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市民開発促進時の課題について

はじめに

市民開発促進時の課題について相談いただいたため、私の見解をまとめてみたいと思います

指導者育成について

まず、市民開発を促進したいものの、指導できる人、つまり、リソースが不足しているという悩みをよくいただきます。この観点で私の考えを述べます。

外部リソースやユーザーコミュニティを活用する

もちろん、一朝一夕でどうにかなるものではないと思いますが、以前以下の記事でも触れたように、外部のリソースも積極的に活用することが一つの手段になると思います。

ブログや動画などを通じて有益な情報を発信している人は沢山いる認識ですし (以前と比較すると日本語で情報発信している人も格段に増えているという認識です)、私自身も引き続き少しでも参考になる記事を書いていけたらと思っています。

また、ユーザーコミュニティでも、Power Platform に関する勉強会、イベントが頻繁に行われております。こういったイベントに参加することも一つの手段になると思います。

教える機会を提供する

例えば、ハンズオン講習、ハッカソンイベント、相談会等の講師やメンターになっていただくという方法があります。

今後指導役になっていただきたい方にこのような機会を提供を提供する際のメリットやアプローチは以下の通りです。

メリット

色んな自己啓発本にも書いてあるという認識ですが、誰かに教えることは 「最強のアウトプット、学び」 だと思います。

経験上感じたことがある人もいると思いますが、例えば、何かのトレーニングを受講するだけより、そこで学んだな内容を誰かに教える (アウトプットする) ことまでやった方が、習熟度は高くなる思います。

私自身、サポートエンジニアとしてトータル 10 年近く働いていましたが、仕事を通じて毎日人に教える、また、学んだことを勉強会などを通じて同僚に教えるということを継続的にやってきました。

学生時代は IT には全然興味がなく、特に目標もなく、何となく就活して、何となく地元の会社に入社しただけでしたが、結果的に今の会社で 6 年ほどエンジニアとして仕事が出来ているのは、人に教えるという最強のアウトプットを日々継続してきたからと思っています。

アプローチ

いきなり一人で教える立場になるのが不安な場合、最初のうちは社内、または、社外エキスパートにも依頼し、何かあった時にはエキスパートにも聞けるような体制にして、エキスパートから吸収するようにすると良いかと思います。

社内のエキスパートが少ない場合、そのエキスパートの方からすると、最初は大変かもしれませんが、中長期的には、自分の分身的な人が増えるため、楽になっていくと思います。

こちらのアプローチについて、初めて教える立場になる方からすると、安心感もありますし、一人で全て回答出来た際は自信になりますし、仮にいくつかの質問についてはエキスパートに相談することになったとしても、一度自分で考えた上で相談するため、いきなり誰かに丸投げするよりは成長につながりやすいと思います。

私自身、サポートエンジニアとしてトータル 10 年近く働いていましたが、いきなりエキスパートに丸投げするより、一度自分で考えた上でエキスパートに相談した方が、結果的に同じ回答を得た場合においても、はるかに多くのことを吸収でき、成長できたと感じています。大げさに聞こえるかもしれませんが、この習慣を持つことが私の人生に大きな変化をもたらしたと言っても決して過言ではありません。

また、その際、エキスパートの方がフィードバックをすることで効果も上がると思います。例えば、なぜその回答が出来なかったか、何が不足していたのかなどを分析、ヒアリングし、自分が参考にしている情報や学習教材を教えたり、個別勉強会を開いたりする感じです。

もちろん、エキスパートがメンターしている場に一緒に参加する形から入っても良いかと思います。自分だったらどう説明するか考えることで学びがあると思いますし、この説明の仕方いいな、これ自分も知らなかったといった気づきもがあると思います。

モチベーションや成長意欲が高い人であれば、このような場に招待することについても、少なからずメリットを感じると思います。

評価について

市民開発して業務を効率化したこと、時間を削減したこと、他の人を支援したことなどの活動をどう評価するかという悩みも良くいただきます。

例えば、業務効率化、削減した時間などで評価するのか、会社で取り組んでいる、デジタル人材、DX人材、ローコード人材といった何かしらの認定制度をベースに評価するのかなど色々悩まれている方もいると思います。

個人的には、バッジのような比較的ライトな認定制度を設け、プロフィール写真と合成してあげるみたいな取り組みをしているという事例を結構聞きます。モチベーションアップにつながりますし、活動の認知度も上がりますし、このような比較的ライトな認定制度は非常に良いアプローチだと感じています。

また、人事制度と絡めるかどうかという声も聞きます。多くの人が感じていると思いますが、人事制度と絡める場合、利害関係者も増えますし、簡単ではなく、時間も要す可能性が高くなると思います。

その前提ですが、強いてこの観点で私の意見を述べるとすると、他者貢献を軸にすると良いかなと思っています。

理由としては、デジタル人材、DX人材、ローコード人材といった認定を社内の評価軸として直接的に絡めた場合、活動を推進する際の順番で不公平感が少なからず出る可能性がありますし (先に受講したりイベントに参加した人の方が成果上有利になるなどの理由で)、認定の基準に対しても不平不満が出てしまう可能性があるため、そのような懸念から、社内調整にも時間を要してしまう、結果として市民開発促進自体にも影響が出てしまう恐れがあるためです。

また、個人的に、市民開発、業務改善、効率化、他の人の支援等は他者貢献の手段だと思うからです。もちろん、この場合、それ以外の観点でも他者貢献している人も評価の対象になりますし、自分に合った方法で他者貢献をしていけばいいのかなと思います。

実際、弊社も、他者の成功への貢献は評価の大きな軸の一つであり、これまで、様々な観点で、他者の成功への貢献が評価をされてきたという認識です。私自身、Power Platform にハマってからは、様々なアプリを作成して社内の沢山の人に共有している活動などを、可能な限り数値化しつつ、ビジネスにおけるインパクト (生産性の向上やお客様のビジネスへの貢献等) 以外に、他者の成功への貢献という観点でもアピールしています (以前はそれ以外の、自分が情熱を持てる領域でアピールしていました)。

この観点で、お客様はもちろんですが、社内の市民開発者が増えることについても情熱をもって取り組んでおり、例えば、今現在、社内のアプリのコンテストイベントの運営メンバーとして精力的に活動し、案はあるけど技術的に不安があるという同僚とペアプログラミングをしたりもしています。

なお、生産性向上という評価軸を既に持っている場合もあると思います。この場合においても、ローコード開発はあくまで手段の一つであるため、その前提で、成果としてアピールすればいいのかなと思います。

ハッカソンイベントについて

ハッカソンイベントを開きたいものの、集客が難しいという相談をいただくことがあります。

個人的には、以下の記事でも紹介をした通り、段階を踏んでいくことが望ましいと考えます。それぞれの取り組みごとのポイントも記載していますので、参考にしていただければ幸いです。

また、個人的な経験上、ハッカソンイベントは現地で開催することをお勧めしています。個人的に、以下のようなメリットがあると考えます。

講師側のメリット

オンラインで講習会やイベントを実施したことがある方の中には、質問はないか、困っていることはないか呼び掛けても、声はもちろん、リアクションすらなく、不安になりながら講習を進めたことがある方もいると思います。

もちろん、オンラインのメリットもありますが、相手の理解度、進捗度合い、気持ち等を把握するという意味では、対面の方がやりやすく、ハッカソンイベントのような、限られた時間で、分からないことがあったらすぐ聞いて前に進めた方が良いイベントの場合、現地開催の方がフォローしやすいです。

受講者側のメリット

受講者としても、知らない人、場合によっては顔を見たことない人にオンラインで気軽に聞くことについて少なからず抵抗があると思います。現地開催の際は、手を挙げたらすぐに横に来て支援してくれたり、講師側から寄り添って声をかけたりすることで質問することに対しての心理的安全性が高まると思います。

個人的な経験上、慣れてくると、目が合ってすぐに駆け付けるような感じになることもあります。

主催側のメリット

主催者側の思いは、イベントの成功、参加者の満足度、イベントの認知度のアップ、今後の活動の拡大のきっかけにすることなどと思います。

現地で参加者同士が和気あいあいとイベントに取り組んだり、その体験を同僚に伝えたり、上記のようなメリットを踏まえ、アプリの完成度が上がることで成功体験を得たりすることは (場合によってはその後アプリを公開することは)、主催者側にとってもメリットになると考えます。

現地開催が難しい人がいる場合 (ハイブリッド開催)

上記のようなメリットがあるものの、現地参加が難しい人、オンラインでの参加を希望する方が出る場合もあると思います。

事情は人それぞれですので、仮にオンライン参加者がいる場合は、現地の講師が現地参加者とオンライン参加者両方を支援するのは簡単ではないため、オンライン参加者向けの個別フォロー体制を組むことをお勧めします。

例えば、現地参加者を支援するメイン講師以外に、オンライン参加者サポート用講師を別途手配し、常時質問出来るようにしておく感じです。

個人的な経験上、ハイブリッド開催していたものの、途中でやっぱり現地行きますという方が出たこともありますが、仮にオンライン参加者がいる場合は、上記のようなアプローチを参考にしていただければ幸いです。

中長期的に取り組むためには

それなりに市民開発者が増えてきた、コミュニティ参加メンバーも増えてきたものの、中長期的に取り組むという観点で課題を感じている方もいるという認識です。

個人的には、この観点について、何とかなるというかなるようになるかなと思っています。

まず、もっと多くのことを成し遂げたい、もっと成長したい、もっと楽がしたい、早く仕事を終わらせたい、効率的に働きたい、など、人の欲求は尽きないと思うからです。
 
また、そのような欲求も一つの要因と考えますが、世の中のテクノロジー、サービスは常に進化しているというか、想像を超えるスピードで進化しており、それによってもっとできることが増えていくためです。私自身 1 年前に今の AI 関連のテクノロジーの進歩やサービスの登場は予測していなかったですし、それにより、ローコードとも絡めつつ、やりたいことが沢山生まれ、結果的に予測していなかったことを沢山アウトプットしてきました。

※身近な業務を改善するアプリのネタがあまりなくなってきたと思ったら、次々と新しいテクノロジー、サービスが生まれ、やりたいことが沢山生まれました

直近でも、Microsoft Build 2023 にて多くの新機能の紹介がありました。退屈しないというか、ゆっくりする暇もないというか、凄いアップデートだらけです。

正直、これからも恐ろしいスピードで更に進化していき行くと思いますし、その先に何があるか分かりませんし、私は 1 年後のことも全く予想できません。

以下などを見ると、もうしばらくローコード市場は成長していくとは思いますが、仮に、未来において、ローコード開発以外が手段になっていったとしても、非 IT エンジニアの方が IT 技術を活用して何かを生み出した体験やコミュニティという場を通じて学び合う体験を得たことは、大きな価値と考えます。

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もちろん、テクノロジーの進化に伴って、業務においても課題はどんどん出てくると思います。

そのような前提ですが、強いて活動を継続するという意味で考えられるアプローチを挙げるとすると、新しい情報、機能、テクノロジーを紹介してて欲求を刺激する、ワクワクしてもらう、アクティブに活動している人をモチベートするなど、ワクワクしてもらうイベントを企画していく、上述したように、他者の成功への貢献を評価することを継続することは重要と考えています。

まとめ

市民開発促進時の課題について、私の見解をまとめてみました。あくまで、現時点での私の個人の見解ですが、少しでも何かのお役に立てば幸いです。

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