はじめに
2026年4月のGoogle Cloud Next '26で、agents-cli(Agents CLI in Agent Platform) というツールが発表されました。
Gemini CLIのような「新しいコーディングエージェント」を想像しがちですが、agents-cliは、Claude CodeやCodexなど、普段使っているコーディングエージェントを「Google CloudでのAIエージェント開発に詳しい状態」にしてくれるツールです。
この記事では、agents-cliで何ができるのかをざっくり掴めるように紹介します。
3行まとめ
- agents-cliは、コーディングエージェントに「Google Cloudでのエージェント開発の知識」を渡すツール
- エージェントの雛形作成から評価・デプロイ・監視まで、一通りの工程をカバー
- ローカルで試すだけなら、Google Cloudのプロジェクトがなくても始められる
2026年9月時点の情報です。
agents-cliは公開以降アップデートが頻繁に行われているので、最新情報は公式ドキュメントを確認してください。
agents-cliとは?
一言でいうと「コーディングエージェント用の攻略本」
AIエージェントを本番で動かそうとすると、やることが意外と多いです。
- プロジェクトの雛形を作る
- 品質を評価する仕組みを用意する
- Cloud RunやGKEなどにデプロイする
- 社内から使えるように登録する
- 動作を監視する
それぞれにドキュメントやコマンドがあり、コーディングエージェントに任せても「どう組み合わせればいいか」を手探りで調べることになります。その結果、同じところをぐるぐる回ったり、トークンを無駄に消費したりしがちです。
agents-cliは、この 「Google Cloudでエージェントを作るときの正しい手順や知識」をスキルとしてまとめ、コーディングエージェントに読み込ませる ことで、この問題を解決します。いわば、コーディングエージェント向けの攻略本のようなものです。
使えるコーディングエージェント
Google製のツールですが、他社のコーディングエージェントでもそのまま使えるのが特徴です。
- Antigravity CLI(Google)
- Claude Code(Anthropic)
- Codex(OpenAI)
- その他、Gemini CLIやCursorなど、Agent Skills に対応したエージェント
関連ツールとの違い
「ADKと何が違うの?」と混乱しやすいので、役割を整理しておきます。
| ツール | ざっくりした役割 |
|---|---|
| ADK(Agent Development Kit) | エージェント本体を書くためのフレームワーク |
| agents-cli | ADKでのエージェント開発を「雛形作成から評価・デプロイ・運用まで」支える周辺ツール |
| Claude Code / Codex など | 実際にコードを書く担当。agents-cliの知識を使って作業する |
つまり、ADKが「部品」、agents-cliが「組み立てと出荷の手順書」、Claude Codeなどが「作業する人」 というイメージです。
なお、agents-cliは以前からある Agent Starter Pack の後継 という位置付けです。
既存プロジェクト向けの移行ガイドも用意されています。
agents-cliでできること:開発ライフサイクル全体のサポート
agents-cliは、エージェント開発を次の8つのフェーズに分けて考えています。
| フェーズ | 何をするか |
|---|---|
| 仕様定義 | エージェントが使うツール・守るべきルール・成功基準をMarkdownに書く |
| 雛形生成 | 仕様をもとに、テストやCI/CD設定まで含んだプロジェクト一式を生成 |
| 実装 | モデル・指示文・ツールを組み合わせてエージェントを作る |
| マルチエージェント化 | 大きくなったエージェントを、役割ごとのサブエージェントに分ける |
| 評価 | テストデータでエージェントの回答を採点し、品質をチェック |
| デプロイ | Agent Runtime・Cloud Run・GKEのいずれかにデプロイ |
| 公開 | Gemini Enterpriseに登録し、社内の人や他のエージェントから使えるようにする |
| 監視 | Cloud TraceやBigQueryで本番の動きを確認 |
特徴的なのは、監視で得た本番データが、次の評価データとして戻ってくる 点です。
一度作って終わりではなく、「作る → 評価する → 出す → 見る」を繰り返して品質を上げていく流れが前提になっています。
また、多くのエージェントのデモでは省略されがちな「評価」が、標準の工程としてしっかり組み込まれているのもポイントです。
agents-cliに含まれる7つのスキル
agents-cliの中身の中心は、コーディングエージェントにインストールされる 7つのスキル です。スキルとは、コーディングエージェントが読み込む「その分野の知識をまとめたファイル」のことです。
| スキル名 | 教えてくれること |
|---|---|
google-agents-cli-workflow |
開発全体の進め方。常に有効になっている司令塔的なスキル |
google-agents-cli-adk-code |
ADKでのエージェントの書き方(ツール、状態管理など) |
google-agents-cli-scaffold |
プロジェクトの雛形の作り方・更新の仕方 |
google-agents-cli-eval |
エージェントの評価方法(LLMに採点させる手法など) |
google-agents-cli-deploy |
Agent Runtime・Cloud Run・GKEへのデプロイ方法 |
google-agents-cli-publish |
Gemini Enterpriseへの登録方法 |
google-agents-cli-observability |
Cloud Traceなどを使った監視の設定方法 |
たとえば「社内ドキュメントをもとに質問に答えるサポートエージェントを作って」と依頼すると、コーディングエージェントがこれらのスキルを参照しながら、雛形作成や実装を進めてくれます。
続けて「評価して」「Cloud Runにデプロイして」と頼めば、それぞれの工程も任せられます。
使い方は2通り
agents-cliは、次の2つの使い方ができます。公式ブログでは、それぞれ Agent Mode / Human Mode と呼ばれています。
| モード | 使い方 | イメージ |
|---|---|---|
| Agent Mode | コーディングエージェントに任せる | 自然言語で依頼すると、エージェントがスキルを見ながら必要なコマンドを実行してくれる(推奨) |
| Human Mode | 自分でコマンドを実行する | すべてのコマンドはターミナルから単体でも使えるので、細かく制御したいときに便利 |
導入手順や具体的なコマンドは、以下の公式ドキュメントにまとまっています。
- Agents CLI in Agent Platform: create to production in one CLI(Google Developers Blog)
- Build an agent with ADK and Agents CLI(Google Cloud公式クイックスタート)
- Getting Started(導入方法)
- Tutorial: Build Your First Agent(コーディングエージェントで作る)
- Tutorial: Manual Workflow(自分でコマンドを実行する)
- CLI Reference(コマンド一覧)
よくある疑問
公式FAQから、特に気になりそうなものをピックアップしました。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| Claude Codeなどの代わりになる? | ならない。あくまでコーディングエージェントを「強化する」ツール |
| Google Cloudは必須? | ローカルで試すだけなら不要(AI StudioのAPIキーでOK)。デプロイするときに必要 |
| 既存のプロジェクトでも使える? | 使える。後からデプロイ設定やCI/CDを追加できる |
| コーディングエージェントなしでも使える? | 使える。普通のCLIとしても動く |
まとめ
- agents-cliは、コーディングエージェントにGoogle Cloudでのエージェント開発の知識を渡すツール
- Claude CodeやCodexなど、使い慣れたコーディングエージェントをそのまま使える
- 仕様定義から本番監視までをカバーし、特に 「評価」を当たり前の工程にしている のが特徴
「エージェントを作るのは簡単でも、本番で動かし続けるのは大変」という課題に対して、Googleが用意したひとつの答えがagents-cliです。Claude Codeなどを普段使っている方は、ぜひ一度公式ドキュメントを覗いてみてください。