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【ひさしAppさんに聞く】2018年の個人クリエイター展望

UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンの普及により、個人によるゲーム開発のハードルは大きく下がりました。

2018年にはGoogleが日本では初となるインディーゲームのコンテスト『Indie Games Festival 2018』を開催する等、ますます盛り上がりを見せることが予想されます。

一方で、マネタイズという観点から見るとどうでしょうか。App Annieによると、2021年には世界の全アプリストアを合計した収益額が1390億ドルを超え、日本においても210億ドルに達すると予測されています。

カイト社の提供するitemstoreを利用いただいているアプリの中にも大きな成果をあげているものが出てきていますが、まだまだ個人にとってマネタイズの方法論は確立されていないのが現状ではないでしょうか。

そこで、個人ゲームアプリのマネタイズ本『自作ゲーライフ』でおなじみのひさしAppさんに、2018年の展望も兼ねて、これからの個人クリエイターにとってのマネタイズについて、お話をうかがってみました。

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■ひさしAppさんのご紹介
自作ゲームアプリ開発者。大手Webゲーム会社、大手コンソールゲーム会社、大手スマートホンソーシャルゲーム会社を経て独立。

また、個人で手がけた電子書籍『自作ゲーライフ』シリーズが高い評価を得て、今年6月には書籍版『バカ売れアプリ生活』が出版される。
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個人クリエイターが今読んでおきたい「これからのマネタイズの知恵」

今後「個人ゲームアプリが生き残るための3つの視点」

itemstoreを使って課金機能が実装されたゲームアプリ『魔王の娘は勇者になります。』を50時間くらいプレイした上で、重要と感づいた「多くの個人開発者に役立つ、今もっとも意識しておくべきこと」について、まず述べます。
短期的収益性からはみ出た部分にも触れますが、最終的には「強力で永続的なマネタイズ」になりうる話です。

「個人ゲームアプリ開発者が今後生き残る」上で、まず大前提として意識したいのは以下3つです。

①ローカライズ
②IP化(開発者本人含め)
③ガチャとコレクション

①の「ローカライズ」については、DL数の桁数をはねさせることが出来る、数少ない方法です。しかも他の手段に比べてコストパフォーマンスが高いです。
個人アプリでもマネタイズできるとはいえ、やはり大手のソシャゲなどに比べて圧倒的にDL単価が不利なため、なんとかDL数は増やしたいところです。特にカジュアルゲームは。
しかし国内だけではターゲットユーザー数の限界からどうしても厳しい。それがローカライズして世界に届けば夢が現実になり得ます。というかDL単価の上限的に厳しいゲームジャンルの場合はこれくらいしか手段が無いとも言えます。英語だけでなく、中国語や韓国語も意識したいところです。

ローカライズの具体的な経験測としては、例えば中国市場に展開したとき、これまでの1年分の収益が数日で回収できた事例があります。

そこまではなかなかいかなかったとしても、簡易的な英語翻訳のみのローカライズでも、アメリカ・韓国・カナダ・オーストラリア・台湾・シンガポール等の国から課金を頂けるのは現実的です。
日本語を整えて、Google翻訳で翻訳するだけでも海外のストアでカテゴリ上位にランクインしたこともあります。

②の「IP化」について、大成功を収めている個人開発者は、概ねIP化(この開発者といえば、このキャラクターや世界観!)に成功しています。
そうしないと埋もれてしまうのと、キャラさえ立てば、それはその人唯一の世界になり、永続的に富をもたらす原動力になりうるからです。
単価の高いグッズ展開も狙えます。キャラの権利を持っている人は、どのエンタメ業界でも一番強いです。

そのため、もしあなたの制作物にこれといった特徴がないなら、IP化を考えるべきです。具体的にどうすれば良いかというと、例えば主人公の見た目に個性(シルエットだけでわかるような)を持たせ、名前をつけ、出すアプリにはかならずメインキャラとして登場させる、などです。

単発のゲームアプリでの生活は難しいとしても、長い目でみるとIP化はとても大事と言えます。ファンもついていきやすいことでしょう。

加えて個人開発者の場合、「自己のIP化」も大事です。個人開発者のファンは、開発者本人の生き様や、制作過程、そしてその後どうなったかも、よく見てもらえることが多く、つまり「作者含めてコンテンツ」です。それがうまく行けば、ユーザー単価を高めにご支援頂ける可能性もあるので、苦痛でない方はクリエイターとしての生き様をさらけ出してみるのもアリでしょう。

自分自身の例としては、アプリ勉強会を通じて自己IP化に可能性を見出し、デジゲー博とKindleでアプリ本を出してみたところ、僅か半年後に全国の書店でリアル本を出版するまでに至りました。
さらにそれらは、その後のVALUなどでのクリエイター活動にも弾みをつける要因となっています。

③の「ガチャとコレクション」について。③だけ具体的ですが、この組み合わせにも明確な理由があります。
それは「ガチャ=DL単価の向上(まさしくマネタイズ)」と、「コレクション=継続率の向上(マネタイズにおいて、一番重要な数値)」が実現されるからです。
そして大抵のゲームに入れようがあります。ガチャらしいガチャが作品性にマッチしないなら、宝箱ドロップなどでも大丈夫です。
もし「個人ゲームアプリで永続的に生活したい」なら、少なくとも検討はした方が良いでしょう。ゲームの雰囲気に合った形で。

自分自身の経験としては、1ヶ月後の継続率が30~40%を記録した経験があり、それは数年間収益を生み続けてくれました。また、3年間プレイしてくれたユーザーからメッセージを頂いたこともあります。

その時はコレクション要素を数百種類用意して、3段階の出現率を設定し、さらに曜日別やプレイ日数別に出現率を設けることで、大きく継続率が上昇しました。

もう少し具体的な「アプリ内マネタイズの話」

もう少し具体的な話をしてみます。
アプリ内課金は、どこに気を付けてマネタイズするべきか?どこが落とし穴で、どうすれば良いか?

まずシンプルに重要な結論だけ述べると「欲しいものを売る」ことだと思います。
ショップになんとなくアイテムを並べてしまうと、果たしてユーザーから見てそれが欲しいのか?微妙になっていることが多々あります。

ではどこから「欲しいもの」を探せば良いか?興味深い事に、なぜかゲーム内の無料コインで買えるアイテムが、非常に魅力的になっている場合があります。
それはマネタイズできる大チャンスで、是非有料のジェムなどでも買えるようにするべきです。取得まで時間的コストがかかるアイテムならなおさらです。

また、実はアイテムである必要もありません。たとえば「体験」です。ユーザーが能動的に選んだ高難度のクエスト入場料などは、納得感のある体験料になると思います。達成できなくてもおまけとして、「数枚集まれば次の体験が可能なチケット」などをプレゼントすれば、感謝される上に次の課金にもつながります。
そう考えると、「感謝される上に次の課金にしれっと繋げる」手法(考え方)はとても重要と言えますね。すべてを感謝と課金につなげて構築できるかが、ゲームアプリでプロとして食べていくための必要条件かもしれません。

そして意外な落とし穴として、これらすべてを整えても、ショップや有料アイテムの魅力にユーザーが気づかない可能性もあります。
それどころかその存在すらも。

そのため、ショップに訪れたり、購入検討アクションまで明らかにたどり着いていないユーザーに対しては、ポップアップなどで「アイテム課金をすると、今困っていることが解消され、有利で楽しくプレイできる」ことを喚起してやるのが良いと思います。

その誘導を時々ポップアップで表示するのか、キャラに言わせるか、ローディング画面端に表示するかなどは、クリエイター的な演出の見せ所になると思います。
この辺を丁寧に作れば、「ゲームに興味がない序盤のやっつけチュートリアルラッシュでマネタイズ」よりは遥かに効果的だと思います。

最後に超具体的で、ある意味基本のアイテム課金3セットについても述べます。

①お買い得感の高いセット商品で、まず課金の心理的障壁を超える。(+期間限定バーゲンでも可)
②買い切りまたは所持個数限定の明らかに有利なアイテムで複数購入の壁を超える。
③消費アイテムやカードを有料ガチャにして青天井。もちろん激レアアイテム(キャラ)も封入。

これらをうまく配置し、結構存在する「絶対無課金マン」が課金したくなるか?を考えてみましょう。
彼らを気持ち的、ゲームプレイサイクル的にシミュレーションしてみて、課金の脈ありなら期待できます。

これからの「個人ゲームアプリ開発者のマネタイズ」

個人的にここ最近はゲームアプリで作った利益を仮想通貨に投資するのが、数千万~億単位の資産形成へのチャンスに見えますね。
短期トレードではなく年単位の長期投資の話です。いずれにしても自己責任の話ですが。

そして「ビットコインなど仮想通貨の分析」と、「ゲームアプリマネタイズの分析」は、考え方が少なからず似ています。ゲームアプリのマネタイズに成功するレベルまで成長した方なら、仮想通貨の時代になっても生き残り易いのではないでしょうか。自分の実体験や周りの知り合いを見ていてもそう感じます。

そう考えると、個人クリエイターとして生き残るために「ゲームアプリのマネタイズをしっかり考える」ことはとても得るものが多いですし、個人クリエイターが億単位の資産家になれる『夢を持っても良い』時代が到来したとも言えます。
間接的な話のみならず、直接的な買い手側にも資産家が増えた点を考えても。

個人クリエイターにとって、この「時代的大チャンス」を逃さない手はないと思います。さらに、今は個人ゲーム開発者向けのイベントも盛んなので、是非参加してみましょう。

今回の原稿を書くにあたり、参考プレイしたゲームアプリ

『魔王の娘は勇者になります。』

個人クリエイターを助けるゲーム開発ツール&サービス

Unity
最も普及していると言えるゲームエンジン。様々なプラットフォームへの対応に加え、グラフィックやサウンド等、すぐに使える「アセットストア」も開発を助けます。

Unreal Engine
Unityと同じくマルチプラットフォームに対応したゲームエンジン。Unityよりはややハイエンド向けでしょうか。こちらもアセットを販売する「マーケット」があります。

Firebase
Googleが買収したmBaaSと呼ばれるサーバサイドの開発を不要にするクラウドサービスです。

ニフティクラウド mobile backend
ニフティが提供しているmBaaSです。Firebaseに比べ、日本でのサポートが充実しているため、英語が苦手な方にはこちらの方が利用しやすいかもしれません。

itemstore
カイト社の提供するアプリ内課金をサーバレスで実装するためのクラウドサービスです。実装・運用で悩む時間を低減し、アプリの収益化に集中することができます。

個人クリエイター向けのゲーム開発イベント

Indie Games Festival 2018
Google Play主催によるインディーゲームのコンテストです。日本での開催は今回が初めてとなります。

ニコニコ自作ゲームフェス2018
株式会社ドワンゴが主催する個人制作ゲームの投稿コンテストです。応募作品の中から各部門の大賞に選ばれたクリエイターには賞金10万円が贈られます。

Global Game Jam
ギネス記録を持つ世界最大のGame Jam(ゲーム開発を行うハッカソン)です。年に一度開催され、2018年は1月26日(金)〜1月28日(日)に各会場で行われます。日本の会場一覧はこちらから確認できます。

Unity1週間ゲームジャム
unityroomというUnityで制作されたゲームの投稿サイトで不定期に開催されている、1週間でゲームを制作するイベントです。