概要
ChatGPTやGeminiで画像を生成する作業は、どうしても「全取っ替え」になりがちです。
1つのプロンプトに全体の雰囲気、個別のグラフィック要素、文字情報、ライティングなどをすべて詰め込むと、ある一箇所だけを修正したくても全体が描き換わってしまいます。
かといって個別の要素を別々に作って合体させようとすると、1つのチャットの中で行えば最初の方に生成した画像やそれに至る指示を忘れてしまいかねませんし、別のチャットで生成すれば合体させるチャットにはそこまでの意図が引き継がれません。
Figma Weave(以下、Weave)はこういった課題を解消できる可能性を持ったツールです。
この記事では、Weaveの仕組みや特徴を整理し、従来のAI画像生成ツールとの違いについて考えてみました。
対象読者
- ChatGPTやGeminiで画像生成をしているが、細かい修正のしづらさに不満を感じている人
- AI画像生成の結果をデザイン制作に活かしたい人
- Figmaを普段使っていて、Weaveに興味がある人
最初にまとめ
- Weaveはノードベースのワークフローで、画像・動画・3Dアセットの生成や編集ができるツール
- 個別の要素を別々のノードで作成し、最後に合体させるような制作ができる
- 従来のAI画像生成ツールのように「1つのプロンプトですべてを指示する」必要がない
- 現時点ではFigmaとは独立したプロダクトだが、今後の統合が予定されている
Weaveとは
Weaveはノードベースのキャンバス上で、AIモデルと編集ツールを組み合わせて、画像・動画・3DCGなどを生成・編集できるツールです。
Figma Weaveという名前ですが、もともとは独立したサービスで、2025年にFigmaが買収しました。
現時点ではアカウントも料金体系もFigmaとは別です。
従来のAI画像生成が「プロンプトを入力して完成品を受け取る」という体験だったのに対して、Weaveは「AIの出力を素材として扱い、そこから編集・ブラッシュアップしていく」という使い勝手です。
Figmaの公式ブログでは「AI outputs as a new medium to mold(AIの出力を形作っていくための新しい媒体)」と表現されており、生成結果をそのまま完成品にするのではないという意図が感じられます。
ノードベースの仕組み
Weaveの中核はノードベースのワークフローです。
各ノードが1つの処理を担当し、ノード同士を線でつなぐことで、一連の制作パイプラインを構築します。
以下は公式のサンプルファイルを開いたときの画面です。
ノードの例を挙げると以下のようなものがあります。
- 入力ノード: プロンプトや参照画像を受け取る
- 処理ノード: スタイル変換、テクスチャ適用、背景置換などの変換を実行する
- 出力ノード: 最終的なアセットを生成する
例えば「商品画像の背景を差し替えたい」という場合、元画像ノード、背景削除ノード、背景画像生成ノード、合成ノードをそれぞれ配置し、つなぎます。
背景だけを変えたければ背景画像生成ノードのプロンプトだけを変更すれば良く、商品の切り抜き結果はそのまま維持されます。
従来のAI画像生成ツールとの違い
ここでは、コーヒーの新商品バナーを作るという例で比較してみます。
ChatGPTやGeminiで作る場合
ChatGPTやGeminiでバナーを作ろうとすると、おおまかに以下の2パターンになると思います。
1つのプロンプトにすべてを詰め込む方法
「コーヒーの入ったグラス、夏らしい爽やかな青い背景、左上にロゴ、右下にキャッチコピー」のように指示します。
出来上がったものを見て「背景だけ秋っぽくしたい」と思ったとき、追加で指示を出すと、背景だけでなくカップの形やロゴ、キャッチコピーまで変わってしまうことがあります。
要素を別々のチャットで作成してから合体させる方法
コーヒーカップは1つ目のチャットで、背景は2つ目のチャットで……とそれぞれ生成し、生成された画像すべてをまた新規チャットに渡して「これらを合成して」と指示します。
1度で完成すれば良いですが、素材を変更したい場合は前のチャットに戻り、再度画像を持ってきて……と行ったり来たりが必要になります。
また、素材を一覧して確かめるのも大変です。
Weaveで作る場合
Weaveでは、例えば以下のようにノードを構成します。
- 商品画像ノード: コーヒーカップの画像を生成する
- テキストノード: キャッチコピーやCTAを作成する
- 背景ノード: 夏向けの爽やかな背景を生成する
- 合成ノード: 商品と背景を合体させる
※構成を分かりやすく作ろうと意識したら、やたらダサいバナーになってしまいましたがご了承ください。
「秋バージョンも作りたい」となったら、背景ノードのプロンプトだけを「秋の紅葉をイメージした背景」を追加します。
商品画像ノードはそのままなので、コーヒーカップの形やアングル、テキスト要素はほぼ変わりません。
どうしてもAIで合成している以上、ある程度ガチャ的な部分はありますが、毎回全てを描画し直すつくりよりはよっぽど同一性が保持されています。
さらに「冬バージョンも」「春バージョンも」と背景ノードを増やしていけば、同じ商品画像を使い回しながら季節ごとのバリエーションを一括で生成できます。
これはChatGPTやGeminiでは実現しづらい作業です。
現時点での所感
Weaveの仕組みを調べてみて、冒頭で書いた「全取っ替え」の課題に対する解決策になり得ると感じました。
ノードベースのワークフローによる、部分的な修正・プロジェクト単位でのコンテキスト保持・中間生成物の一覧生などは、従来のチャットベースのAI画像生成では実現しづらかったです。
一方で、ノードベースのUIに慣れるまでの学習コストはあると思います。
BlenderのGeometry NodesやTouchDesignerに触れたことがある人なら馴染みやすいかもしれませんが、そうでない人にとってはチャットに文章を打つ方がハードルは低いはずです。
また、AIの出力を完成品ではなく素材として扱う思想は、デザイナーの立場からすると自然なのですが、非デザイナーにとっては「結局自分で加工しないといけないのか」と感じる可能性もありそうです。
ただ、加工と言っても各ノードに渡すプロンプトを調整するとか、ノード構成を変えるといった話で、Photoshopで編集するような専門スキルが必要なわけではないので、広まっていく可能性もあるはず、と感じています。
なお、ここまでWeave単体の話をしてきましたが、2026年6月のConfig 2026ではFigmaとの統合が発表されており、FigmaのデザインフレームをWeaveのワークフローに直接入力できる仕組みも予告されています。
これが実現すれば、Figma上でのデザイン制作とWeaveでのアセット生成がシームレスにつながることになるので、制作フロー全体がさらに効率化されるかもしれません。
まとめ
Figma Weaveはノードベースのワークフローによって、AI画像生成における「全取っ替え」問題を解消し得るツールです。
従来のチャットベースのAI画像生成では、1つのプロンプトにすべてを詰め込むか、チャットを分けてコンテキストを失うかの二択になりがちでした。
Weaveでは個別の要素を独立したノードで制作し、それらを同一プロジェクト内で組み合わせることで、部分的な修正とコンテキストの保持を両立できます。
工程ごとに異なるAIモデルを使い分けられることや、並列でバリエーションを生成・比較できることも、従来のツールにはない特徴です。
無料プランで試せるので、AI画像生成の「ここだけ直したいのに全部変わってしまう」問題に悩んでいる方は、一度触ってみると良いかもしれません。


