はじめに
カスタマーサクセス(CS)の仕事は、顧客の利用状況を理解し、継続的に価値を提供することです。
しかし日々のメール作成、データ分析、会議のまとめなどは時間がかかりがちです。
そこで登場するのが、LLM(大規模言語モデル)とZapier(ノーコード自動化ツール) の組み合わせ。
これにより「人がやると30分かかる作業」を「数秒」に短縮できます。
以下では、実際にB2B SaaS企業のCS業務で使える10の活用例を、初心者にもわかりやすく紹介します。
1. オンボーディング後の自動フォローアップメール
何をする?
新しいお客様が使い始めた1週間後に、利用状況に合わせたパーソナルなメールを自動送信します。
Zapの流れ
- HubSpotで顧客が「オンボーディング完了」に更新される
- ZapierがLLMに顧客の情報と利用履歴を渡す
- LLMがチェックインメール文面を生成
- Gmailから送信
2. QBR(四半期レビュー)用の利用サマリー作成
何をする?
顧客との定例レビュー用に、利用状況をわかりやすくまとめたレポートを自動作成します。
Zapの流れ
- Google Sheetsに利用データが更新される
- Zapierが最新データをLLMに送る
- LLMが「利用傾向・成果・課題」を短く要約
- SlackやGoogle Docsで共有
3. チャーンリスクの自動検知と通知
何をする?
利用が減ったお客様を自動検出し、理由や背景とともにSlackでCSチームに通知します。
Zapの流れ
- 利用分析ツールで使用量がしきい値未満になる
- Zapierが直近のサポート履歴や最後の接触日を取得
- LLMが「リスク要約」を生成
- Slackチャンネルに即時投稿
4. ヘルススコア変動の理由説明
何をする?
顧客の「健康度スコア」が変わった時に、その理由と改善案を自動でまとめます。
Zapの流れ
- Salesforceでスコア更新を検知
- Zapierが利用履歴やサポート履歴を収集
- LLMが変動理由と改善策を簡潔に出力
- Salesforceのメモに書き戻し
5. サポートチケットの感情分析と優先度判定
何をする?
届いた問い合わせの「感情」と「緊急度」をAIで判定し、重要案件は即エスカレーションします。
Zapの流れ
- Zendeskで新規チケットを検知
- LLMがポジティブ/ネガティブ・緊急度を分類
- Zapierが重要案件をSlackへ通知、通常案件はそのまま処理
6. 新機能の採用促進メッセージ生成
何をする?
まだ使っていない新機能を案内するメッセージを、自動で顧客ごとにカスタマイズします。
Zapの流れ
- 利用データから未採用顧客を抽出
- LLMが業界・過去履歴に合わせて案内文を作成
- HubSpotやメール下書きとして保存
7. 契約更新前の価値再提示メール
何をする?
更新前に「これまでの成果」をまとめ、次期契約を後押しするメールを自動生成します。
Zapの流れ
- 契約終了日の60日前にSalesforceからトリガー
- 利用実績やサポート成果を集約
- LLMが成果と提案を含むメールを生成
- 下書きとして保存→確認後送信
8. 顧客ミーティングの自動要約とCRM更新
何をする?
Zoomミーティングを録音・文字起こしし、重要ポイントをCRMに自動登録します。
Zapの流れ
- Zoom録画の文字起こし完了を検知
- LLMが要点・アクション・リスク・機会を抽出
- SalesforceやHubSpotに自動反映
9. 多言語対応のCSメッセージ
何をする?
お客様の言語に合わせて、CSからの案内文を自動翻訳&文化調整します。
Zapの流れ
- 顧客の希望言語を確認
- LLMが翻訳と文化調整を実施
- メールやチャットで送信
10. NPSアンケート自由回答の分析
何をする?
アンケートの自由記述をテーマごとに分類し、改善や強化のポイントを抽出します。
Zapの流れ
- アンケート回答を受信
- LLMがテーマ分類・感情分析・阻害/推奨要因を抽出
- Google Sheetsにまとめて可視化
まとめ
ポイントは以下の3つです。
・LLMは「文章の作成」「要約」「分類」が得意
・Zapierは「トリガーとアクションの橋渡し役」
・この2つを組み合わせると、CS業務の省力化と質の向上が同時に実現できる
今まで30分かかっていた「データ集め→分析→文章作成」も、数秒〜数分で完了します。
まずは1つの小さなZapから試し、少しずつ拡張していくのが成功のコツです。
了解です。では、先ほどのB2B SaaS CS向け 10例すべて を、
初心者にもわかりやすいサマリー+インポート用Zap構成+結論付きで整理します。
これをそのままZapierの「Create Zap」画面に合わせて作れば、実務に投入可能です。
1. オンボーディング後の自動フォローアップメール
サマリー
新しい顧客が利用開始後1週間経ったら、その利用内容に基づいたパーソナルメールを自動作成・送信します。
Zap構成
-
Trigger:HubSpot → 「Lifecycle Stage = Onboarded」
-
Action 1:Formatterで名前・業界・初週利用状況を整形
-
Action 2:OpenAI
以下の顧客情報を元に、1週間後のフォローアップメールを300字程度で作成してください。 顧客業界: {{industry}} ユースケース: {{use_case}} 初週の利用状況: {{usage}} -
Action 3:Gmailで送信(差出人はCS担当)
結論
CSMが手作業で書く時間を節約し、同時に顧客へのケアを欠かさず提供できます。
2. QBR用利用サマリー作成
サマリー
四半期ごとのレビュー用に、顧客利用データを短時間で要約して共有します。
Zap構成
-
Trigger:Google Sheetsの更新 or スケジュール(日付指定)
-
Action 1:OpenAI
以下のデータを元に、四半期レビュー用サマリーを作成してください。 ・利用傾向 ・成功事例 ・リスク要因 ・推奨アクション3つ データ: {{sheet_data}} -
Action 2:SlackのCSMチャンネルに投稿 or Google Docs作成
結論
レビュー資料の準備時間が大幅短縮。データ解釈のバラつきも減ります。
3. チャーンリスクアラート
(※これは前述済みなので簡略)
- Trigger:利用量低下(Amplitude等)
- Action:サポート履歴取得 → LLMで要約 → Slack通知
- 結論:離脱兆候を即キャッチでき、事前対策が可能。
4. ヘルススコア変動理由説明
サマリー
顧客の健康度スコアが変化した理由と改善案を自動生成します。
Zap構成
-
Trigger:Salesforce「Health Score更新」
-
Action:OpenAI
ヘルススコアが{{old_score}}→{{new_score}}に変わった理由を3〜5項目、 改善案を2項目、簡潔に箇条書きしてください。 アクティビティ: {{activity_log}} -
Action 2:Salesforceメモに保存
結論
原因特定が早まり、CSMの判断スピードが向上します。
5. サポートチケット感情分析
サマリー
問い合わせの感情・緊急度をAIで判定し、重要案件は即エスカレーション。
Zap構成
- Trigger:Zendesk新規チケット
- Action:OpenAIで感情・緊急度判定(JSON形式)
- Action 2:Filterで「ネガティブ&高緊急度」のみSlack通知
- Action 3:他は通常キューに流す
結論
重要顧客対応の遅延を防ぎ、解決スピードを改善。
6. 新機能採用促進メッセージ
サマリー
まだ使っていない機能を顧客別にカスタマイズして案内。
Zap構成
-
Trigger:未利用顧客リスト生成(Sheets)
-
Action:OpenAI
以下の顧客に対して、新機能採用を促すメッセージを作成。 業界: {{industry}} 役職: {{persona}} 過去採用履歴: {{history}} -
Action 2:HubSpot下書き or Gmail下書き作成
結論
無差別送信ではなく、パーソナライズによる採用率向上が可能。
7. 契約更新リマインダー
サマリー
更新前に成果をまとめたメールを自動作成し、更新率を上げます。
Zap構成
- Trigger:Salesforce「Renewal Dateの60日前」
- Action:OpenAIで成果・提案入りのメール生成
- Action 2:下書き保存→CSM確認後送信
結論
成果提示と提案を同時に行うことで、更新交渉がスムーズに。
8. ミーティング要約 → CRM登録
(前述済み)
- Trigger:Zoom録画完了
- Action:OpenAIで要点・タスク抽出
- Action 2:Salesforce/HubSpot更新
- 結論:議事録作成工数ゼロ。
9. 多言語メッセージ生成
サマリー
顧客の言語に合わせた翻訳・文化調整メッセージを自動生成。
Zap構成
- Trigger:CRMでPreferred Language確認
- Action:OpenAIで翻訳&ローカライズ
- Action 2:メール/チャット送信
結論
グローバルCS対応の負担軽減。
10. NPS自由回答分析
サマリー
アンケート自由記述をテーマ分類し、改善点を抽出。
Zap構成
- Trigger:Typeform回答受信
- Action:OpenAIでテーマ・感情・要因分析
- Action 2:Google Sheetsに保存
結論
大量のアンケートを短時間で構造化し、改善施策に直結。
全体のまとめ
- Zapierは「条件に合った時に自動で動く」仕組みを作れる
- LLMは「文章生成・要約・分類」で特に力を発揮
- 両者を組み合わせることで、CS業務の負担が大きく減り、顧客満足度向上につながる
この10個の構成をそのままZapierの「Import Zap」形式(JSON)に落とせば、即実装できます。