ChatGPTは「理解している」のか?LLMと人間の“理解”の違いを技術的に考えてみた
近年の大規模言語モデル(LLM)の進化はめざましく、ChatGPTをはじめとするツールが業務や学習で日常的に使われるようになってきました。自然な応答や柔軟な会話が可能になったことで、「AIがついに“理解”し始めたのでは?」という感覚を持つ人も多いかも。
ただ、この「理解」という言葉、本当に適切なのという疑問があります?
私はLLMのアルゴリズムを開発しているようなガチの”LLMの専門家”ではありませんが、機械学習とディープラーニングの研究開発の現場に長く関わってた立場から、「LLMの理解」と「人間の理解」は何が違うのか、あらためて考えてみました。
❓LLMはなぜ“理解しているように見える”のか
大規模言語モデルの基本は「次に来る単語の予測」です。
とはいえ、ただの予測器に過ぎないはずのLLMが、なぜここまで自然で賢い振る舞いを見せるのか。
私の意見としては、次の3つが関係していると考えています。
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膨大な学習データ
インターネット全体規模の知識を学習 -
巨大なモデルサイズ
数千億〜数兆のパラメータが知識を記憶 -
大きなコンテキストウィンドウ
長い文脈を保持し、これまでの会話や資料全体にアクセができること
このスケールの力が、私たちに「理解している」と錯覚させるだけの出力結果を生成しているのではないでしょうか。
一言でいえば、「巨大なモデルと膨大な学習データで知識と単語の関連性を蓄え、コンテキストにより単語予測の精度を上げる」という仕組みかなと思います。
🧠 人間の“理解”と何が違うのか?
自分が喋る時を考えると、まず何を話すかを決め、それに合わせて言葉を紡いでいきます。どう考えても、次の単語を予測しながら発言してません。
人間の理解は、単なる言語の連鎖ではないと思います。
これらは単なる統計的連想だけでは説明できない「深い理解」の要素です。
LLMの応答がどれだけ自然であっても、それはあくまで「意味らしきものを、文脈に基づいて連想している」だけであり、私たち人間のような多層的理解とは異なります。
これは、「巨大な連想記憶」による「浅い理解」と言えるかもしれません。
🔍 考察記事を書きました
このテーマについて、技術と哲学の中間のような立場から、もう少し深く掘り下げた記事を個人ブログにまとめました。
興味のある方は、ぜひこちらをご覧ください。
👉 大規模言語モデル(LLM)は本当に“理解”しているのか?個人的な視点からの考察
💬 まとめ
- LLMは“理解”しているように見えるが、統計的連想に基づく「浅い理解」にすぎない可能性がある
- その“浅い理解”でも、スケールの力で非常に実用的になっている
- 人間の理解とは本質的に異なるが、「役に立つ」こととはまた別の議論である
もし皆さんの中で、「LLMの理解」に関して別の視点や事例があれば、ぜひコメントで共有していただけると嬉しいです。