はじめに
本記事はCisco製品をベースとして書いています。
ACL(AccessList)は、L3スイッチやルータ等で通信制御を行う機能になりますが、
他の機能と組み合わせてこんな使い方もするんだと、参考になればとよいかと思います。
ACL活用例
・アクセス制御
機器に入ってくる通信(IN)と出ていく通信(OUT)の送信元や宛先を識別し制御するために用いられます。
シンプルにこの機能のみ使うこともありますし、後述の、他の機能と組み合わせても使うこともできます。
・ルート広報制御
動的ルーティング(BGP、EIGRP、OSPF等々)を構成しているネットワークで、
隣接機器やネットワークに、広報するルートや再配送するルートの制御を行うために用いられます。
ACLは、どのルートを制御対象にするか決めるために使われます。

・QoS(Quality of Service)制御
機器を通過する特定の通信に対して、帯域制御や優先度付け、処理方法など細かな制御を行うために用います。
ACLは、どの通信をQoSの制御対象にするか決めるために使われます。

アクセス制御
・ACLの種類
ACLは標準ACLと拡張ACLの2種類があり、用途別に使い分けることができます。
名前付けやシーケンス番号の付け方を決めておくと、ACLの識別や設定手順など運用面で役に立ちます。
| 種類 | 設定値 |
|---|---|
| 標準ACL | 送信元IPを指定できる |
| 拡張ACL | 送信元&宛先IP、ポートを指定できる |
| 名前付きACL | 標準&拡張ACLに任意の名前を付けることができる |
・ACLの適用箇所&制御条件
機器によって設定可否もありますが、適用箇所によって制御できる通信が異なります。
複数設定する場合、どこで何の通信を制御しているのか理解しておく必要があります。
| 適用箇所 | 制御条件 |
|---|---|
| PACL | Port ACL。物理IFに入ってくる通信(IN)を制御できる |
| VACL | VLAN ACL。VLANに入ってくる通信(IN)を制御できる |
| RACL | Router ACL。SVIやL3インターフェイスに入ってくる&出ていく通信(IN/OUT)を制御できる |
| VTY | 機器自体へのアクセスや機器からのリモート接続先を制御する(標準ACLのみ設定可) |
参考:https://www.infraexpert.com/study/aclz17.html
参考:https://www.infraexpert.com/study/aclz8.html
・設定例
下記は、冒頭イメージ図のアクセス制御を拡張ACL(名前付き)&RACLの設定例になります。
L3SW(config)# ip access-list extended TEST
L3SW(config-ext-nacl)# deny ip host 10.10.10.1 host 30.30.30.1
L3SW(config-ext-nacl)# permit ip host 10.10.10.2 host 30.30.30.1
L3SW(config)# interface vlan 10
L3SW(config-if)# ip address 10.10.10.254 255.255.255.0
L3SW(config-if)# ip access-group TEST in
ルート広報制御
ルーティングプロトコルによって設定や制御方法が異なるため、参考に1例を紹介します。
下記は、冒頭イメージ図のEIGRPのルート広報制御する時の設定例になります。
・設定例
L3SW(config) # access-list 10 permit 10.10.10.0 0.0.0.255
L3SW(config)# router eigrp 100
L3SW(config-router)# redistribute connected 1000 100 255 1 1500
L3SW(config-router)# distribute-list 10 out GigabitEthernet0/1
QoS制御
QoS制御方法は、用途によって設定が異なるため、これも参考に1例を紹介します。
下記は、特定の通信&物理IFに対して帯域制御をかける時の設定例になります。
・設定例
L3SW(config)# ip access-list extended ACL_10M
L3SW(config-ext-nacl)# permit ip any host 30.30.30.1
L3SW(config)# class-map match-all CM_10M
L3SW(config-cmap)# match access-group ACL_10M
L3SW(config)# policy-map PM_10M
L3SW(config-pmap)# class CM_10M
L3SW(config-pmap-c)# police 10000000 1000000 conform-action transmit exceed-action drop
L3SW(config)# interface GigabitEthernet0/1
L3SW(config-if)# service-policy input PM_10M
今回はここまで。では、また次の機会に。m(_ _"m)
