はじめに:なぜ今、AIエージェントなのか
正直に言いましょう。
2025年、AIの世界で一番アツいキーワードって何だと思います?
それは間違いなくAIエージェントなんです。
ChatGPTが出てきたときは「会話ができるAI」って感じでしたよね。
でも今、AIは自律的にタスクをこなす存在に進化しつつある。
例えば...
- コードを書いて、テストして、デバッグして、プルリクエストまで出す
- Webを検索して、情報をまとめて、レポートを作成する
- ファイルを分析して、データを加工して、別のシステムに連携する
こういうことが、人間の介入なしにできるようになってきてるんです。
これ、めちゃくちゃ大きな変化だと思いません?
で、Anthropicが提供するClaude Agent SDKは、まさにこの「AIエージェント」を構築するためのツールキット。
今回は、このAgent SDKを使って何ができるのか、どうやって作るのか、詳しく解説していきます。
AIエージェントって結局なんなの?
まず、「AIエージェント」の定義を整理しておきましょか。
【従来のAI(チャットボット)】
ユーザー → 質問 → AI → 回答 → ユーザー
これは「一問一答」のシンプルなやりとり。
AIは聞かれたことに答えるだけ。
【AIエージェント】
ユーザー → ゴール設定 → AI → 計画立案 → ツール実行 → 結果確認
→ 次のアクション → ツール実行 → ... → 最終結果 → ユーザー
これが全然違うところで...
エージェントは自分で計画を立てて、必要なツールを使って、結果を評価しながら、ゴールに向かって自律的に動くんです。
つまり、「何をすべきか」を自分で判断して、「どうやるか」も自分で決める。
Claude Agent SDKの全体像
Claude Agent SDKとは?
Claude Agent SDKは、Anthropicが提供するエージェント構築用のツールキットです。
元々は「Claude Code SDK」という名前だったんですけど、2025年に「Claude Agent SDK」にリネームされました。
なぜAgent SDKを使うのか
正直、素のClaude APIでもエージェント的な処理は作れるんです。
でも、Agent SDKを使うと...
| 機能 | 素のAPI | Agent SDK |
|---|---|---|
| コンテキスト管理 | 自分で実装 | 自動で最適化 |
| ツール連携 | 個別に実装 | 統合済み |
| 権限制御 | 自分で実装 | 細粒度で制御可能 |
| セッション管理 | 自分で実装 | 組み込み済み |
| エラーハンドリング | 自分で実装 | 標準装備 |
| プロンプトキャッシング | 手動設定 | 自動最適化 |
要するに、「エージェント開発に必要なもの」が全部入りなんです。
Claude Codeを支えているエージェントハーネスがベースになっているので、本番環境で動くクオリティがすでに担保されてる。
これ、自分でゼロから作ろうと思ったら、相当な工数かかりますよ。
インストール方法
TypeScript / Node.js の場合:
npm install @anthropic-ai/claude-agent-sdk
Python の場合:
pip install claude-agent-sdk
環境変数にAPIキーを設定しておくのを忘れずに。
export ANTHROPIC_API_KEY='your-api-key-here'
基本的なエージェントの作り方
最小構成のエージェント(TypeScript)
まず、一番シンプルな形から見てみましょか。
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
async function main() {
// 最もシンプルなエージェント呼び出し
const result = query({
prompt: "プロジェクトのREADME.mdを分析して、改善点を3つ提案してください",
options: {
systemPrompt: "あなたはシニアソフトウェアエンジニアです。コードレビューと技術文書の改善が得意です。",
model: "claude-sonnet-4-5"
}
});
// ストリーミングで結果を受け取る
for await (const message of result) {
if (message.type === 'text') {
console.log(message.text);
}
}
}
main();
これだけで動くんです。シンプルでしょ?
でも、これだと「ただの会話」と変わらない。
エージェントの真価は、ツールを使って実際にアクションを起こせるところにあります。
ツールを使えるエージェント
エージェントにツールを持たせると、こんなことができるようになります。
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
async function main() {
const result = query({
prompt: "このディレクトリのTypeScriptファイルを分析して、型定義が不足している箇所を見つけてください",
options: {
systemPrompt: `あなたはTypeScriptの専門家です。
コードの品質向上を支援します。
ファイルを読んで分析し、具体的な改善提案をしてください。`,
// 許可するツール
allowedTools: [
"Read", // ファイル読み取り
"Glob", // ファイル検索
"Grep", // テキスト検索
"LS" // ディレクトリ一覧
],
// 作業ディレクトリ
cwd: "./src",
model: "claude-sonnet-4-5"
}
});
for await (const message of result) {
switch (message.type) {
case 'text':
console.log(message.text);
break;
case 'tool_use':
console.log(`🔧 ツール使用: ${message.name}`);
break;
case 'tool_result':
console.log(`✅ 結果取得`);
break;
}
}
}
main();
この例だと、Claudeは...
-
GlobでTypeScriptファイルを探す -
Readでファイルの中身を読む - 分析して型定義の不足を見つける
- 改善提案をテキストで返す
...という流れを自律的に実行します。
人間が「次はこのファイルを読んで」とか指示しなくても、自分で判断して動く。
これがエージェントの力。
Tool Use(ツール使用)を深掘りする
Claude 4.5のツール使用機能
Claude 4.5モデル(Opus 4.5, Sonnet 4.5, Haiku 4.5)は、ツール使用において大幅な進化を遂げています。
【Claude 4.5の強化されたツール使用】
-
並列ツール呼び出し
- 複数のツールを同時に実行
- 依存関係のない操作は並列処理
- レイテンシが大幅に削減
-
コンテキスト認識
- トークン使用量を常に追跡
- コンテキスト制限に近づいても適切に対処
- 長時間実行タスクでも安定動作
-
高度な調整能力
- 複数のツールと情報ソースを効果的に連携
- 自分で最適な実行順序を判断
利用可能なツール一覧
Agent SDKで使える主要なツールを整理しておきましょか。
【ファイル操作系】
| ツール名 | 機能 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Read | ファイル読み取り | コード分析、ドキュメント確認 |
| Write | ファイル書き込み | コード生成、ドキュメント作成 |
| Edit | ファイル編集 | 既存コードの修正 |
| LS | ディレクトリ一覧 | プロジェクト構造の把握 |
| Glob | パターンマッチング検索 | 特定ファイルの探索 |
| Grep | テキスト検索 | コード内の検索 |
【実行系】
| ツール名 | 機能 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Bash | シェルコマンド実行 | ビルド、テスト、システム操作 |
| Code Execution | Pythonコード実行(サンドボックス) | データ分析、計算処理 |
| Computer Use | GUI操作(スクリーンショット、マウス、キーボード) | ブラウザ自動化、デスクトップ操作 |
【外部連携系】
| ツール名 | 機能 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Web Search | Web検索 | 最新情報の取得 |
| Web Fetch | URLコンテンツ取得 | 特定ページの分析 |
| Memory | 情報の永続化 | 会話間での情報保持 |
並列ツール呼び出しの活用
Claude 4.5は並列ツール実行に優れていて、Sonnet 4.5は特に積極的に並列実行を行います。
この動作を最大限活用するためのプロンプト例:
const result = query({
prompt: `プロジェクトの品質分析を行ってください。
<use_parallel_tool_calls>
複数のツールを呼び出す予定があり、ツール呼び出し間に依存関係がない場合は、
すべての独立したツール呼び出しを並列で実行してください。
例えば、3つのファイルを読み取る場合、3つのツール呼び出しを並列で実行して、
3つのファイルをすべてコンテキストに同時に読み込んでください。
ただし、一部のツール呼び出しが以前の呼び出しに依存して、
パラメーターなどの依存値を通知する場合は、順序付けて呼び出してください。
</use_parallel_tool_calls>`,
options: {
allowedTools: ["Read", "Glob", "Grep", "Bash"]
}
});
逆に、並列実行を抑制したい場合:
const result = query({
prompt: `各ステップ間に短い一時停止を伴う順序で操作を実行して、安定性を確保してください。`,
options: {
// ...
}
});
プログラマティックツール呼び出し(ベータ)
これ、めちゃくちゃ強力な新機能なんです。
通常、Claudeがツールを使うときは...
Claude → ツール呼び出し → API → 結果 → Claude → 次のツール呼び出し → ...
...という風に、毎回APIを経由するラウンドトリップが発生します。
でもプログラマティックツール呼び出しを使うと...
Claude → コード実行コンテナ内で直接ツール呼び出し → 結果処理 → 次のツール呼び出し → ... → 最終結果 → Claude
つまり、Claudeが書いたコードの中からツールを直接呼び出せるようになる。
tools = [
{
"type": "code_execution_20250825",
"name": "code_execution"
},
{
"name": "query_database",
"description": "Execute a SQL query against the sales database.",
"input_schema": {...},
"allowed_callers": ["code_execution_20250825"] # ← これがポイント
}
]
メリット:
- レイテンシ大幅削減(ラウンドトリップ不要)
- トークン消費削減(中間結果をフィルタリング可能)
- 複雑なワークフロー対応(ループ、条件分岐、バッチ処理)
Claude Opus 4.5およびSonnet 4.5で利用可能です。
サブエージェント:タスクを分割して効率化
サブエージェントとは?
サブエージェントって、要するに**「専門家チーム」**みたいなものです。
メインのエージェント(オーケストレーター)が全体を管理して、
専門的なタスクは専門家(サブエージェント)に委任する。
例えば、「Webアプリを作って」というタスクなら...
メインエージェント(PM役)
├── フロントエンドエージェント → React コンポーネント作成
├── バックエンドエージェント → API 実装
├── データベースエージェント → スキーマ設計
└── テストエージェント → テストコード作成
なぜサブエージェントを使うのか
1. コンテキストの効率化
1つの巨大なコンテキストで全部やろうとすると、トークン消費が爆発する。
サブエージェントを使えば、タスクごとに新しいコンテキストウィンドウを使えるので、効率的に処理できます。
2. 専門性の向上
「なんでもできる汎用エージェント」より、「特定のことに特化したエージェント」の方が精度が高い。
例えば、セキュリティ監査専門のエージェントとか、テスト専門のエージェントとか。
3. 並列処理
独立したタスクは並列で実行できるので、全体の処理時間が短縮される。
サブエージェントの定義方法
方法1:ファイルベースの定義
.claude/agents/ ディレクトリにMarkdownファイルとして配置する方法。
<!-- .claude/agents/security-reviewer.md -->
# Security Reviewer Agent
## Description
コードのセキュリティ脆弱性をレビューする専門エージェント。
SQLインジェクション、XSS、認証バイパスなどの脆弱性を検出します。
## Tools
- Read
- Grep
- Glob
## Prompt
あなたはセキュリティ専門家です。
コードを分析し、以下の観点でセキュリティ脆弱性を検出してください:
1. SQLインジェクション
2. クロスサイトスクリプティング(XSS)
3. 認証・認可の問題
4. 機密情報の露出
5. 入力検証の不足
発見した脆弱性は、重要度(High/Medium/Low)と修正方法を含めて報告してください。
方法2:プログラムでの定義
SDKのオプションで直接定義する方法。
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
const result = query({
prompt: "このプロジェクトのコードレビューを行ってください",
options: {
systemPrompt: "あなたはテックリードです。品質の高いコードレビューを行います。",
// サブエージェントの定義
agents: {
"security-reviewer": {
description: "セキュリティ脆弱性をレビューする専門エージェント",
tools: ["Read", "Grep", "Glob"],
prompt: `あなたはセキュリティ専門家です。
コードの脆弱性を検出し、修正方法を提案してください。`,
model: "sonnet" // 'sonnet' | 'opus' | 'haiku' | 'inherit'
},
"performance-reviewer": {
description: "パフォーマンス問題をレビューする専門エージェント",
tools: ["Read", "Grep", "Glob"],
prompt: `あなたはパフォーマンス最適化の専門家です。
N+1クエリ、メモリリーク、不要な再レンダリングなどを検出してください。`,
model: "haiku" // 軽量タスクなのでHaikuで十分
}
}
}
});
Claude 4.5のネイティブサブエージェント調整
ここがすごいところで...
Claude 4.5モデルは、明示的な指示なしにサブエージェントへの委任を自分で判断できるんです。
つまり、「このタスクはサブエージェントに任せた方がいいな」と自分で気づいて、適切に委任する。
この動作を活用するためのポイント:
1. サブエージェントツールを明確に定義する
// サブエージェントが「何ができるか」を明確に記述
agents: {
"data-analyst": {
description: "大量のCSVデータを分析し、統計的な洞察を提供する。数値計算や可視化が必要なタスクに最適。",
// ...
}
}
2. 必要に応じて委任の積極性を調整する
積極的に委任させたい場合:
複雑なタスクは積極的にサブエージェントに委任してください。
保守的に委任させたい場合:
タスクが新しいコンテキストウィンドウを持つ別のエージェントから
明らかに利益を得る場合にのみ、サブエージェントに委任してください。
サブエージェントのユースケース
ユースケース1:コードレビューパイプライン
const agents = {
"syntax-checker": {
description: "構文エラーとスタイル違反を検出",
model: "haiku" // 高速処理
},
"logic-reviewer": {
description: "ロジックの問題とバグを検出",
model: "sonnet" // バランス型
},
"security-auditor": {
description: "セキュリティ脆弱性を検出",
model: "opus" // 高精度必須
}
};
ユースケース2:ドキュメント生成
const agents = {
"api-documenter": {
description: "APIエンドポイントのドキュメントを生成",
model: "sonnet"
},
"example-generator": {
description: "使用例とサンプルコードを生成",
model: "sonnet"
},
"translator": {
description: "ドキュメントを多言語に翻訳",
model: "haiku"
}
};
MCP(Model Context Protocol):外部システムとの連携
MCPとは?
MCP(Model Context Protocol)は、Claudeを外部ツールやサービスと連携させるための標準プロトコル。
データベース、API、各種サービスと連携するための「共通言語」みたいなものです。
Agent SDKでは、MCPサーバーを通じてカスタムツールを追加できます。
MCPサーバーの設定方法
方法1:設定ファイルでの定義
.claude/settings.json に記述:
{
"mcpServers": {
"my-database": {
"command": "node",
"args": ["./mcp-servers/database-server.js"],
"env": {
"DATABASE_URL": "postgresql://localhost:5432/mydb"
}
},
"slack-integration": {
"command": "python",
"args": ["./mcp-servers/slack_server.py"],
"env": {
"SLACK_TOKEN": "${SLACK_TOKEN}"
}
}
}
}
方法2:プログラムでの定義
import { query, createSdkMcpServer, tool } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
import { z } from 'zod';
// カスタムMCPサーバーを作成
const myMcpServer = createSdkMcpServer({
name: "my-custom-tools",
version: "1.0.0",
tools: [
tool(
"search_database",
"データベースを検索して結果を返す",
{
query: z.string().describe("検索クエリ"),
limit: z.number().optional().describe("取得件数の上限")
},
async (args) => {
// 実際のデータベース検索ロジック
const results = await searchDatabase(args.query, args.limit);
return {
content: [{ type: "text", text: JSON.stringify(results) }]
};
}
),
tool(
"send_notification",
"Slackに通知を送信する",
{
channel: z.string().describe("送信先チャンネル"),
message: z.string().describe("メッセージ内容")
},
async (args) => {
await sendSlackMessage(args.channel, args.message);
return {
content: [{ type: "text", text: "通知を送信しました" }]
};
}
)
]
});
// エージェントで使用
const result = query({
prompt: "売上データを分析して、結果をSlackに報告してください",
options: {
mcpServers: {
"my-tools": myMcpServer
}
}
});
MCPコネクタ(リモートMCPサーバー)
ローカルで動くMCPサーバーだけでなく、リモートのMCPサーバーにも接続できます。
これにより、別のサーバーで動いているサービスとも連携可能。
const result = query({
prompt: "...",
options: {
mcpServers: {
"remote-service": {
url: "https://mcp.example.com/api",
headers: {
"Authorization": `Bearer ${process.env.MCP_TOKEN}`
}
}
}
}
});
エージェントスキル:能力の拡張
スキルとは?
スキル(Agent Skills)は、Claudeの能力を特定のタスクに特化して拡張するための仕組み。
サブエージェントが「別の専門家に任せる」のに対して、
スキルは「自分自身の能力を拡張する」イメージ。
ビルトインスキル
Agent SDKには、以下のビルトインスキルがあります:
- PowerPoint: プレゼンテーション作成
- Excel: スプレッドシート操作
- Word: ドキュメント作成
- PDF: PDF処理
これらは .claude/skills/ ディレクトリから自動的に検出されます。
カスタムスキルの作成
独自のスキルを SKILL.md ファイルとして定義できます。
<!-- .claude/skills/data-visualization/SKILL.md -->
# Data Visualization Skill
## Description
データを視覚化するスキル。Pythonのmatplotlibやseabornを使用してグラフを生成します。
## When to Use
- ユーザーがデータの可視化を要求したとき
- 数値データの傾向を分析する必要があるとき
- レポートにグラフを含める必要があるとき
## Instructions
1. データの種類を確認する(時系列、カテゴリ、相関など)
2. 最適なグラフタイプを選択する
3. Pythonコードでグラフを生成する
4. 生成した画像をユーザーに提供する
## Example Code
```python
import matplotlib.pyplot as plt
import seaborn as sns
# グラフ生成のサンプル
sns.set_style("whitegrid")
plt.figure(figsize=(10, 6))
# ... グラフ作成コード
plt.savefig("output.png", dpi=150, bbox_inches="tight")
## 実践的なエージェント構築例
### 例1:コードレビューエージェント
本番で使えるレベルのコードレビューエージェントを構築してみましょか。
```typescript
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
async function codeReviewAgent(targetPath: string) {
const systemPrompt = `あなたはシニアソフトウェアエンジニアです。
コードレビューを行い、以下の観点で詳細なフィードバックを提供します:
## レビュー観点
1. **コード品質**: 可読性、保守性、DRY原則
2. **バグリスク**: 潜在的なバグ、エッジケース
3. **パフォーマンス**: 非効率な処理、N+1問題
4. **セキュリティ**: 脆弱性、入力検証
5. **テスト**: テストカバレッジ、テストの質
## 出力形式
各問題点について以下を含めてください:
- 問題の説明
- 重要度(Critical/High/Medium/Low)
- 該当コード(行番号付き)
- 修正案(コード例を含む)
<investigate_before_answering>
開いていないコードについて推測しないでください。
回答する前にファイルを読んで、根拠のある回答を提供してください。
</investigate_before_answering>`;
const result = query({
prompt: `${targetPath} のコードをレビューしてください。
まずプロジェクト構造を把握し、主要なファイルを分析してください。`,
options: {
systemPrompt,
allowedTools: ["Read", "Glob", "Grep", "LS"],
cwd: targetPath,
model: "claude-sonnet-4-5",
// サブエージェント
agents: {
"security-auditor": {
description: "セキュリティ脆弱性の詳細分析が必要な場合に使用",
tools: ["Read", "Grep"],
prompt: "セキュリティ専門家として、OWASP Top 10を含む脆弱性を検出してください。",
model: "opus"
}
}
}
});
const findings: string[] = [];
for await (const message of result) {
if (message.type === 'text') {
findings.push(message.text);
}
}
return findings.join('\n');
}
// 使用例
const review = await codeReviewAgent('./src');
console.log(review);
例2:ドキュメント生成エージェント
プロジェクトのドキュメントを自動生成するエージェント。
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
async function documentationAgent(projectPath: string) {
const systemPrompt = `あなたはテクニカルライターです。
コードを分析し、以下のドキュメントを生成します:
1. README.md - プロジェクト概要、セットアップ手順、使用方法
2. API.md - APIエンドポイントの仕様
3. ARCHITECTURE.md - システム構成、設計思想
<documentation_guidelines>
- 初心者にもわかりやすい説明
- 具体的なコード例を含める
- 図解が必要な箇所は [図解: 説明] の形式で指示
- Markdown形式で出力
</documentation_guidelines>`;
const result = query({
prompt: `${projectPath} を分析し、ドキュメントを生成してください。
まずプロジェクト構造を把握し、主要なファイルを確認してください。`,
options: {
systemPrompt,
allowedTools: ["Read", "Write", "Glob", "LS", "Grep"],
cwd: projectPath,
model: "claude-sonnet-4-5"
}
});
for await (const message of result) {
if (message.type === 'tool_use' && message.name === 'Write') {
console.log(`📝 ファイル作成: ${message.input.path}`);
}
}
}
例3:インシデント対応エージェント
本番障害時に自動で調査・対応するエージェント。
import { query, createSdkMcpServer, tool } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
import { z } from 'zod';
// 監視ツール用のMCPサーバー
const monitoringServer = createSdkMcpServer({
name: "monitoring-tools",
version: "1.0.0",
tools: [
tool(
"get_metrics",
"システムメトリクスを取得する",
{
service: z.string(),
timeRange: z.string()
},
async (args) => {
// Prometheus/Grafanaなどからメトリクス取得
const metrics = await fetchMetrics(args.service, args.timeRange);
return { content: [{ type: "text", text: JSON.stringify(metrics) }] };
}
),
tool(
"get_logs",
"ログを検索する",
{
service: z.string(),
query: z.string(),
limit: z.number().optional()
},
async (args) => {
// ElasticSearchなどからログ取得
const logs = await searchLogs(args.service, args.query, args.limit);
return { content: [{ type: "text", text: JSON.stringify(logs) }] };
}
),
tool(
"send_alert",
"Slackにアラートを送信する",
{
channel: z.string(),
severity: z.enum(["critical", "warning", "info"]),
message: z.string()
},
async (args) => {
await sendSlackAlert(args.channel, args.severity, args.message);
return { content: [{ type: "text", text: "Alert sent" }] };
}
)
]
});
async function incidentResponseAgent(incidentDescription: string) {
const systemPrompt = `あなたはSRE(Site Reliability Engineer)です。
本番障害の調査と対応を行います。
## 対応フロー
1. 影響範囲の特定
2. メトリクスとログの分析
3. 根本原因の推定
4. 緊急対応の提案
5. Slackへの状況報告
## 重要事項
- 本番環境への変更は提案のみ、実行しない
- 不確かな情報は明記する
- 時系列で状況を整理する`;
const result = query({
prompt: `インシデント発生: ${incidentDescription}
調査を開始し、状況を報告してください。`,
options: {
systemPrompt,
allowedTools: ["Read", "Bash", "Grep"],
mcpServers: {
"monitoring": monitoringServer
},
model: "claude-opus-4-5" // 高精度が必要
}
});
for await (const message of result) {
if (message.type === 'text') {
console.log(message.text);
}
}
}
本番運用のためのベストプラクティス
権限管理
エージェントに与える権限は最小限に。
const result = query({
prompt: "...",
options: {
// 許可するツールを明示的に指定
allowedTools: ["Read", "Glob"], // 読み取りのみ
// 禁止するツールを指定
disallowedTools: ["Bash", "Write"], // 実行と書き込みは禁止
// 権限モードの設定
permissionMode: "strict", // 厳格モード
// アクセス可能なディレクトリを制限
cwd: "./src",
additionalDirectories: [] // 他のディレクトリへのアクセスを禁止
}
});
エラーハンドリング
import { query } from '@anthropic-ai/claude-agent-sdk';
async function safeAgentExecution(prompt: string) {
try {
const result = query({
prompt,
options: {
maxTurns: 50, // 無限ループ防止
// ...
}
});
for await (const message of result) {
switch (message.type) {
case 'error':
console.error('エージェントエラー:', message.error);
// エラー処理
break;
case 'text':
console.log(message.text);
break;
}
}
} catch (error) {
console.error('実行エラー:', error);
// フォールバック処理
}
}
コスト管理
const result = query({
prompt: "...",
options: {
// 思考トークンの上限設定
maxThinkingTokens: 10000,
// 会話ターン数の上限
maxTurns: 30,
// 軽量タスクにはHaikuを使用
model: "claude-haiku-4-5",
// サブエージェントでモデルを使い分け
agents: {
"quick-task": {
model: "haiku" // コスト重視
},
"complex-task": {
model: "sonnet" // バランス
},
"critical-task": {
model: "opus" // 精度重視
}
}
}
});
まとめ:エージェント開発の未来
ここまでいろいろ解説してきましたけど、最後にまとめておきましょか。
Claude Agent SDKでできること:
-
自律的なAIエージェント構築
- ツール使用による実世界との連携
- サブエージェントによるタスク分割
- MCPによる外部システム統合
-
本番レベルの品質
- Claude Codeで実証済みのアーキテクチャ
- 細粒度の権限管理
- 組み込みのエラーハンドリング
-
最新のClaude 4.5機能
- 並列ツール呼び出し
- ネイティブサブエージェント調整
- プログラマティックツール呼び出し
エージェント開発で大事なこと:
正直、AIエージェントはまだ発展途上の技術。
「AIに任せれば全部自動でやってくれる」みたいな過信は禁物です。
大事なのは...
- 適切な権限設定:できることを制限する
- 人間のレビュー:最終確認は人間が行う
- 段階的な導入:小さく始めて徐々に拡大
- フォールバック設計:失敗時の対応を考えておく
エージェント技術は「人間を置き換える」ものじゃなくて、「人間の能力を拡張する」もの。
この視点を忘れずに、上手く活用していきましょか。
今日からやること3つ
- Agent SDKをインストールして、最小構成のエージェントを動かしてみる
- 自分の業務で繰り返しやってる作業を1つ見つけて、エージェント化を検討する
- 小さなサブエージェントを1つ作って、タスク分割の感覚をつかむ
エージェント開発、めちゃくちゃ面白いですよ。
ぜひ触ってみてください。
参考リンク




