「3年先の稽古をしろ」という言葉が相撲界にはあるそうです1。ITに携わる人も同じですよね。先を見据えて勉強しておくことは大切です。
3年後には当たり前になってそうな技術について最近気になったものをピックアップしました。
ざっくり3行で解説します。
注意
本ページですが、初稿が 2018/11 で、その時分の情報をもとに書かれています。
HTTP/3
- HTTP-over-QUICと呼ばれていたプロトコルの新名称。
- QUICは、オーバーヘッド処理などTCP通信で発生するレイテンシを低減するよう設計されたプロトコルで、UDPを利用します。
- そのプロトコルを用いてHTTPを使おうというのがHTTP-over-QUIC、すなわち、HTTP/3で、現在も仕様を策定中(2018/8/24時点)。
(参考リンク)
- 『HTTP/3が出るらしいという話を雑に書く』 - Qiita
- 『QUICの現状確認をしたい (2018/1)』 - Qiita
- 『UDPベースの「HTTP-over-QUIC」が新HTTPバージョン「HTTP/3」に名称変更される』 - GigaZine
NIDD (Non-IP Data Delivery)
- IPプロトコルを使わないデータ通信のこと。
- NB-IoT(Narrow Band IoT ー IoT向けLTE通信仕様の一種) 上でコントロールプレーン(C-plane ー 通信制御用データ部)だけで通信しちゃおうよ、という発想。
- IoTデバイスと基地局内のSCEFという装置までを非IPで、SCEF・クラウド間は従来のIPでやりとりし、省電力化、セキュリティ、初期化作業の減少、既存環境の転用などが期待できる。
(参考リンク)
- 『第877回:NIDD とは』 - ケータイWatch
- 『IPアドレスなしで通信 IoT向け新技術「NIDD」、ソフトバンクが試験サービスへ』 - ITmedia NEWS
- 3GPP (※いくつかのドキュメントで機能ごとに定義されている)
5G
- 第5世代移動通信システムのことで、現行の第4世代の通信規格(LTE通信など)に続く、次の通信規格。
- 10Gbps以上の高速・大容量通信、1ミリ秒の低遅延、99.999%の信頼性、LTEの100倍の同時接続を目標としていて、映像の高画質・低遅延化や自動運転やロボティクス、エッジコンピューティングやVR/ARでの活用が期待される。
- 日本では2020年にサービス開始が予定されている。
(参考リンク)
- 『5Gがもたらす未来の生活 次世代移動通信「5G」って何? 2020年の暮らしはどう変わる?』 - 価格.com マガジン
- 『そろそろ5Gの話をしようか〜関西弁編〜』 - Qiita
- 『ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2018: 最近話題の「5G」 一体何ができるようになるの?』 - ITMedia Mobile
- 『5G利活用アイデアコンテストの開催』 - 総務省
(さらに参考)
エッジコンピューティング
- 中央サーバなどが送られてきたデータを全て処理する従来の方法とは対照的に、ネットワークのエッジ(端、縁)のコンピュータでいろいろ処理しようというのがエッジコンピューティング。
- エッジコンピューティングの例として、情報の処理・判断がその車上で行われる自動運転処理などや、監視カメラでの画像解析といった技術があげられる。
- 5Gサービスの普及とともにエッジコンピューティングが行えることも広がり、この周辺のビジネスの世界も変わってくるだろう。
(参考)
- 『エッジコンピューティング とは』 - ケータイWatch
- 『エッジコンピューティングの重要性とは?クラウドとの役割分担が効率アップのカギ』 - ニフクラ
- 『5G時代に実現されるエッジ・コンピューティングとIoTシステム』 - Impress BUSINESS MEDIA
MaaS
- MaaS(マース)は、Mobility as a Serviceの略。車を所有せずに、使いたいときだけお金を払って車を利用するサービス、または、移動手段の提供サービス。
- 自動運転技術やカー・ロボティックスの発展などを背景に100年に一度の転換期を迎えている自動車業界で、今後「マイカー」戦略に変わる新しい戦略の切り口となるかもしれない。
- これもまた、5Gやエッジコンピューティングなどインフラの拡張によって、発展の加速が期待されるビジネス分野である。
(参考)
テレイグジスタンス
- テレイグジスタンスは、バーチャルリアリティの一分野で、遠隔にいながら物事を操作したりする技術2。
- 5G環境による高速通信、低遅延、そしてVR技術の進歩に伴い、今後さらに発展が期待できる分野。
- 作業困難場所でのロボットの操縦操作はもとより、テレワークといった働き方での活用といったことも考えられる。最近は、出社が困難な障害者や難病患者の就労を支援できるのではないかと注目されていたりする3。
(参考)
- 『テレイグジスタンス とは』 - ケータイWatch
- 『テレイグジスタンスで世界が変わる、 憑依で人は機械の体を手に入れた。動き出すVRの先の未来、5Gの使い方』 - engadget
- 『分身ロボット「OriHime」が”遠隔出社” 難病患者の就労も支援するテレワークプロジェクト「働くTECH LAB」』 - ロボスタ
高精度GPS「みちびき」
- 2018年11月1日より、日本版GPSを担う衛星「みちびき」の4基体制の本格運用が始まった。
- これにより、山間部や高層ビルの谷間などで生じていた位置表示の乱れや大きな誤差の問題が修正される他、誤差数センチレベルでの位置情報取得が可能となるとのこと。
- ナビゲーションの精度が上がるのはもちろん、自動運転や自動操縦、農業分野、建設・建築分野での自動化・効率化、災害対策・災害時情報発信などでの活用が期待できる。
(参考)
- 『アメリカに頼らない衛星測位システムで“誤差数センチメートル”へ──高精度位置情報で可能性が広がる日本の産業』 - GeekOut
- 『日本版GPS体制の本格運用始まる 高精度位置情報の活用に期待』 - サイエンスポータル
- 『みちびき(準天頂衛星システム)』 - 内閣府・宇宙開発戦略推進事務局
(以上)