2020年3月,Qiita の「いいね」ボタンが,突然「LGTM」(Looks Good To Me)に変わった.
思ったことをメモしておく.
機能の名称変更における注意点
- Twitter でも Favorite ボタンが Star になったり Like になったりといった過去があるので,ボタンの意味が若干変わる程度であれば,さして問題はない.事前にテストも行っていたので,ある程度エビデンスと周囲の反応を集めた上での実装になっている.
- ただ,「LGTM」と「いいね」は(少なくとも日本語圏では)それなりに違う意味で用いられているケースが多いと思う. 文脈にもよるが,LGTM は「自分的にはOK」の意味で使うほうが一般的ではないだろうか.
- 「To Me」の部分が引っかかるのか,今回の変更にはかなり批判がある.わざわざQiita内のあらゆるLGTMをいいねに戻す拡張機能を作成する人が複数あらわれるほど.
- 機能の追加でも削除でもなく,ガワを別物にすり替えてしまったので,Twitterでたまに聞く「動物画像投稿アカウントをフォローしたはずが,広告宣伝アカウントにすり替わっていた」という事案のような気持ち悪さを(意味論的もしくは道徳観念的に)感じてしまう人もいる
- しかも,これまで蓄積してきたデータについて,歴史的後方互換性が保たれていないとも言える(項目名の違うレコードを合算することになる)
誰かがコメントしていたように
あまり細かく分類すると破綻するので,「★」や「+1」みたいな,抽象度の高い記号が妥当かもしれない.
サービスが持つ文化について 継続的に啓発する必要性
まず、Qiita には最初にストックがありました。これは「後で読む」ということを意図した機能です。なので、ストックは記事トップにありました。
今回の騒動をきっかけに,当時の開発者が設計の意図を書いた.
私はここで,ストック機能の本来の意味を知った.私は今まで,
・いいね:シェアしたい記事に押す
・ストック:いつか読む記事,何度も読む記事
という使い分けをしてきた.Qiitaを使い始めた頃は,
・いいね=読んだときに相手に送る評価=個人的なやりとり
・ストック=保存すべきもの=共有すべきもの
と考えていたが,「いいね」がマイページで公開されるのに対し,「ストック」は非公開であることに気付き,
・いいね:シェア
・ストック:ブクマ(永続 or 一時的)
という使い分けに落ち着いた.しかしそれでも,「ストック」が公開されないことへの違和感は残った.
また「いいね」が,その機能(公開性)を無視して乱用されているのも気になっていた.今回の件で,「ストック」が「後で(すぐに)読む」を意図していたことが分かり,納得した.
また,「いいね→LGTM」の変更が,評価機能が適切に運用されることを意図していることにも納得した.
Webサービスがユーザーの活発化によってその在り方を変化させるものである以上,当初想定していなかったものについても,ある程度,意義が認められるものは,その存在を許容するほうが,ハッカー的で楽しい(Qiitaは,ポエム/哲学書を許容し得るのではないか)
しかし,サービスが本来持っていた意義を見失うことは避けたい.であれば,そのための使い方を定期的に伝え続けていかなければならない.
まとめ
機能の一貫性に注意しつつ,文化の変容性(不易流行)を考慮して運用・カイゼンしよう