IoT開発フレームワーク「Nerves」の開発環境をWSL2上に作る #Nerves

IoT開発フレームワーク「Nerves」の開発環境を、WSL2上に作る方法です。

前提環境とゴール

Windows 11 Pro / 21H2
WSL2 (Ubuntu 20.04)

ゴール

WSL2 上の Linux で Nerves による開発ができるようになります。
※ Nerves アプリの作成方法(いわゆる Getting Started)以降の解説はしません。

環境構築のポイント

公式の Installation にも書かれている通り、fwup(組み込みLinux向けファームウェアバイナリ作成ツール)を WSL2(Linux 側) だけでなく、Windows(ホスト側)にもインストールします。

fwup.exe を Windows(ホスト側) にインストール

公式の Installation では Chocolatey を使ってインストールするように書かれていますが、実は Release からダウンロードできる fwup.exe を、パスが通っているディレクトリに配置するだけで OK です。

私は %USERPROFILE%\AppData\Local\fwup\ というディレクトリを作り、そこに fwup.exe をコピーしました。

その後、環境変数 Path へ同パスを追加しています。

fwup.exe のアップデート

Chocolatey でアップデートするか、 Release ページからダウンロードしてきてファイルを上書きします。

残りの作業は WSL2 上で行う

残りの作業は WSL2 上の Linux で行います。以下は公式からコマンドラインの抜粋です。
※一部、バージョン番号を変えたり、ダイアログが出ないようにするオプションを追加しています。

git clone https://github.com/asdf-vm/asdf.git ~/.asdf --branch v0.9.0
echo -e '\n. $HOME/.asdf/asdf.sh' >> ~/.bashrc
echo -e '\n. $HOME/.asdf/completions/asdf.bash' >> ~/.bashrc # optional
source ~/.bashrc
asdf plugin-add erlang
asdf plugin-add elixir
asdf install erlang 24.1.5
asdf install elixir 1.12.3-otp-24
asdf global erlang 24.1.5
asdf global elixir 1.12.3-otp-24
mix local.hex --force
mix local.rebar --force
mix archive.install hex nerves_bootstrap --force

最終的には mix のサブコマンドに nerves.** がいれば OK です。

❯ mix help | grep nerves
mix local.nerves        # Checks for updates to nerves_bootstrap
mix nerves.clean        # Cleans dependencies and build artifacts
mix nerves.new          # Creates a new Nerves application
mix nerves.system.shell # Enter a shell to configure a custom system

以上で完了です。
この後は Getting Started にお進みください。

Appendix: asdf とは？

asdfとは、言語ランタイムのバージョン管理ツールです。言語に特化ものに rbenv 等がありますが、それらの汎用版になります。このツール自体は Nerves や Elixir とは関係ありませんが、インストールが楽になるので使っているようです。

asdf plugin-add LANG_NAME で管理できる言語ランタイムを追加して asdf install LANG_NAME で実際にインストールするといったスタイルです。

対応言語はかなりあります。これを機にasdfに一本化してもいいかもしれませんね。

$ asdf plugin list all | grep -P '(ruby|nodejs|rust|golang)'
golang                        https://github.com/kennyp/asdf-golang.git
golangci-lint                 https://github.com/hypnoglow/asdf-golangci-lint.git
nodejs                        https://github.com/asdf-vm/asdf-nodejs.git
ruby                          https://github.com/asdf-vm/asdf-ruby.git
rust                          https://github.com/code-lever/asdf-rust.git

asdf 自体のアップデートは asdf update でできます。

Tips: `asdf.sh` が存在するときだけ asdf を有効化するスクリプト

.bashrc を複数ホストで共有してる場合、条件分岐したくなることがあると思うので、そのスクリプトです。
echo -e ... > ~/.bashrc で流し込んでいる部分の代わりにお使いください。(echo ... はお好みです)

# asdf
if [ -f "$HOME/.asdf/asdf.sh" ]; then
        echo -n "asdf ... " > /dev/stderr
        . $HOME/.asdf/asdf.sh
        . $HOME/.asdf/completions/asdf.bash
        echo "done" > /dev/stderr
fi

あとがき

良いお年を。

EoT

IoT開発フレームワーク「Nerves」の開発環境をWSL2上に作る