この記事で得られるもの
- すぐコピペできる プロンプト雛形(5本)
- 「どこで効くか」「なぜ効くか」の短い理由集
- 運用で詰まりやすい箇所を直す 失敗→修正プロンプト
- 最後に チェックリスト と ミニサマリ(Executive/Why/How/Next)
0) この記事にした理由(背景)
- 仕事で**段階わけ(レイヤード)**のやり方で調べ物や検討をする機会が増えました。守りが固くて安心ですが、スピードと軽さを優先したい場面も増えています。
- そこで、単発でサッと使える書き方だけを1つにまとめました。まずはこの型で素早くドラフトを作り、必要なときだけ段階わけのやり方で追加チェックする――そんな運び方を想定しています。
1) 前提(Assumptions)
- 目的:実務で再現性が高い書き方に絞って整理
- 方針:モデル依存の細かい違いより、言語と構造の工夫を重視
2) テクニック一覧:「効く場面」と「なぜ良いか」
A. IC-5 一枚プロンプト(構造で迷子を防ぐ)
どこで効く? 要件整理/仕様検討/提案文/議事録
なぜ良い? 「前提→選択肢→長短→決定→根拠→先読み→道筋→次の3手」という情報の通り道が決まり、抜け漏れ・主観の衝突を減らす。
コピペ雛形
次の8部で出力(各≤5行):
1) Assumptions: …
2) Options: A/B/C …
3) Trade-offs: …
4) Decision: …
5) Why: 1文×3
6) Foresight: リスク/機会 各2
7) Mentor Roadmap: 手順3
8) Next 3 Actions: 今日/明日/今週
(各主張の末尾に (fact) / (hypothesis) を付与)
B. ダブルパス(v1→自己批評→v2)
どこで効く? 仕様文/FAQ/長文出力/ナレッジ記事
なぜ良い? 生成直後に自分ツッコミを強制し、曖昧語・冗長・根拠不足を機械的に削る。
コピペ雛形
まず「回答v1」を出力。直後に次の観点で自己批評→改善v2:
- 完結性 / 根拠 / 曖昧語 / 抜け漏れ / 冗長さ
最後に「改善差分リスト(箇条書き)」を添付。
C. 5案+採点+「見込みの割合 p」併記(AIが自動で付けます)
どこで効く? 技術選定/コピー案/UI文言/命名
なぜ良い? “好き嫌い”に流れず、評価軸×0–5点で比べて決め切る。さらに各案にp(見込みの割合)を付けると、別方向の案も意識的に残せる(合計はだいたい1.00)。
重要:pはAIが自動で付けます。人が手で調整する必要はありません。
コピペ雛形(このまま貼るだけ)
目的: {一行}
評価軸: コスト, 速度, 安全(各0–5点で採点して合計も表示)
出力手順(AIが自動で実施):
① 案を5つ
② 各案を3軸で採点し合計
③ 各案に「見込みの割合 p」を付ける(5案で100%を分け合うイメージ/合計≈1.00。同率OK)
④ 採用1案の理由と、残しておく“対抗案”を1つ(pが高い順)
⑤ 各案に一言の理由(強みと弱み)
※ pの算出はAIが自動。ユーザーに入力や調整を求めないこと。
出力順: 表→p付き一覧→採用→対抗案→注意点
AIの中での付け方(参考:自動でやること)
- 「関連しているか/わかりやすいか/新しいか/安全か」をざっくり見て、5案で100%を分ける感じでpを配る(例:0.30/0.25/0.20/0.15/0.10)。
- 差がつかない時は同率でもOK。上位2案を少し厚めに。
pを“人が決めたい”場合の切り替え(任意)
-
手動にしたいときは、プロンプトの先頭にこの一文を足すだけ:
- 「pは私が算出します。AIはpを出さず、空欄のままにしてください。」
-
その上で、表の下にあなたのpを列挙(合計≈1.00)。例:
p = 0.30, 0.25, 0.20, 0.15, 0.10。 -
自動に戻すときは、上の一文を削除すればOK。
出力サンプル(合成)
案A: 合計11点 → p=0.30 … 速い/安い/安全は注意
案B: 合計11点 → p=0.25 … 安定だが遅め
案C: 合計10点 → p=0.18 … 新しい/検証不足
案D: 合計9点 → p=0.15 … 体験◎/コスト高
案E: 合計8点 → p=0.12 … 安全最強/速度低
採用:A(“速度最優先”の条件に合う)。対抗:B(安全重視の保険)。
注意(誤解防止)
-
pは感触のメモで、現実の成功確率ではありません。 - リスクが高い話題では、
pといっしょに**「あやふやポイント(3つ)」と「次に確かめること(3つ)」**も必ず出す。 - 数字は合計≈1.00ならOK。
D. WHAT-only 指定(完成像だけ決める)
どこで効く? 記事・UI・映像・資料の骨子
なぜ良い? HOW(作り方)で暴走しがちな指示を止め、完成像(目的/読者/長さ/構成/NG語)を固定できる。
コピペ雛形
HOWは書かないでください。WHAT(完成像)だけを指定します。
必須: 目的/読者/長さ/見出し構造/H1/H2/締めのCTA/禁止語
出力: ①要約1行 ②本文ドラフト ③CTA ④禁止語チェック(該当箇所)
E. 不確実性の明示(どこが怪しいかを先に出す)
どこで効く? リサーチ/価格・法律・日程など変動領域
なぜ良い? 誤情報の断定拡散を防ぎ、次の検証へ即移行しやすい。
コピペ雛形
回答末尾に必ず追記:
- 不確実ポイント(3)
- 反例/代替案(2)
- 次に検証すべき項目(3)
F. 失敗→原因→修正プロンプト(トラブルシュート集)
どこで効く? 日次運用/教育/レビュー
なぜ良い? 現場の詰まりを症状→原因→修正で即復旧。再発防止のチェックリストにもなる。
サンプル(合成シナリオ)
症状:Optionsが似た案ばかり
原因:評価軸が未定義
修正:「評価軸3つ(例:コスト/速度/安全)。各案0–5点、合計点も表示」
G. 禁止語&数値条件(曖昧語の排除)
どこで効く? レビュー/ドキュメント/UI文言
なぜ良い? “良さげ/なるはや/しっかり”等を閾値・秒・件数に置換し、解釈ブレを削る。
コピペ雛形
禁止語: 世界一, 革命的, ちゃんと, なるはや
置換ルール例: 速い→<2秒 / 多い→≥20件 / 安価→総額≤◯円
3) よくある落とし穴(anti-pattern)と回避策
- 矛盾指示:「簡潔に」と「詳細に」を同時に出す → 先に出力の見取り図(見出し・表・箇条)を固定
- 曖昧語:「ちゃんと」「良さげ」→ 条件や数字に置換
- 根拠の貼り忘れ:要約1文+出典1件の最小単位で管理
- 長文化:各セクション5行以内+1行サマリを末尾に
4) 鉄板コンボ(Decision)
- 基礎:A(IC-5)
- 品質担保:B(ダブルパス)
- 意思決定:C(5案+採点+主観確率p)
- 変動領域:E(不確実性の明示)
- 即効の運用:F(失敗→修正)
この5点セットを“標準装備”にし、Cではpを併記して発散の幅を保ちつつ収束します。
5) ミニサマリ(Executive / Why / How / Next)
- Executive(要旨):プロンプトは構造+自己批評+採点+不確実性+失敗修正で安定。
- Why:抜け漏れ・曖昧・過信・好き嫌いの主原因を一括で抑えられる。
- How:雛形をコピペ→埋める→自己批評→採点。変動領域は不確実性宣言を必須化。
- Next:自分の案件でAの枠を埋め、すぐB→Cの順に回す。
6) チェックリスト(貼って使える)
- 各主張の末尾に (fact)/(hypothesis)
- Decisionが評価軸に紐づいている
- Cで各案にp(見込みの割合)がAIによって自動付与されている(合計≈1.00)。※手動に切替える場合は本文の切替手順どおりにpを明記
- E(不確実性3+次の検証3)を付けた
- Next 3 Actionsが「今日/明日/今週」の粒度
- 禁止語が出ていない(世界一/革命的/ちゃんと/なるはや 等)
7) 付録:ミニ例
ケース:新規機能の開発方式を決める
評価軸:コスト/速度/安全(0–5点)
候補:A: ノーコード / B: OSS / C: マネージド
採点+確率(例)
案 | コスト | 速度 | 安全 | 合計 | p | メモ
A | 4 | 5 | 2 | 11 | 0.32 | 早いが権限管理に注意
B | 5 | 3 | 3 | 11 | 0.26 | 運用負荷が高い
C | 3 | 4 | 5 | 12 | 0.42 | ベンダーロックだが安全
Decision:Cを採用(p最大&必須条件の安全5)。対抗:A(速度重視の代替)。
おわりに
この記事の雛形は案件に合わせて自由に改変OKです。コメント欄で「詰まりポイント」や「良かった雛形」があればぜひ共有していただけると嬉しいです。