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ROS講座10 カスタムROSメッセージ

Last updated at Posted at 2018-05-17

環境

この記事は以下の環境で動いています。

項目
CPU Core i5-8250U
Ubuntu 20.04
ROS Noetic

インストールについてはROS講座02 インストールを参照してください。
またこの記事のプログラムはgithubにアップロードされています。ROS講座11 gitリポジトリを参照してください。

概要

ROSノード間ではROSメッセージに基づいた型で通信が行われます。様々なROSメッセージ型がデフォルトで用意されていますが、自分でオリジナルのROSメッセージを作りたくなることがあります。自分で定義したROSメッセージ自体の作成、そのROSメッセージを使ったROSノードの作成を解説していきます。

流れ

  1. カスタムROSメッセージの定義:ROSパッケージを作りmsgファイルの定義とビルドの設定を追加する。
  2. カスタムROSメッセージ使用:msgファイルをincludeして使います。

カスタムmsgを定義するROSパッケージと使うROSパッケージは別々の物にすることが推奨されてます。カスタムROSメッセージを定義するROSパッケージは***_msgsという名前にすることが推奨されています。

カスタムROSメッセージの定義

ここではros_lecture_msgsというROSパッケージを作成します。

msgファイル

パッケージ直下のmsgディレクトリの中にカスタムROSメッセージを定義するファイルを置きます。例えば以下のようなものになります。この時に要素として使えるのは基本型(以下のstringやint32)とROSメッセージの型(例えばgeometry_msgs/Pose等)のみです。
今回は以下のような型を定義します。カスタムROSメッセージの名前はCustomRosMsgのようにパスカルケースで書くのが一般的です。
ここで書けるのはこの記事の下に書いた基本型か他のROSメッセージ型になります(例えばgeometry_msgs/Twist型を持ちたいならgeometry_msgs/Twist target_twistの様に書きます)。

ros_lecture_msgs/msg/Custom.msg
string word
int32  number

CMakeListの設定

まずfind packageにメッセージをビルドするためのmessage_generationとmsgファイルで依存するROSパッケージを記述します。(厳密にはCostom.msgはstd_msgsには依存しませんが説明のために書いておきます。)

ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtに追加
find_package(catkin REQUIRED COMPONENTS
  roscpp
  rospy
  std_msgs # msgファイルが依存するpkgを追加
  message_generation #この行を追加
)

またcatkin_packageに必要なパッケージを加えます。#でコメントアウトしているものの#を外して、以下のようにmessage_runtimeを追加します。

ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更前)
catkin_package(
#  INCLUDE_DIRS include
#  LIBRARIES ros_lecture
#  CATKIN_DEPENDS roscpp rospy std_msgs
#  DEPENDS system_lib
)
ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更後)
catkin_package(
#  INCLUDE_DIRS include
#  LIBRARIES ros_lecture
  CATKIN_DEPENDS roscpp rospy std_msgs message_runtime
#  DEPENDS system_lib
)

後のほうの## Generate messages in the 'msg' folderとある下のブロックを#のコメントウアウトを外して、以下のようにFILESと自分で作ったmsgファイルを書きます

ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更前)
# add_message_files(
#   FILES
#   Message1.msg
#   Message2.msg
# )
ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更後)
add_message_files(
  FILES
  Custom.msg
)

generate_messageのブロックのコメントアウトを解除します。また上記のカスタムmsgの定義の時に使ったROSの型が所属するROSパッケージ(今回の例ではstd_msgs)をここに追加します。今回はstd_msgs以外の内容の追加は必要ありません。

ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更前)
# generate_messages(
#   DEPENDENCIES
#   std_msgs
# )
ros_lecture_msgs/CMakeLists.txtの一部(変更後)
generate_messages(
  DEPENDENCIES
  std_msgs
)

package.xmlの設定

message_generationへの依存を追加します。

ros_lecture_msgs/package.xmlに追加
  <build_depend>message_generation</build_depend>
  <exec_depend>message_runtime</exec_depend>

コメントアウトを外して上の記述を復活させます。
昔は<run_depend>だったみたいですが今は<exec_depend>を使いましょう。
(package.xmlのver1、ver2の違いです)

ビルド

cd ~/catkin_ws
catkin build

カスタムROSメッセージの確認

カスタムROSメッセージを確認するにはrosmsgコマンドを使用します。

カスタムROSメッセージの確認
rosmsg show ros_lecture_msgs/Custom

以下のように.msgファイルの中身が表示されます。

rosmsgの結果
string word
int32 number

カスタムROSメッセージの使用

カスタムROSメッセージを定義したros_lecture_msgsとは別のbasic_lectureの中のノードで使用していきます。

カスタムROSメッセージを使用するROSノード

basic_lecture/src/basic_cmsg_talker.cpp
#include <ros/ros.h>
#include <ros_lecture_msgs/Custom.h>

int main(int argc, char** argv)
{
  ros::init(argc, argv, "basic_cmsg_talker");
  ros::NodeHandle nh;
  ros::Publisher pub = nh.advertise<ros_lecture_msgs::Custom>("chatter", 10);

  ros::Rate loop_rate(1);
  while (ros::ok())
  {
    ros_lecture_msgs::Custom data;
    data.word = "hello";
    data.number = 10;
    pub.publish(data);
    ros::spinOnce();
    loop_rate.sleep();
  }
}

カスタムメッセージは#include <ROSパッケージ名/カスタムメッセージ名.h>のようにincludeします。

CmakeListの設定

まずfind_packageの中でカスタムROSメッセージの定義を行ったROSパッケージ(今回の例ではros_lecture_msgs)をここに追加します。

basic_lecture/CmakeList.txtに追加
find_package(catkin REQUIRED COMPONENTS
  roscpp
  rospy
  std_msgs
  ros_lecture_msgs #この行を追加
)

次にROSノードのビルドの設定です。いつもと違うのは3行目のadd_dependencies()です。上記でincludeしているROSメッセージのヘッダファイルはビルド時に生成されます。この行はそのビルド生成物を利用するための依存の記述です。今回のように同時にビルドする時に必要となります。

basic_lecture/CmakeList.txtに追加
add_executable(basic_cmsg_talker src/basic_cmsg_talker.cpp)

add_dependencies(basic_cmsg_talker ${${PROJECT_NAME}_EXPORTED_TARGETS} ${catkin_EXPORTED_TARGETS})

target_link_libraries(basic_cmsg_talker
  ${catkin_LIBRARIES}
)

package.xmlの設定

カスタムROSメッセージが含まれるROSパッケージへの依存をpackage.xmlへの記述します。

basic_lecture/package.xmlに追加
  <build_depend>ros_lecture_msgs</build_depend>

ビルド

cd ~/catkin_ws
catkin build

実行

各ターミナルごとに実行前にsource ~/catkin_ws/devel/setup.bashを実行する必要があります。

1つ目のターミナル
roscore
2つ目のターミナル
rosrun basic_lecture basic_cmsg_talker
3つ目のターミナル
 rostopic echo /chatter 

このように実行すると3つ目のターミナルから以下のような表示が出てきて、カスタムメッセージがpublishされていることがわかります。

word: "hello"
number: 10
---
word: "hello"
number: 10
---
word: "hello"
number: 10
---

(参考)ROSの基本型

rosのmsgファイルで記述できる型は以下の基本型か他のrosmsgになります。つまりROSの型は必ず以下の型かその組み合わせになります。

ROSの基本型 C++対応 python対応
bool uint8_t bool
int8 int8_t int
uint8 uint8_t int
int16 int16_t int
uint16 uint16_t int
int32 int32_t int
uint32 uint32_t int
int64 int64_t int(long)
uint64 uint64_t int(long)
float32 float float
float64 double float
string std::string byte(str)
time ros::Time rospy.Time
duration ros::Duration rospy.Duraiton

参照

ROSwiki: msgを作る
カスタムmsgを定義する
カスタムmsgの依存

目次ページへのリンク

ROS講座の目次へのリンク

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