母分散が未知の場合に行うt検定

正規母集団からの無作為標本かつ、母集団の分散$\sigma^2$が未知の場合、
統計量は帰無仮説のもので自由度df=n-1の$t$分布を用いる。
t分布は自由度(df:degrees of freedom)という数値によって形状が決まる。

> curve(dt(x,8),-5,5)
> curve(dt(x,4),-5,5,add=TRUE)
> curve(dt(x,2),-5,5,add=TRUE)
> curve(dt(x,1),-5,5,add=TRUE)

Rplot03.png

自由度の値が小さいほど、山頂が低く、両裾が高い形状になる。

例題

過去のデータの蓄積から数学テストの得点は平均12の正規分布にしたがうことがわかっている。
抽出した20人の得点は、母集団からの無作為標本と考えて良いか?

帰無仮説と対立仮説の設定

帰無仮説 ${\rm H}_0$: μ = 12(数学テストの母平均は12)
対立仮説 ${\rm H}_1$: μ ≠ 12(数学テストの母平均は12ではない)

検定統計量

母集団の分散$\sigma^2$が未知のため、帰無仮説として標準正規分布を用いることができない。
そこで未知のσの代わりに標本から求められる普遍分散の正の平方根である$\hat{a}$を
用いて計算する。

$$z=\frac{\bar{X}-μ}{\hat{σ}\sqrt{n}}$$

有意水準αの決定

5%(α=0.05)の両側検定とする。

検定統計量の実現値を求める

> t_numerator <- mean(math_exam) - 12
> t_denominator <- sqrt(var(math_exam)/length(math_exam))
> t_statistics
[1] -2.616648

検定統計量の実現値はt=-2.616648と求められた。

帰無仮説の棄却or採択の決定

検定統計量は帰無仮説のもとで自由度df=n-1=20-1=19のt分布にしたがう。

> qt(0.025,19) # 自由度19のt分布で下側確率0.025となるtの値
[1] -2.093024
> qt(0.975,19) # 自由度19のt分布で下側確率0.975となるtの値
[1] 2.093024

下側確率0.025となるtの値と下側確率0.975となるt値を求め、自由度19の
t分布の両裾にそれぞれ2.5%ずつ合計5%の領域を棄却域として設定する。

オプションをつけると上側確率を計算することもできる。

> qt(0.025,19,lower.tail=FALSE) # 自由度19のt分布で上側確率0.025となるtの値
[1] 2.093024

以上により、棄却域はt<-2.093024、t>2.093024となる。

> curve(dt(x,19),-3,3)
> abline(v=qt(0.025,19))
> abline(v=qt(0.975,19))

Rplot04.png

検定統計量の実現値t=-2.616648で棄却域に入るため、帰無仮説は棄却される。

検定の結果は「5%水準で有意であった」となり、「抽出した数学の得点は母平均が
12であるとは言えない」、あるいは「抽出した20人の数学テスト得点は
平均12(分散未知)の正規母集団からの無作為標本とは言えない」ということになる。

また$p$値を直接求めることも可能。

> pt(-2.616648,19)
[1] 0.00848546
> pt(2.616648,19,lower.tail=FALSE)
[1] 0.00848546

例題は両側検定なので、上側確率$Prob$($t$>2.616648)を2倍する。

> 2*pt(2.616648,19,lower.tail=FALSE)
[1] 0.01697092

$p$値は0.01697092となり、有意水準0.05よりも小さいため帰無仮説は棄却される。

Rには$t$検定を実行するためのt.test関数がある。

> t.test(math_exam,mu=12)

    One Sample t-test

data:  math_exam
t = -2.6166, df = 19, p-value = 0.01697
alternative hypothesis: true mean is not equal to 12
95 percent confidence interval:
  8.400225 11.599775
sample estimates:
mean of x 
       10 

「mu=12」は母平均μ=12の帰無仮説を表す。
オプションを設定しないと、「mu=0」(帰無仮説:μ=0)として検定が実行される。

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