LoginSignup
3
1

「Sma-pa マイナタッチ」の開発を支えたQt ①

Posted at

【Part 1 マイナタッチ開発の課題編】

■開発効率強化に向けて開発環境のモダン化とリファクタリングに着手

当社が開発し、多くの医療機関でご利用頂いている「Sma-pa マイナタッチ」(以下、マイナタッチ)は、マイナンバーカードと健康保険証のどちらでもオンライン資格確認(※1)ができる顔認証付きカードリーダーです。マイナタッチのフロントエンドのUI(ユーザインターフェース)とUX(ユーザ体験)開発に、クロス・プラットフォーム・アプリケーション・フレームワークの 「Qt」(キュート)を活用しました。それにより、開発コストと開発時間を大幅に削減するとともに、開発効率とメンテナンス性の向上、さらには高い開発品質も実現しました。

そこで、今後3回にわたりQtを活用するに至った経緯と導入の効果について紹介します。
1回目は、マイナタッチ開発における課題について述べます。

※1:マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認を行うこと。
  マイナンバー白_左斜め.png

■小型・多機能の顔認証付きカードリーダーに業界内外から熱い視線が注がれる

患者さんの医療情報を有効に活用し、安心・安全でより良い医療提供を行うための医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入が2023年4月から原則義務化されました。その準備段階で、当社は顔認証付きカードリーダーの開発に参入してマイナタッチを開発。これが業界内外で大変な評判を呼び、TVや雑誌、Webニュースなどのメディアに度々取り上げられ大きな話題となっています。

マイナタッチは、マイナンバーカードの顔写真データをICチップから読み取り、本機搭載のカメラで撮影した本人の顔画像と照合して、本人確認を高精度で行う顔認証機能が最大の特徴となっています。また、独自機能としてオンライン資格確認を行った後に、紙の公費医療券(※2)や各種保険証の読み取りを行えるほか、それらの画像データの保存(※3)、8インチの大画面とわかりやすい画面設計、2.5D赤外線カメラ(※4)によるなりすまし防止など、他社製品に比べて数多くの優位性を持っています。

※2:「子ども医療費受給者証」「ひとり親家庭等医療証」「心身障害者医療費受給資格証」の読み取りに対応。
※3:レセプトコンピューター・電子カルテシステム側の対応が必要です。
※4:赤外線により立体検知を行います。これにより、スマホや写真をカメラにかざして顔認証を行おうとしても、平面である事から顔認証を実行せず、なりすましや不正利用を防止します。

■独自開発のOCRエンジンにより優れた読み取り精度とスピードを実現

マイナタッチの開発において特に重視したのは、1)OCR(光学的文字認識機能)の読み取りを高精度にすること、2)顔認証を迅速かつ高確度に行えること、3)高齢者にも見やすく分かりやすい画面設計にすることの3つでした。

マイナンバーカードは複雑な模様の下地に細字の明朝体で文字が表記されており、券面を正確に読み取るには高度な技術が必要です。そこで当社はAIを使った独自のOCRエンジンを開発しました。幾度もチューニングを重ね、最適化を行った結果、マイナタッチのエラー率は数%程度に収まり、より優れた読み取り精度とスピードを実現できるようになりました。

また、AIやOCRエンジン、顔認証エンジンをハイスピードで動かすために、当社ではOSにDebian Linux(※5)を選択しました。

※5:安定性と自由なソフトウェアを原則としたオープンソースのLinuxディストリビューションのひとつ。

■開発言語の乱立で人材リソースの最適配置が困難になり開発環境の整理に着手

Debian Linuxをベースに各種機能を効率的に開発することを優先したのが開発環境の統一化でした。理由としては、50年以上数多くのシステムを開発する過程で社内に開発言語が乱立し、近年では製品ごとに開発言語が異なるほどの状況になっていたからです。

開発言語が無秩序に増えたことで属人化が進み、人材リソースの最適配置ができなくなるなどの課題がありました。開発効率を上げるためには開発環境のモダン化とリファクタリング(整理)が必要です。そこで、マイナタッチのUI・UX開発にQtを活用し、成功実績を積むことで徐々に使用する言語を統一しようと考えました。

次回は、数ある開発環境の中からなぜQtを採用したのか、3つの理由について述べたいと思います。
  

3
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
1