はじめに
本記事では、AWS認定資格試験「クラウドプラクティショナー」に合格するための勉強プランを一例として紹介します。
私自身2020年1月に当該試験に合格しており、そこに至るまでに実施した勉強内容を基に記載します。経験則ベースでの内容ですので、これをやったら必ず合格できるというわけではございません。
その点はご留意ください。
また、本記事ではあくまでも「クラウドプラクティショナー」の合格に向けたプランのみを紹介します。
他のAWS認定資格試験ではより専門性を問われるため、下記とは別で勉強プランが必要と考えられます。
勉強する上での準備
当該試験を含めてAWS認定資格に合格するには、大前提として以下の条件が揃っていることがのぞましいです。決して必須条件とは言いませんが、円滑に勉強を進めるうえで推奨します。
AWS自体に興味があること
AWS認定資格試験では、AWSのサービスの利用経験があることを前提とした問題が出てきます。
そのため、AWSを積極的に利用することが試験合格の近道となります。
「AWSにそもそも興味がない」となると学習意欲も湧きませんので、いくら時間を掛けても合格に近づくことは難しいでしょう。まずは「AWSに興味を持って、触ってみること」が重要です。
AWSのアカウントは登録後1年間は無料で利用できますし、各サービスも最低スペックかつ最短期間であれば、安いコストで利用できます。
時間とお金を1秒1円でも惜しまれる方に無理強いしませんが、本当に試験に合格したいならAWSサービスを利用することをお勧めします。
勉強のためにインターネット環境が整っていること
AWSサービスを利用するにも、模擬試験を受けるにも、ある程度高速なインターネット環境が必須です。
もし自宅にインターネット環境が無い方(かくいう私が正にそうです)は、ネットカフェなどインターネット環境の整った施設を利用してでも、勉強する環境を確保することが望ましいです。
勉強の流れ
当該試験の勉強の流れを紹介します。
各ステップの詳細には、そのステップで達成すべき学習目標も記載しました。
既に実施済みのステップは飛ばして、次のステップに進んでください。
注意
勉強期間には個人差があります。自分のペースで勉強を進めてください。
- AWSのコアサービスの機能と利便性について学ぶ
- AWSのコアサービスに触れてみる
- クラウドプラクティショナーの参考書を1周以上読破する
- クラウドプラクティショナーの模擬試験を1度受験する
- 模擬試験で失点した内容について、Black Beltで復習する
- 模擬試験を9割以上正解するまで繰り返し受験する
- 模擬試験に登場しなかったサービスの概要について調べる
AWSのコアサービスの機能と利便性について学ぶ
学習目標
- コアサービスに該当するAWSサービスが何なのかを知る。
- 各コアサービスの機能と用途を理解する。
AWSでは100を超える種類のサービスが提供されています。
それらのサービスの中でもよく利用されるサービスのことを総称して「コアサービス」と言います。
コアサービスに関する問題は、クラウドプラクティショナーでは多く出題されます。
そのため、まずはコアサービスに該当する各サービスの機能と利便性について知っておくとよいでしょう。
コアサービスについて解説しているドキュメントや動画はAWS公式を含めて多く公開されています。
本記事では、一例として2019年に大阪で開催されたAWS Summitの公演動画を紹介します。
コアサービスの基本中の基本となる情報が詰まっていますので、一度確認しておくと良いでしょう。
AWS再入門 - 基本的なサービスをおさえる | AWS Summit Osaka 2019
なお、動画中に登場する用語で理解できなかったものはメモに残して、後でAWS公式サイトや参考書で必ず調べておきましょう。
AWSのコアサービスに触れてみる
学習目標
- 各コアサービスの基本的な操作の流れを覚える。
コアサービスの機能と利便性が理解できたら、次はAWSのアカウントを登録して、コアサービスに触れてみましょう。
コアサービスを利用する際には、予め利用するシチュエーションを絞った方が良いです。
当該試験の問題として出題される傾向を加味すると、以下のシチュエーションを想定してサービスを利用すると良いでしょう。
- VPC、EC2、RDSを利用してWebアプリケーションを公開する
- S3を利用して静的Webページを公開する
各シチュエーションでの具体的な操作方法はAWS公式のチュートリアルやQiita記事などで色々と公開されています。
一通り読んで、理解しやすそうな資料を参考に操作してみましょう。
ちなみに、S3を利用した静的Webページの公開方法は私もQiita記事で投稿しました。
こちらもご参考にしていただければ幸いです。
[AWSであそぼう#01]Amazon S3でHTMLページを公開してみる
クラウドプラクティショナーの参考書を1周以上読破する
学習目標
- クラウドプラクティショナーの試験概要を知る。
- AWSクラウドの概要を理解する。
- AWSにおけるセキュリティの考え方を理解する。
- AWSのグローバルインフラストラクチャの全体像を理解する。
- コンピューティングサービスの機能と用途を理解する。
- ストレージサービスの機能と用途を理解する。
- ネットワークサービスの機能と用途を理解する。
- データベースサービスの機能と用途を理解する。
- 管理サービスの機能と用途を理解する。
- 各サービスにおける料金体系を理解する。
- 料金に関連するサービスの機能と用途を理解する。
コアサービスを一通り操作して具体的なイメージが掴めるようになったら、次はコアサービスの細かい機能、コアサービス以外の機能、各サービスの料金システムに関して、クラウドプラクティショナーの参考書を読んで確認しましょう。
当該試験の参考書は複数の出版社から出ています。どれが一番オススメかは主観的な判断となってしまうため、まずは書店に行って各参考書に軽く目を通して、読みやすそうなものを選んでください。
かならず、一度は参考書を一周して読み切りましょう。
また、参考書中で意味が分からなかった用語は別途インターネットで調べるようにしてください。
ちなみに、私は下記の参考書を購入して読みました。
AWS認定資格試験テキスト AWS認定 クラウドプラクティショナー
また、AWS公式でもクラウドプラクティショナー対策の資料が公開されています。
こちらも是非ご利用ください。
AWS Cloud Practitioner Essentials
クラウドプラクティショナーの模擬試験を1度受験する
学習目標
- 問題文の形式に慣れる。
- 参考書では紹介していないサービスを把握する。
参考書を一読して、各サービスの機能や料金システムまで確認できたら、模擬試験を受験してみましょう。
当該試験の模擬試験は基本的に有料です。大体3600~5000円程度かかるため、尻込みする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本番の試験問題は、参考書に載っている模擬試験よりも出題範囲が開く、難易度も高めです。
これまでのステップの勉強だけでは網羅できない内容も含まれるため、不足知識を補うためにも受けることをお勧めします。
また、模擬試験の内容を暗記しようとは思わないでください。
本番の試験中で模擬試験と同じ問題が出題されることは極めて少ないです。
各問題を覚えるのではなく、理解するという姿勢で臨んでください。
以下に模擬試験のサービスを紹介します。
Udemy:この問題だけで合格可能!AWS 認定クラウドプラクティショナー 模擬試験問題集(全455問)
模擬試験で失点した内容について、Black Beltで復習する
学習目標
- 理解できていないサービスの機能と用途について理解する。
- 参考書で紹介していないサービスの機能と用途について理解する。
模擬試験を1度受けたら、失点した問題で取り上げられてるサービスについて復習しましょう。
参考書で触れられていない内容が失点の原因である可能性もあるため、復習する際にはAWS公式から公開されているオンラインセミナー動画「Black Belt」を視聴することをお勧めします。
模擬試験を9割以上正解するまで繰り返し受験する
学習目標
- 模擬試験を9割以上正解する。
Black Beltで理解不足を補ったら、改めて模擬試験を受験しましょう。
確実に合格するためには全体で9割以上正解することが望ましいです。
9割以上正解できるまで、何度も復習と再受験を繰り返してください。
模擬試験に登場しなかったサービスの概要について調べる
模擬試験で9割以上正解できるようになったら、かなり合格に近づきました。
最後は、押しの一手として、模擬試験に登場しなかったサービスの概要を調べてみましょう。
AWSのサービスは年々増えており、各認定資格試験では最新のサービスに関する問題も出題されます。
参考書や模擬試験の内容だけが出題範囲とは思わないでください。
各サービスの機能、用途、料金システムはAWS公式ページから確認できます。
AWSにより興味を持てる機会にもなりますので、楽しみながら調べていただけたら幸いです。
最後に
クラウドプラクティショナー取得に向けた勉強プランの紹介は以上となります。
昨今の技術者向け試験では、過去問を暗記しておけば合格できるというものも多々ありますが、AWS認定資格試験でその方法は通用しません。
AWSの各サービスに対する本質的な理解度が要求されます。
単純に試験に合格することに目を向けるのではなく、AWSの様々なサービスを使いこなして楽しめるようになることを目的として勉強していただければ幸いです。