競合30社を調査して、日本にも海外にも存在しない市場を見つけた話
法学部3年生、今月で独学でプログラミングを始めて4ヶ月になる。
就活をしながらコードを書いていて、これまでに2つのプロダクトを作った。プロダクトを長期的に成長させていくような経験を積んでみたかった。そんな最中に、知り合いの整体院の先生と話す機会があった。次に何を作ろうか迷っているという話になり、先生が院の管理まわりで困っていることをいくつか話してくれた。
その言葉が気になって、市場調査をすることにした。日本国内20社以上、海外も含めて30社以上。その結果と、作ることにしたプロダクトについて書く。
日本市場:機能ごとに完全に断片化している
聞いた話の要点はこうだった。予約はLINEと電話が混在していて一本化する気はない。問診票やカルテは紙。患者データや月報はExcel。複数のウィンドウを行き来しながら仕事をしている。「どこの院でも似たようなものだと思う」という一言が引っかかって、調べてみた。
日本の治療院向けSaaSは大きく3つに分断されている。
予約・集客系
ホットペッパービューティー(154,000店以上掲載)、EPARKなど。集客力は強いが院内管理機能はほぼない。
カルテ・問診票系
リピクル(400院以上)、カルッテ、スリーズプロなど。電子カルテ・Web問診として優秀。ただしAI機能は非搭載。
経営分析系
COCKPIT(4,000院以上)が唯一AIを謳う。リピート率・LTV・分単価を自動計算し「コンサルAIアドバイス機能」を持つ。ただし電子カルテ・問診票は非搭載。
結果として「カルテはA、経営分析はB」と複数システムを併用せざるを得ない院が多い。先生が複数のウィンドウを行き来しなければならない理由が、サービス側の構造にもあった。
海外市場:AIスクライブは普及したが、経営AIは皆無
英語圏の治療院向けSaaSは機能面で日本より進んでいる。
| サービス | 国 | AI機能 |
|---|---|---|
| Jane App | 🇨🇦 | AIスクライブ(2025年追加) |
| ChiroTouch | 🇺🇸 | Rheo AI(カルテ作成時間92%削減) |
| Noterro | 🇨🇦 | AIスクライブ |
| SimplePractice | 🇺🇸 | AIノートテイカー |
| Cliniko | 🇦🇺 | なし |
2024〜2025年にかけてAIスクライブが一気に普及した。施術中の会話からSOAPノートを自動生成するというもので、ChiroTouchのRheo AIはカルテ作成時間92%削減を謳う。
ただしAIの活用先は一貫して「臨床記録の効率化」だ。経営指標を分析してビジネスアドバイスを返すサービスは、30社以上の調査で1社も確認できなかった。そして当然、日本語には対応していない。
空白の発見
調査結果を整理するとこうなる。
| 機能 | 日本 | 海外 |
|---|---|---|
| 問診票・カルテ管理 | ◯(複数社) | ◯(複数社) |
| 月報・レポート自動生成 | △(COCKPITのみ、カルテなし) | △(ダッシュボードのみ) |
| AI経営アドバイス | △(COCKPITのみ、カルテなし) | ✗ |
| 三機能統合 | ✗ | ✗ |
| OCR(紙カルテデジタル化) | ✗(全社非搭載) | ✗(全社非搭載) |
「問診票管理+月報自動生成+AI経営アドバイス」の三機能を1つのサービスで提供する治療院向けSaaSは、日本にも海外にも存在しない。
加えて、治療院には何年分もの紙カルテがある。デジタル移行の最大のペインがここにあるにもかかわらず、OCR機能を持つサービスが全社非搭載だった。
作っているもの
Medini(メディニ) / medini.app
コンセプト:「デジタル化の強要ではなく、自由な選択肢を」
技術スタック
- Next.js 14(App Router)+ TypeScript
- Supabase(PostgreSQL)+ Prisma v7
- Supabase Auth(@supabase/ssr)
- Stripe
- Claude API(Vision APIでOCR)
- Vercel / PWA
- Sentry
OCRの設計方針
画像はメモリ上のみで処理し、Supabase Storageには保存しない。Claude APIへの送信後は即時破棄。個人情報保護を設計レベルで担保している。
現在の進捗(2026年3月)
- DBスキーマ・認証・RLS・OCR・AI月報・Stripe Webhook 実装済み
- 紹介コード・プラン制限・監査ログも実装済み
- ドメイン medini.app 取得済み
まとめ
競合調査をやって良かったのは、「作るべきものが明確になった」ことだ。なんとなく「治療院向けに何か作ろう」ではなく、「この空白を埋める」という確信を持って開発できている。
作る過程をこれからも発信していく。フィードバックや質問があればコメントを。