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クラウド時代の「要件定義」って、どうやって考えればいい?
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DWHからCDP、そしてMA/AI連携まで──現場で使える知識をこの一冊で。
要件定義の全体像(アクター・業務・データ・I/F・非機能)
要件定義において最も難しいのは「どの粒度で整理すればよいのか」「どこまでが要件でどこからが設計か」という境界が曖昧なことです。特にクラウド・データ基盤・AI まで含む現代では、要件定義は単に“仕様を文章にする作業”ではなく、システム全体を成立させるための共通言語を作る工程へと進化しています。
その全体像を整理するために、本記事では要件定義を構成する5つの軸
アクター・業務・データ・I/F・非機能
を体系的に解説します。
1. アクター/業務 ― “誰が・何をするか”という出発点
すべての要件定義は「アクター(関係者)」と「業務行動」から始まります。
アクターを整理する理由
- 求める価値が異なる
- 粒度(必要な詳細度)が違う
- データの種類が異なる
- セキュリティのレベルが異なる
営業は顧客の最新状態を知りたい。
マーケはトリガー配信をしたい。
分析チームはログデータとトランザクションを横断したい。
経営層はKPIの一枚絵を求める。
このように“目的がバラバラ”なため、アクター定義は最上位の整理軸になります。
業務フローも同時に定義
- どの業務でデータが発生するか
- どの業務が依存しているか
- どこにデータが戻る必要があるか
業務フローが明文化されることで、I/F・データ粒度・非機能要件がつながっていきます。
アクター/業務が正確に定義されると、要件定義全体の“ブレ”が消えます。
2. データ/I/F ― 複雑な連携を成立させる“配管の設計図”
現代のシステムやデータ基盤は、単体では価値を生まないため、データの“つながり”を前提に設計します。
データ要件
- データモデル(論理/物理)
- 粒度(イベント?トランザクション?スナップショット?)
- 更新周期と鮮度
- SCD/CDC の可否
- マスター統合
- 品質基準(Null 許容/バリデーション)
データの定義が曖昧だと、すべての施策・AI・レポートが誤差を含むことになります。
I/F 要件
- API/Webhook/バッチ
- リアルタイム連携の可否
- 認証方式(OAuth/Token/MI)
- ペイロード形式(JSON/CSV/Parquet)
- エラーリトライ/ステータス管理
I/F の設計は“システムが正しくつながるかどうか”を左右し、クラウド時代の要件定義で最も重要な技術項目です。
データ/I/F を合わせて整理することで、システム全体が破綻しない骨格が作られます。
3. 非機能 ― クラウド時代の“最終防衛ライン”
非機能が曖昧だと、どれだけ優れた設計であっても運用現場で崩壊します。
非機能要件の代表例
- セキュリティ(ネットワーク境界、認証、RBAC)
- 可用性(SLA、冗長化、DR)
- スケーラビリティ
- 性能要件(スループット・レイテンシ)
- ログ管理/監査証跡
- コストモデル(従量/固定)
- 運用体制(アラート、監視)
特にデータ基盤では、
- データ鮮度保証
- スキーマ管理
- 品質保証
- SCD/CDC の扱い
- ガバナンス/カタログ
が“非機能寄りの必須要件”として追加されます。
非機能は後から追加できないため、要件定義の段階で最も力を入れるべき領域です。
まとめ
- アクター/業務:誰が何の価値を求めるかを定義する
- データ/I/F:システムを横断する“つながり”を設計する
- 非機能:クラウド時代の最重要領域であり、成功率を左右する
この5つの軸を押さえることで、要件定義は単なる文書作りから“プロジェクトを成功に導く設計フェーズ”へと進化します。
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