📚 関連書籍
※この記事は書籍の一部をベースに再構成しています。もう少し踏み込んだ内容(設計や具体例)は書籍の中でまとめているので、気になる方はそちらもどうぞ。
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― Databricks Serverless時代の実行基盤を理解する ―
Databricksを使い始めると、多くの人が最初に迷うポイントがあります。
それは、**「ComputeとSQL Warehouseって何が違うの?」**という疑問です。
特に初学者は、
- 「どっちもクエリを実行するものでは?」
- 「Notebookはどっちを使うの?」
- 「Serverlessって結局何が変わったの?」
と混乱しやすい部分です。
以前のDatabricksでは、基本的に Cluster(現在のCompute)中心 の世界でした。
しかし現在は、SQL Warehouse や Serverless Compute が主流になりつつあり、考え方そのものが変わっています。
この節では、現在のDatabricks実行基盤を整理しながら、「何をどこで動かすのか」を理解していきます。
まず“Compute”とは何か
Databricksにおける Compute とは、簡単に言えば、"処理を実行するための計算基盤" です。
Notebookを動かす、ジョブを実行する、SQLを処理するなど、Databricks上の処理は必ず何らかのCompute上で動いています。
以前は、このComputeを Cluster と呼ぶことが一般的でした。
現在はUI上でも Compute という表現へ寄っていますが、実態としてはSpark実行環境です。
ここで重要なのは、"データを保存する場所"と"処理を実行する場所"は別 という点です。
例えば、
- Delta Table → 保存場所
- Compute → 実行場所
という役割分担になります。
これはクラウド時代の基本的な考え方です。
つまりDatabricksでは、ストレージよりも "Computeを使った時間" に対してコストが発生します。
Computeには大きく2種類ある
現在のDatabricksでは、実行基盤は大きく分けて次の2種類があります。
- 汎用Compute(Notebook/Job向け)
- SQL Warehouse(BI/SQL分析向け)
この違いを理解すると、Databricks全体が一気に分かりやすくなります。
汎用Computeとは何か
まず、一般的なComputeです。
これは主に、
- Notebook実行
- PySpark処理
- データ変換
- ETL/ELT
- 機械学習
- Streaming処理
などで使われます。
つまり、"データエンジニアや開発者向けの実行基盤" です。
例えば、
- Pythonを書く
- PySparkを書く
- Lakeflowを動かす
- データパイプラインを作る
といったケースで利用されます。
以前のDatabricksでは、ほぼすべての処理をこのCompute上で実行していました。
そのため、
- どのVMサイズにするか
- Worker数をどうするか
- Auto Scalingをどうするか
が大きなテーマでした。
しかし現在は、事情が大きく変わっています。
SQL Warehouseとは何か
一方で SQL Warehouse は、"SQL分析専用の実行基盤" です。
主に、
- BI接続
- Dashboard
- SQL Editor
- Genieによる自然言語分析
などで利用されます。
例えば、
- Power BI
- Tableau
- Looker
などのBIツールが接続する先は、多くの場合 SQL Warehouse です。
以前はNotebook用ClusterへBI接続することもありました。
しかし現在は、SQL Warehouseを利用するのが基本です。
理由はシンプルです。
SQL分析向けに最適化されているからです。
特に現在は、
- Photonエンジン
- Serverless実行
- 高同時実行性
- 高速起動
が大きく進化しています。
その結果、専用DWH製品に近い体験ができるようになっています。
ComputeとSQL Warehouseの違い
ここまでを整理すると、役割はかなり異なります。
ざっくり言えば、
Compute=開発・ETL向け
SQL Warehouse=分析向け
です。
例えば、
-
PySparkでデータ変換
→ Compute -
Lakeflowでパイプライン実行
→ Compute -
Power BI接続
→ SQL Warehouse -
Genieで自然言語分析
→ SQL Warehouse
という使い分けになります。
もちろん例外はありますが、初学者はまずこの考え方で理解すれば問題ありません。
Serverlessが変えたもの
現在のDatabricksを語るうえで外せないのが Serverless です。
以前のDatabricksでは、Compute起動に時間がかかることがよくありました。
例えば、クエリ実行まで数分待つことも珍しくありませんでした。
さらに、使っていなくてもClusterが起動し続け、無駄なコストが発生するケースもありました。
しかし現在は、Serverless Compute によって考え方が大きく変わっています。
Serverlessでは、
- 自動起動
- 自動スケール
- 自動停止
が前提です。
利用者はインフラを強く意識しなくても、必要な時だけComputeを使えるようになっています。
特に Serverless SQL Warehouse は現在の中心的な実行基盤です。
起動時間は非常に短く、使わなければ停止するため、以前よりコスト効率も高くなっています。
つまり現在は、"クラスタ管理の時代"から"利用最適化の時代"へ変わった と言えます。
Photonの存在も重要
現在のSQL Warehouseを語るうえで欠かせないのが Photon です。
Photonは、Databricks独自の高速クエリエンジンです。
簡単に言えば、"SQLを高速化する仕組み" です。
従来のSpark実行よりも高速になるケースが多く、
- 集計
- JOIN
- フィルタ処理
などで特に効果があります。
利用者は特別なコード変更をしなくても恩恵を受けやすく、現在では多くのServerless SQL Warehouseで標準的に使われています。
つまり現在のDatabricksでは、Serverless+Photon が実行性能の中核になっているのです。
実務でどう使い分けるのか
ここで実務イメージを整理しましょう。
例えば、
-
CSVを取り込み、データ加工する
→ Compute -
Lakeflowでデータパイプラインを動かす
→ Compute -
BIダッシュボードを見る
→ SQL Warehouse -
Genieで自然言語分析を行う
→ SQL Warehouse
という使い分けになります。
つまり、"開発系はCompute、分析系はSQL Warehouse" と考えると理解しやすいです。
ただし現在はServerless化が進んでいるため、以前ほどCompute設計に悩む必要はなくなっています。
重要なのは、
「何を動かしたいのか」
から逆算することです。
現在のDatabricks実行基盤を理解する
ここまでを整理すると、現在のDatabricksでは実行基盤の考え方が大きく変わっています。
以前はCluster中心でした。
しかし現在は、
- Compute(開発/ETL)
- SQL Warehouse(分析)
- Serverless(自動化)
を組み合わせる世界になっています。
重要なのは、インフラそのものを意識することではなく、"どのワークロードをどこで実行するか" を理解することです。
この考え方が分かると、後続のLakeflow設計、FinOps、SQL最適化、Serverless戦略が一気に理解しやすくなります。
次節では、現在のDatabricksパイプライン設計の中心となる Lakeflowの全体像 を見ていきます。
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