4月に一般リリースされたもので比較的新しいものとなっております。
それ以前は、オンプレミス環境からクラウドストレージ(Azure Files)への移行において、多くの現場で「Robocopy」や「AzCopy」といったスクリプト系ツールを使っていました。
しかし、これらはGUI非対応だったりリアルタイム同期ができなかったりと、運用に課題を抱えていました
その課題を解決するのが、今回紹介するAzurestorageMoverになります
AzurestorageMoverの機能概要
機能としては以下が特徴として挙げられます
※紹介内容などは、あくまでnakajimaが調べたものになりますので、ここは間違っているなどあれば、ぜひ教えてください。
| 機能カテゴリ | 概要 | 利用シーン/メリット |
|---|---|---|
| フルマネージド構成 | Azureポータル上でGUI管理可能。ジョブ作成~実行までを自動化 | 手作業を省いて、管理負荷軽減。非エンジニアにも扱いやすい |
| エージェント配置 | 移行元の近傍にエージェントを設置。Azureへ直接効率的に転送 | 大容量データでも転送高速。ネットワーク負荷を最適化 |
| SMB/NFS対応 | Windows/Linuxどちらのファイルサーバにも対応 | 異種環境からでも統一移行が可能。ファイル互換性の確保 |
| 差分移行 | 初回移行はフルスキャン、以降は差分のみ抽出し移行 | 再移行や追加データにも効率的。移行時間を大幅短縮 |
| 帯域制御&スケジュール設定 | 夜間や休日に帯域制限をかけてスケジュール移行可能 | 業務時間帯の影響回避。ユーザー稼働との両立が可能 |
| リアルタイムモニタリング | 移行ジョブの状況やログをポータル上で確認可能 | エラーの早期発見・対処が容易。移行品質の可視化 |
| データ暗号化 | 保存時・転送時ともに暗号化対応。セキュリティ要件を満たす | 情報漏洩対策。外部委託環境でも安心して利用可能 |
次にほかの選択肢について紹介しておきます
比較対象
| ツール名 | 利点 | 注意点/欠点 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|
| Azure Storage Mover | GUI管理・差分移行・帯域制御・暗号化・マネージド構成 | ジョブ並列実行不可。自動化にはAutomationなどの連携が必要 | 10TB以上の移行、業務時間外の実行、手間削減 |
| Azure File Sync | リアルタイム同期、キャッシュ、階層型ストレージ | 同期中の帯域制御不可。大規模データ群には非推奨 | 権限管理目的、リアルタイム同期したい場合 |
| RoboCopy | 高速転送、豊富なオプション(コマンド) | GUIなし。リアルタイム同期なし | 小~中規模のスポット移行、詳細制御が必要 |
| AzCopy | Azure環境に最適化、スクリプトで自動化可能 | オンプレ→Azureの移行には非推奨 | Azure内でのストレージ間転送、バッチ実行 |
| Azure Data Box | 最大80TB、暗号化対応の物理移行 | デバイス調達が必要。差分移行不可 | オンプレ→Azureへの大量データ一括移行 |
こちらの比較についても、nakajimaがネットの海から拾ってきたものになりますが、オンプレミス→Azureへの移行において、移行したいデータや環境によって推奨ツールは変わってきますが、概ねStorageMoverで賄えるんじゃないかなという感じです
導入のまとめ
今回は第1回ということで、AzurestorageMoverの概要をご紹介させていただきました
Storage Moverを実際に使ってみて感じたのは、従来のツールと比べて圧倒的に管理が楽ということです。ジョブの作成や実行もGUIベースで直感的に操作でき、帯域制御や差分移行など、現場で嬉しい機能が揃っていました。
まだまだ新しいサービスではありますが、「業務に支障なく、安全かつ効率的にデータを移行したい」というニーズには非常にマッチしていて、個人的には 今後のクラウド移行案件における“スタンダードな選択肢”になっていくのではと感じています。
記事中の内容について、気になる点や「こうするともっと便利だよ!」といったTipsがあれば、ぜひコメントで教えてください!皆さんと一緒に知見を深めていけたら嬉しいです
次回について
この記事は週1くらいのペースで書いていけたらと思っております
一応検証と本番環境での移行は終わっていますので、最後まで書ききりたいです…(願望ですが)
次回は、検証の構成やポータル画面を1つずつ説明しながら解説していけたらと思います
その後は、本番環境に実装した際の問題や注意点なども共有するつもりですので、よろしくお願いいたします。
参考記事
・https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/storage-mover/release-notes
・https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/storage-mover/service-overview