とても良記事が出たので、さらにD-Waveの「磁束量子ビット」をつかった計算原理を簡単に理解する。


はじめに

D-Waveの磁束量子ビットを直感的に理解できるすごいQiitaの記事がでました。

「宇宙物理系出身者がD-Waveの「磁束量子ビット」を理解しようとするとこうなる」

https://qiita.com/github-nakasho/items/938d64f64ebf9263019f

ダブルループ型の量子ビットの仕組みを直感的に理解できる説明で革命的です。せっかくなので、あとを追って量子アニーリングの計算がこれを使ってどのように実現できるのかを書いてみます。


イジングモデルの計算のハードウェア実装

D-Waveはイジングモデルと呼ばれる局所磁場hiと相互作用Jijというパラメータを使って計算をします。この2つが実現できればイジングモデルがハードウェアに実装できたと言えるでしょう。前述の記事の電流の向きを使って計算に応用する方法を見てみます。


横磁場に相当する磁場をだんだん弱めると

まずは量子アニーリングの肝である横磁場ですが、前述のループ構造の小さい方に磁場をかけると確率的に電流が2方向に流れるのでした。強い磁場をかけるとJosephson結合を超える確率が増えます。

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最終的な電荷の偏りによって大きなループに右向き、左向きどちらかの電流が流れて計算の答えとなる{-1,+1}が判断されます。


まずは局所磁場hiの実装

局所磁場は大きな電流のループが右向きか左向きどちらになりやすいかを決めるものですが、これは大きなループに磁場をかけることで実現できます。

無題の図形描画 (4).jpg

もしくは、

無題の図形描画 (5).jpg

小さなループに磁場をかけると確率的に電流が流れましたが、大きなループに磁場をかけると電流の向きを直接制御できます。これによってかける磁場の強さによって流れやすい電流の向きを制御することができます。これが局所磁場と呼ばれるものです。


次に相互作用Jijの実装

イジングモデルには局所磁場hiの他に相互作用Jijがあります。Jijは量子ビット同士を繋げばいいのですが、Jijの値がマイナスの場合には隣り合った量子ビットは「同じ電流の向き」となりやすく、Jijがプラスの場合には隣り合った量子ビットは「逆の電流の向き」となりやすくなります。

それを実現するには、2つの種類の補助のループがあれば実現でき、丸いループを誘導電流で向きを揃えることができ、クロスしたループでは、誘導電流で向きを逆向きにできます。この2つの回路を全ての量子ビットの結合箇所に実装することで、実際にJijを計算できます。

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まとめ

局所磁場hiは直接大きなループを操作、相互作用Jijは予備のループを準備することで実現できます。あとは全ての小さいループに強い磁場をかけると確率的に電流が流れて全体のバランスを取ることができ、小さいループの磁場を弱めることで安定状態となる答えに近づけていくことができます。

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