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回路設計
FusionPCB

基板制作ツールKiCADをはじめてインストールしてから、MouserとかRSの部品情報を読み込み、基板を組み立てて、FusionPCBへ基板製造を発注するまでの手順を丁寧に説明してみました。

内容はタイトルの通りです。こんにちは、@island_peakです。本記事のゴールはコチラ。


  • $4.00/10枚の基板製造サービス『FusionPCB』へ発注できる

  • MouserやRSにある部品のフットプリント(はんだ付けパターン)を使える

  • 回路図の作成、基板の配線ができるようになる

社内で基板を作ることのできる人を増やしたいなぁと思い立ち、教材化にあたってQiitaの記事に仕上げてみました。


どんな基板が作れるの

今回は2層基板(裏面と表面に配線ができるもの)を作ります。黒い基板( レジスト色 と呼びます)に白い文字( シルク色 と呼びます)で作りましたが、何色でも製造価格は変わりません。ちょっと特殊な形に切断していますが、これも製造業者さんが追加料金なく対応してくれます。好きな色、好きな形で作りましょう。

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手順

以下の流れですすめていきます。前半は1回インストールするだけの手順のため、2回目以降は手順がぐぐっと減ります。


  • 無償のCADツール「KiCAD」のインストール

  • パーツを取り込む「PCB Part Library」のインストール

  • 回路図を書く

  • 各部品のはんだ付けパターンを選ぶ

  • 基板レイアウト画面を開く

  • 基板上の配線を引く

  • 配線が無い部分をシールド(GND化)する

  • シルクを書く

  • 裁断する線を書く

  • 発注用のファイルを出力

  • プレビューして発注


回路図と基板のデザインをするCADツールのインストール

まず、無償のCADツール「KiCAD」をダウンロードします。kicad-pcb.org/downloadから、OSを選んで、インストール用のファイルをダウンロードします。この例ではWindows版のバージョン5.1.2_1を選択しました。

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インストーラを使ってインストールしましょう。設定は特に変更なしでOKです。

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パーツを取り込む「PCB Part Library」をインストール

作りたい基板は人それぞれ。思い思いの部品を使います。 PCB Part LibraryRSコンポーネンツMouserで販売されているパーツのピン配置やはんだ付け用のパターンを取り込むことのできる便利なツールです。Library Loader とも呼ばれます。


インストール

PCB Part LibraryのWebサイトから「セットアップ&部品の検索」をクリックし「LIBRARY LOADERをダウンロード」し、インストーラを入手します。zipファイルがダウンロードされますので、解凍、インストールします。今回はv2.41をインストールしました。

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パーツを取り込むためのアカウントを作成する

パーツデータ(ECAD File)を入手するには、ユーザ登録(無償)が必要になります。componentsearchengineの登録にて登録します。ここで設定したユーザ名とパスワードはPCB Part Libraryの設定にも使うため、保管しておきましょう。

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PCB Part Libraryの初期設定をする

インストールされたPCB Part Library( Library Loader) を管理者 として実行します。以下の画面が出たら「Your ECAD Tool」に「KiCAD EDA」を選択し、「Download Folder」には空のフォルダを作成、指定します。ここではZ:¥cad¥PCBLを選択します。

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Your ECAD Tool右のSettingsをクリックし、DirectoryにDownload Folderと同じパスを入力してください。OKを押すと指定したディレクトリに各ファイルが生成されます(もしエラーになった場合、管理者として実行できていない可能性があります)。

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各ファイルの役割

以下のファイルが生成されます。これらをKiCADから参照することにより、Library LoaderがRSコンポーネンツやMouserから取り込んだピン配置情報やはんだ付けのパターンを、自分の基板制作に取り込めるということです。


  • Component Library File


    • ピン配置情報



  • Documentation File


    • 仕様書情報



  • Footprint Library File


    • はんだ付けパターン情報



  • 3D Model Folder


    • 3Dモデル



次に、上のメニューからProfileをクリックし、componentsearchengineに登録した情報を入力し、Updateをクリックしてください。以上で、PCB Part Libraryを使う準備ができました。

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最初のKiCADプロジェクトを作る

KiCADを起動し「新規」-「プロジェクト」をクリックします。任意の名前のプロジェクトを作りましょう。ここでは「000_sdconvert」として作成しました。左下にある「プロジェクト用に新しいディレクトリーを作成」はチェックしておきましょう。KiCADは複数のファイルを生成するので、フォルダ単位で管理されていた方が整理しやすく、わかりやすいです。

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KiCADからPCB Part Libraryのはんだ付けパターンファイルを参照する

まず、アイコンから「フットプリントエディタ」を起動します。起動後、メニューの「設定」「フットプリントライブラリ」を選択。

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リスト下の「+(テーブルに空行を追加)」をクリックし、PCB Part Libraryで生成したフォルダ内のSamacSys_Parts.libを選択します。別名(ニックネーム)はLibraryLoaderとしました(わかりやすい名前でOK)。

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KiCADからPCB Part Libraryのピン配置ファイルを参照する

次に、アイコンから「シンボルエディター」を起動します。最初にデフォルトのライブラリの位置を聞かれるので、デフォルトのままOK。

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起動後「設定」-「シンボルライブラリーを管理」をクリック。

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こちらも「+」をクリックし、PCB Part Libraryのファイルを選択します。

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以上で準備完了です。


オンラインの部品を回路図や基板に使う


オンラインからパーツデータを入手する

これでRSコンポーネンツやMouserで取り扱いのある部品の多く(一部の部品はリクエストする必要有)を回路図にも基板制作時にも使えるようになりました。試しにmicroSDソケットの足を取り込んでみましょう。

PCB Part Library(LibraryLoader)を起動し「Search for Part」をクリックします。供給元であるMouserやRSコンポーネンツを指定するにはリンク右にある(Change)をクリックします。microSDソケットを検索し、使いたい部品の「ECAD Model」をクリック、MEMBERSの「FREE DOWNLOAD」をクリックします。ZIPファイルがダウンロードされる、または、自動的にLibrary Loaderに取り込まれます。

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ZIPファイルがダウンロードされた場合、PCB Part Libraryの「Open ECAD Model」を開きZIPファイルを選択すると、下記のようなメッセージで取り込みが完了が通知されます。

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自分の回路に置いてみる

KiCADを起動し「回路図レイアウトエディター」を開きます。この画面で基板の元になる回路図を作ります。「設定」-「シンボルライブラリーを管理」をクリックしライブラリを再読み込み、シンボルエディタのLibraryLoaderの中にmicroSDソケットが増えています。部品アイコンをクリックしmicroSDカードソケットを配置しましょう

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これで使えそうですね。はんだ付けパターン(フットプリント)も確認してみましょう。回路図エディターの「ツール」から「基板エディターを開く」をクリックするとmicroSDソケットが半田付けできそうなパターンが配置されます(もし反映されない場合は一旦フットプリントエディタを起動してライブラリを再読み込みするか、microSDの配置時に出るウィンドウでmicroSDソケットのフットプリントを選択しましょう)。

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それでは、基板を作ってみましょう


回路図エディターで回路を書く

それでは基板を作ってみましょう。回路図エディターを開き、パーツを選択しながら、配線をしていきます。操作には少し癖があるので、ちょっと慣れるまでは大変かもしれませんが、一旦慣れてしまえば手早く操作できるでしょう。是非慣れていきましょう。ユニバーサル基板を買ってきて、ちこちこ線のばして、半田付けして、導通確認して、という作業とおさらばできます。

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各部品のはんだ付けパターン(フットプリント)を選ぶ

回路図エディタの「ツール」から「フットプリントを関連付け」をクリックし、各部品のフットプリントを選択していきます。配置した部品が中央に表示されているので、各部品に割り当てるフットプリントを画面上の絞り込み条件を変えつつ探して割り当てます。すべての割り当てが完了した後OKをクリックしてください。

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基板をレイアウトする

回路図エディタの「ツール」から「回路図から基板を更新」をクリックし「基板(PCB)エディターを開く」を選択し、基板エディターを開きます。それぞれの部品が中央に重なって配置されますので、それぞれの部品を置きたい場所に移動させましょう。画面上にある「グリッド」を2.54mmの1/4倍程度に設定すると綺麗に配置できます。つなぐべきピンの間は白い線が見えるので、機械的につないでいきましょう。主に編集すべき箇所は以下です。


  • F.Cuレイヤー ... 表面の銅線

  • B.Cuレイヤー ... 裏面の銅線

  • F.Silkレイヤー ... 表面のシルク印刷

  • B.Silkレイヤー ... 裏面のシルク印刷

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ベタGNDを張り付ける

基板で配線の無い部分には銅箔を貼っておきましょう。「塗りつぶしゾーンの追加」を選択し、クリックすると、どのようなベタを作るかのウィンドウが出ます。レイヤー「F.Cu」と「B.Cu」それぞれにネット「GND」でベタを敷きます。塗りつぶす範囲を指定すると、自動的にベタが生成されます。

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切断用の線を書きこむ

「Edge.cuts」レイヤーに「図形ラインを追加」ツールを使って切断用の線を書きこみます。やや見えにくいですが、今回のサンプル基板では以下のように黄土色のラインを書きこみました。

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以上で基板データが完成しました。


発注すれば、お疲れ様でした!

Fusion PCBは、$4.00+送料で基板を10枚作ってくれるサービスです。KiCADのデータを「ガーバーファイル」と呼ばれる製造用データに変換する方法はFusion PCBのKiCADでガーバーデータを作る方法を参考にして変換しましょう。生成したガーバーファイル(zip形式)を選択すると、製造予想を見ることができます。

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発注し支払いを終えると中国国内(深圳?)で生産が開始されます。生産後、税関を通って、日本に届くため、だいたい…製造開始までに3-4日、製造に3-4日、到着までに3-4日程度、かかるでしょう。旧正月直前に発注した基板は、1ヵ月ぐらいかかりました(急ぐ場合は国内の製造サービスを選択するとよいです)。


まとめ

お疲れ様でした。ユニバーサル基板でもそれなりの回路は作れますので、基板を発注しなくても…と感じることも多いかもしれません。ただ、複数枚ボードを作る手間が大変だったり、配線が複雑になって手はんだした場所の導通などが心配になったりと、ユニバーサル基板で頭を抱えていた問題はKiCADで大方解決することができます。

回路図も書くので、説明もしやすくなるかもしれませんね。是非、お役立てください!

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