はじめに
こんにちは、フジマロです![]()
最近、生成AI技術の発展とともに、AIモデルを単独で利用するだけでなく、外部のデータやサービスと連携するニーズが急速に高まっています。しかしながら、AIと外部システムとの連携には、多様なAPI仕様や通信方式が混在し、開発者にとって統合や拡張が複雑な課題でした。
そんな中、MCP(Model Context Protocol) は、生成AIモデルと様々なアプリケーションや外部サービスを効率的かつ標準的に接続するために生まれた新しい通信規格です。MCPを使うことで、開発者は異なるAIモデルやツール、データソースを共通の仕組みで連携でき、柔軟で拡張性の高いAI活用環境を実現できます。
この記事では、MCPについて、MCPの基本から仕組み、実際のMCPを使用した実演までご紹介します。
今後の生成AIの活用に欠かせない基盤技術として「なぜMCPが必要なのか」「どのようにAIとつながるのか」といった疑問が解消されるようにご紹介します
目次
これまでのAIサービス
MCPとは
MCPができること
MCPの仕組み
1.MCP ホスト(MCP Hosts)
2.MCP クライアント(MCP Clients)
3.MCP サーバー(MCP Servers)
4.データソース(Data Sources)
5.ツール(Tools)
MCPを実際に使ってみた
これまでのAIサービス
AI エージェントは幅広いタスクを実行できますが、多くのタスクでは依然として大規模言語モデル以外のツールと対話する必要があります。そのため AIエージェントは、API、データベース、または内部サービスにアクセスする必要が出てきますが、それらのサービスと連携をしようとすると課題がありました。
「OpenAI」も「Google」も「Anthropic」もそれぞれAPIは持っていますが、それらの呼び出し方法は互換性が無いのでサーバーを立てコードを書いたり、IPaaSで実装したりしていました。その際に全て違く個別にサーバーを立ててコードを書いて開発する必要があります。
また、同じ提供元のモデルですら、モデルが切り替わればコードを書き直す必要がある場合もあります。
これらのツールを手動で統合して保守すると、特にシステムが成長したり頻繁に変更されたりすると、すぐに複雑になることも課題として挙げられていました。
MCPとは
MCP(Model Context Protocol) とは、AIと外部のデータやツールをつなぐための標準的な通信ルール(プロトコル)です。MCPが登場したことで、AIとツールやデータを共通の方法で接続できるようになりました。
MCPを介することで、ChatGPTやClaudeなどのLLMの学習済みの知識だけでは足りない、外部の情報をリアルタイムで取得し、それに基づいた応答が可能になります。また、ツールを通じてユーザーのPC上のファイル操作やアプリ連携など、実際の行動もAIが代行できるようになります。

MCPが連携する相手
MCPが連携する相手は、大きく分けて「データソース」と「ツール」に分かれます。
-
データソース
AIが知識や状況を取得するための情報源です。
・社内データベース(顧客情報、社内資料など)
・ファイルシステム(PDF、Excel、ドキュメントなど)
・インターネット上の情報(APIで提供される天気情報など) -
ツール
AIがユーザーに代わって操作や実行を行うための仕組みです。
・他のアプリケーション(SlackやTeamsにメッセージを送るなど)
・システム操作(ファイルを移動、メール送信など)
・外部サービスとの接続(カレンダー登録、翻訳ツールの呼び出しなど)
MCPができること
MCPによってAIは、外部の情報にアクセスするだけでなく、ツールやアプリを実際に操作する「実行型エージェント」として活躍できるようになりました。ここでは、MCPが実現する具体的な機能の一部を紹介します。
MCPを使うとできることの例
- メールを自動作成・送信
「会議のリマインドメールを送って」と指示するだけで、件名・本文を自動で準備し、メールを送信します。テンプレートベースの連絡業務を効率化できます。
- PDFの中から必要な情報を抽出
「この契約書の金額だけ知りたい」といった問いに、AIがPDFを読み取り、該当情報を抜き出して回答。手作業での確認作業を大幅に削減できます。
- コードファイルを自動で修正・保存
「この関数の名前をもっとわかりやすく変えて」とAIに伝えると、指定したファイルを開いて修正し、自動保存まで行ってくれます。軽微な修正やコメント追加も自然言語で完結します。
MCPは、AIに「動作の指示」や「データの活用範囲」を広げる強力な手段であり、実際の業務操作やリアルタイム情報の取得を可能にします。では、その仕組みはどのように成り立っているのでしょうか?次のセクションから、MCPがどのように機能しているか、具体的な構成とその役割を見ていきましょう。
MCPの仕組み
AIが外の世界とつながるための基本構造は、クライアント・サーバーモデルと呼ばれる仕組みにもとづいています。これは、役割ごとに処理を分担する方式で、AI(クライアント)が必要な処理を、それぞれのMCPサーバー(機能の提供者)に依頼する形です。
わかりやすく言えば、AIが必要なときに外部の道具箱(サーバー)を使って処理を進めていくイメージです。この構造により、AI自身が直接データやツールを操作することなく、柔軟かつ安全に外部とやり取りできるようになります。
メールとの連携は例としますが、具体的なMCPの仕組みについてご説明します

MCPを正しく理解するために重要な5つの要素がございます。
| № | 役割 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | MCPホスト | 生成AIモデルを搭載したアプリケーションで、ユーザーが操作するAIの本体です |
| 2 | MCPクライアント | MCPホスト内にある通信コンポーネントで、MCPサーバーとのデータやリクエストのやり取りを担当します。 |
| 3 | MCPサーバー | 特定のデータソースやツールへのアクセスを提供する軽量なサーバーで、外部リソースとの橋渡しを行います。 |
| 4 | データソース | MCPサーバーが接続・アクセスする外部の構造化データや情報の提供元です。 |
| 5 | ツール | AIが呼び出す具体的なアクションや機能(例:計算、API呼び出し、ファイル操作)を指します。 |
それぞれの役割を具体例を交えて解説していきます。
1.MCP ホスト(MCP Hosts)
ホストとは、MCPの機能を使いたい「AIアプリケーション」そのものです。たとえば、以下のようなアプリがホストとしてMCPクライアントを動作させます。
Claude DesktopやVS Codeなど、AI本体やアプリケーションのことを指します。
ユーザーはチャットなどによって指示や質問を入力し、MCPホストはMCPクライアントを介してその入力を処理してLLMを呼び出します。
2.MCP クライアント(MCP Clients)
MCP クライアントはMCPホストに内包されており、MCPホストごとに異なる実装方法となります。
ホスト内でMCP Serverと通信するためのプロトコルクライアント(橋渡し役)を担います
MCPクライアントは、AIアプリ(ホスト)と機能を提供するMCPサーバーの間を取り持つ通信の司令塔のような存在です。
このように、MCPクライアントは「ユーザーが自然に話した内容」を、サーバーが実行可能なコマンド形式に変換する通訳役のような働きをします。クライアントは通常、ホストの内部に組み込まれており、ユーザーが意識することなく動作しています。まるで裏方のように、MCPの円滑な通信を支えています。
3.MCP サーバー(MCP Servers)
MCPサーバーは、クライアントから受け取ったリクエストに対して、必要な処理を実行し、その結果を返す小さなプログラムです。それぞれのサーバーは特定の役割(例:ファイルの読み取り、APIの呼び出しなど)に特化しており、処理の流れは以下のようになります。
このように、MCPサーバーは「指示が明確に届いたら、それに沿って必要な処理を正確に実行し、結果を返す」ことに特化しています。だからこそ、柔軟な組み合わせや拡張が可能で、さまざまな業務処理にも対応することができます。
4.データソース(Data Sources)
MCPサーバーがアクセスできるユーザーのパソコンや社内ネットワーク、外部サービスなどの情報源です。MCPサーバーは、これらの情報にアクセスして情報を取得することができます。
MCPサーバーはファイル、データベース、API、インターネットサービスなどの情報を対象に、全文検索や条件抽出などの処理を行い、その結果をAIに返すことができます。
5.ツール(Tools)
「外部API呼び出し」や「メール送信」等の特定タスクを実行する機能単位を示し、MCPサーバーで提供されるアクション類です。
MCPサーバーは、こうしたサービスとも連携して、AIの処理をさらに広げることができます。リアルタイムの情報取得や外部操作を実現します。
MCPを実際に使ってみた
ファイル転送ソフト HULFT10 に関する質問を MCP を使って質問してみます
実際に動かしてみたのがこちらになります
最後に
ここまで読んで頂きありがとうございます
はじめてMCPを知る方も理解が深まったのではないでしょうか
今回はHULFT10を「データソース」として使いましたが、HULFT10はAPIで配信要求も可能なので AIからファイル配信をする「ツール」 として利用することも可能です。
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ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは、また!![]()






